1000円のポケットマルチテスタ MASTECH M300

写真で見る MASTECH M300

手元に常備できるようなポケットテスタが欲しくて,秋月電子で MASTECH M300 というデジタルマルチテスタを購入しました。

小型タイプであるにもかかわらず値段は税込1000円とお手頃ですが,最近秋月が推している MASTECH という香港のベンダの製品であり,期待できそうです。このサイズで電流測定もできるというのが売りのようです。

M300 外観

△ これが M300 です。安いのに,見た目はなかなかかっこいい。

パッケージ表

△ パッケージはこんな感じ。

パッケージ裏

△ 裏にはスペック表が印刷されています。

M300 と付属スリーブ

△ 塩ビのスリーブケースも付属します。

M300 リードの展開

△ 筐体の周りにぐるっと一周格納されているリードを引き出すとこんな感じ。ちょうど使いやすい長さです。

M300 リードの収納

△ ただ,長さがかなりギリギリなので丁寧に巻かないとうまく収まってくれません(上の写真はうまく収まっていない図)。思ったほど手軽ではないのは残念です。

少し力をかけないと収まらず,リードが断線しないか心配です。この専用のプローブでないと収納できないわけで,リードの寿命が製品の寿命ということになるでしょう(普通のリードをはんだ付けしてポケットじゃないテスタとして使い続けることはできますが)。

M300 内部(裏)

△ 電池交換等のための分解はネジ1本でできます。……こうして見るとやはり値段なりのチープさですね。とはいえ,ネジを金属で受けているなど,あくまで工具として設計されている感じはします。

電池は 12V アルカリ電池と少々特殊なものですが,テスタの電池は何年も持つので問題ないでしょう。ただ,デリケートなアルカリ電池しか使えず保管環境を選び,液漏れ防止のため切れていないか定期的に確認する必要があることに注意する必要があります。

また,調整用らしき可変抵抗があります。

M300 内部(表)

△ 基板はツメで止められているだけであり,これも簡単に分解できます。フレキケーブル等を使わずバネ状のコンタクトで接続してある安心設計です。

液晶が接触不良になりそうで気になりますが,筐体裏蓋で機械的に押し付けることで接触を確保しています。

MASTECH M300 の機能面

……については,あまり詳しくないので,評価できません。ごめんなさい。

ただ,いろいろ試してみたところ低電圧ではやや不安定で,3V 未満では 0.05〜0.3V 程度高めに出る傾向があるようであり,精度にはそれほど期待しないほうがよいかと思います。

もっとも,自分がしているように,趣味で Arduino につなぐ回路をいじったり,PC 等のちょっとした調査・修理をする程度であれば何も問題なさそうな感じです。

DER EE DE-200A

なお私がメインで使っているテスタは,中学生の頃に買った DER EE の DE-200A です。

これも機能が絞られたエントリークラスの機種ですが,おそろしく頑丈で、精度も上々です。電池もマンガン電池が使えて安心です。リードもスナップオンで簡単に交換できます。趣味の工作程度なら一生モノじゃないかと思います。

筐体がけっこう大きいことがデメリットではありますが,最初の1台なら断然これがお勧めです。

余談

バッテリチェッカ BT-168D

最近400円前後で出回っている「BT-168D」というノーブランドのバッテリチェッカは,なかなか正確でしかも 3V まで対応しており,かなりお勧めです。アナログメータモデルの「BT-168」というのもあるのでお気をつけください(そちらは1.5Vまでの対応のようです)。安く見かけたらゲットしておくといいかと思います。

これいいかも? OpenWrt 搭載の無線 LAN ルータ「GL-MT300N-V2」

サイバー・ウィンドウ・ショッピング

興味深いネットワーク機器を見つけたので紹介します。UbiquitiMikroTik の製品と同様にカスタマイズ性の高い Linux ベースのルータの部類に属するものですが,完全に家庭用として設計されている代わりにベンダ独自でなく OpenWrt ベースのファームウェアが搭載されており,無線 LAN に対応し,しかもこの手のデバイスとしてはかなり安価(約2200円)……という特長があります。

OpenWrt とは

まずは OpenWrt について簡単に説明しましょう。OpenWrt は家庭用無線ブロードバンドルータ向けの代替ファームウェアのひとつであり,ソフトウェアレポジトリから手軽に拡張可能な Linux ディストリビューションの一種でもあります。

以前、Fon の安価な無線 LAN ルータに DD-Wrt を導入することが流行ったことがありますが,DD-Wrt も OpenWrt から派生したものです 1

OpenWrt では,ベンダ純正ファームウェアでは差別化のためやサポートコスト削減のために除外されているような高度な機能を利用できるほか,Linux の知識を活かした柔軟な運用が可能というメリットがあります。

しかし対応デバイスは限られているほか,電波法の問題があり,無線 LAN ルータで利用できる局面は限られているというのが現実です。

GL-MT300N-V2 とは

そこで GL-MT300N-V2 です。GL-MT300N-V2 は香港 GL.iNET (GL Technologies & Microuter Technologies 社)の小型ルータで,OpenWrt ベースのファームウェアが標準搭載されています。

MIPS 24KEc 580MHz (MT7628N),128MB DDR2,16MB フラッシュメモリというスペックで,CPU には AES-128/256 のハードウェア支援に対応した拡張機能があるので,OpenVPN も快適に利用できそうです。

しかもルータのくせに USB ポートに加え GPIO ピンまであり,拡張性も申し分ありません。

無線 LAN は 11n 300Mbps までの対応,GbE 非対応,5Ghz 帯非対応,アンテナ内蔵で電波の飛びも悪そうと,コンピュータとしてのポテンシャルの高さからするとかなり割り切った仕様ですが,一人暮らしならこれで充分ですし,小型で超低消費電力(2.75W未満) 2というメリットもあります。 3

ルータ親機としての利用のみならず,中継器/コンバータとしての利用にも対応しているため,特にハックせずとも利用の幅はかなり広いでしょう。

……いや,ここまでならよくある開発ボードと言うこともできるでしょう。GL-MT300N-V2 を真にユニークにしているのは以下の点です。すなわち,なんとベンダ自ら中国価格で Amazon.co.jp で販売しており(しかも Amazon 発送),さらに驚くべきことに,技適にもしっかり対応しているのです。

私が知る限り,OpenWrt が標準搭載されて技適に対応した無線 LAN ルータは他に選択肢がありませんし,ベンダ独自のディストリビューションを採用したものでも,手軽に買える値段のものはありません。

カスタマイズ可能なルータを構築する用途に Raspberry Pi のようなシングルボードコンピュータを使うのはオーバースペックであり,発熱の問題に悩まされることにもなりましたが,超低消費電力な CPU を搭載したこの機種であればまさにピッタリなのではないかと思います(もっともこのマシン自体が Raspberry Pi と同程度に安定するのかはまだわかりませんか……)。

個人の勉強用はもちろん,大学や専門学校でのネットワーク技術の教材としても使えるのではないかと思います。

ただし,GL-MT300N-V2 は OpenWrt 最新版安定版 18.16.2 に対応しているものの,開発版リリースでは特に積極的にサポートされていないようであり,次の安定版リリースで公式対応から外れる可能性があることに注意しておく必要があります。

購入リストへ

今のところいじろうと思って放置しているデバイスが多い(La Frite ももうすぐ発送みたいですし……)のでモチベーションがありませんが,この値段はお値打ちですし,無線 LAN が使えるのはユニークです。ホビー感たっぷりの「マンゴー色」の筐体もブツヨクをそそります。いずれ購入したら紹介したいと思います。

19/06/03追記:

後継機種として、650MHzの Qualcomm QCA9531 を搭載した[GL-AR750](https://www.gl-inet.com/products/gl-ar750/)と 775MHz の Qualcomm QCA9563 と外部アンテナを搭載した[GL-AR750S-Ext]が国内発売されたようです。

共通の仕様として、5GHz 帯・11ac への対応のほか、16MB の NOR メモリに加えて 128MB の NAND メモリが追加、128GB までの microSD への対応など活用の幅が広がっています。

一方で価格は GL-AR750 でも5144円、消費電力も最大6Wと、いずれも倍以上になっており、なかなか悩ましいところです。

Notes:

  1. なお,DD-Wrt は、カスタマイズ可能な Linux ディストリビューションとしてよりも簡単に使える代替ファームウェアとしての側面にフォーカスしている,プロプライエタリのドライバも多く導入することで対応デバイスを増やしている,といった方向性の違いがあるようです。
  2. 同じくらいの CPU と RAM を搭載した一般的なルータの消費電力は10〜20W
  3. もちろん,できればハイパワーモデルや業務用モデルの選択肢も欲しいところですけどね。

ジャンクの VersaPro VC-7 を買ったメモ

秋葉原 PC-NET でジャンクの NEC VersaPro VC-7 (PC-VY14A/C-7) を買ったメモ。

  • C2D SU9400,RAM 1GB(DDR3,MAX 3GB,非公式ながら5GBまで認識可),HDD 120GB
  • むっちゃ軽い。バッテリ込みで実測900g切ってる。軽さに惹かれて衝動買い。
  • こう軽けりゃ当然 SSD に換装するしかない(?)けど,軽さの代償として,分解を前提とした作りにはなっていない。構造上,ダメージ無く分解することはほぼ不可能。この手の作業には慣れてるつもりだけどキータッチが少しおかしくなってしまった…… なお分解レポートを公開してくださっている方がいることもあり,分解自体は比較的簡単(参照:2011年05月04日の記事 | nana1451@たぶん日記 – 楽天ブログ
  • AC がちょっと特殊な 10V 4A のブツ 1で,秋葉原でも発見が難しい。幸いネット通販でなら中古2000円ほどで入手可。
  • RAM は DDR3 で,4GB 追加の合計5GBまで認識することを確認。初期の DDR3 モデルに共通の仕様として,2Gbit チップまでの対応なので注意 2
  • 腑分けしてびっくり,無線 LAN 非搭載モデルだった 3。残念。
  • Debian Wheezy が普通に動く。
  • 自分の個体のバッテリはそれほど劣化していなかった。互換バッテリが売られていないので,バッテリの劣化が激しい個体を引き当てるとけっこうつらいかも。

かかった費用(本体以外は概算)

  • 本体 – ジャンク3780円
  • AC ケーブル – 中古2000円
  • DDR3 SODIMM 2GB – 中古500円
  • SSD 32GB – 新品3500円
  • PC カード wlan アダプタ – 中古300円
    合計:10080円

本体は安かったものの,というジャンク品の王道パターンにはまってしまったなあ。そして,これで実戦可能なモバイル機が意味もなく4台に……

15/2/8 スペック(CPU,RAM)情報修正,リンク追加

Notes:

  1. 何種類かある。自分が購入したのは ADP69 という機種。
  2. 簡単な見分け方としては,4GB の場合,裏表8枚ずつ全部で16枚チップがついてるやつ。2Gbit*16=32Gbit=4GB。
  3. PCI-E half size スロット(筐体の構造上フルサイズは入らない)はある。アンテナは無し。

IPS パネルは壮絶に「焼きつく」けど,簡単に元に戻せる

概要

液晶ディスプレイや有機 EL (OLED) ディスプレイにおいても,ブラウン管の焼き付きに類似した表示残存が発生することがあり,一般にこれらも「焼き付き」と総称される。ただし,そのメカニズムや症状の程度はディスプレイの種類により大きく異なる。IPS パネル,VA パネル,有機 EL パネルでは家庭やオフィスにおける通常の使用でも発生しうる。このうち,IPS パネルと VA パネルにしばしば見られるのは一時的なものであり,簡単に元に戻すことができる。

パネルの種類による違い

-液晶
– IPS: 使用状況や機種によっては使用が困難になるほど激しい「焼き付き」が発生することがあるが,これは同じ表示が続くことにより液晶内の成分が偏在したり 1,意図しない電荷が蓄積したりする 2ことが原因とされており,簡単に直すことができる。
- VA: PC 用ディスプレイとして使われることは少ないためあまり話題にならない。一般に IPS パネルより「焼き付き」が発生しやすいとも言われている 3。その一方で,レビューサイト RTINGS.com による検証では,実用上「焼き付き」の心配はないという結果になっている 4。発生した場合でも,やはり簡単に直すことができる。
- TN: 通常の使用では問題になるほどの「焼き付き」は見られない(おそらく)。
有機 EL: 自然に「焼き付き」が発生するが 5,すぐに使用を妨げられるほどではない。ただし,一時的な現象に加えて有機 EL では発光体の劣化も原因となり 6 7,発光体の劣化に起因する「焼き付き」は直すことはできない
※液晶パネルでも,デジタルサイネージなどの特殊な用途で長い期間に渡って同じ表示が続けば,部材の劣化による永続的な「焼き付き」は発生しうる。

IPS または VA パネルの「焼き付き」を直すには

様々な色(たとえばRGB白黒)を数十分から数時間程度のあいだ均等に代わる代わる表示させることで画面表示のクセを取り除くことができる。
※点滅にご注意ください

GIF 動画を用意してみました。お使いのディスプレイと同じ解像度(なければ同じアスペクト比 8)のものをダウンロードのうえ,フルスクリーン表示してご使用ください 9
8192×4320 8K 4K 2K
2048×1536 QXGA 4:3
1920×1200 WUXGA 16:10
1920×1080 FullHD 16:9
1366×768 FWXGA
1024×600 WSVGA


以下元の記事
続きを読む IPS パネルは壮絶に「焼きつく」けど,簡単に元に戻せる

自宅サーバのメリット・デメリット ~VPS と比較して~

自分用メモ。
自宅サーバを運営しといてナンだけど,自宅サーバのメリットらしいメリットが本気で思いつかない。さくら VPS のステマとか言われそう。誰か自宅サーバならではのメリットを思いついたら教えてください。
あ,ちなみにこのサイトは自宅サーバではなくレンタルサーバでのホスティングです。

デメリット

  • コストが高い
  •  自分の環境=Interlink 1 IP(月1,296円) + Star domain .net 独自ドメイン(年850円) + 標準的なサーバとルータ(計45 + 10 = 55W として電気代月1,026円・ハードウェア代計2万,4年間使えるとして月417円)の場合で,月2,810円,年間33,714円もの費用がかかります。ISP を i-revo(月525円。ただし転送容量制限が非常にキツいです)に,サーバを ECS LIVA(ASCII.jp のレビューによるとアイドル3W,月約56円・ハードウェア約1.8万,2年間使えるとして月750円)にしてルータをマルチセッション対応かつポリシールーティング対応のものにし通常使用のセッションと共有にすれば月1,402円,年間16,824円まで圧縮することができますが,VPS の方が高スペックで安価(「さくらの VPS」で仮想3コアRAM2GBディスク200GBのプランが月1,396円)です。ある程度大規模になり,大量の物理回線がある環境であれば自宅サーバの方が割安になるのかもしれませんが,まあ個人が趣味で運用する「自宅サーバ」の範疇としてはありえない話でしょう。
    2014/9/18追記:いまさら不備を発見。「標準的なサーバ」というのは「自宅サーバとして標準的なサーバ」という意味であり,具体的には富士通 PRIMERGY TX100 S3P で,CPU Pen G640,RAM 6GB,HDD 1TBx2 という構成で使っていました(過去形。現在停止して WWW のみレンタルサーバで運用中。そのうち VPS に乗り換えるかも)。またどうやら最近は「安鯖」も1万円以下では出なくなっているようなので,自宅サーバの初期投資費用は+1万くらいになるかも。
     見えないコストとして,室温上昇による空調費アップ,火災などのリスク(滅多にあることではないでしょうがこのリスクが無視できるほど低いと言い切ることのできる理由も見当たりません)などもあります。
     つまり,コスト面では,自宅サーバを選ぶ理由は一切ありません。

  • 可用性・信頼性が低い
  •  気をつけていても電気の使いすぎでブレーカーを落とすことはありますし,そうでなくても家庭用電源はまれに瞬断を起こします。ろくな検証をしていない自宅サーバ環境ではディスクのホットスワップは避けたいですので RAID を組んでいるディスクの1台が故障すればサーバの電源を落として作業したいですし,生活空間に置くものですからケーブルをひっかけて抜いてしまうことなどもあるかもしれません。サーバルームに並べられた高信頼性サーバで安定して運用されている VPS からすれば全く比べものにならないほど止まりやすいシステムだと考えるべきでしょう。
     つまり,可用性・信頼性の点から見ても自宅サーバを選ぶ理由は一切ありません。

メリット

  • トラブル対応がより容易(かもしれない)
  •  リモートアクセスが不能になるような大失敗をしても容易に復旧ができます。そのため,自分の使ったことのないソフトウェアやベータバージョンのソフトウェアなども気兼ねせずどんどん使えます。ただし,普通は VPS でもブラウザ越しにシリアルコンソールからアクセスできる機能が提供されているので,実際のメリットは微妙なところです。

  • ハードウェアの知識も(本当に少しだけだけど)付く
  •  タワー型サーバを使用する場合のみ,かつ本当に少しだけではありますが,VPS とは違いハードウェアいじりめいたことも楽しめます。

  • リソース制限が(やや)ゆるい
  •  個人が趣味で運営する程度の規模では VPS でもリソースの使いすぎで規制されることは考えにくいですし,ましてや規制される水準のリソースが恒常的に必要となる可能性なんてほぼありえないとは思いますが,自宅サーバであれば CPU やディスク I/O を制限なしで利用できます。ただし,回線の転送容量については,(ISP も VPS も具体的な数値は示されていないものの Interlinkが30GB~?/日に対してさくらレンサバのスタンダードプランが80GB/日であることから推測するに)VPS の方が大幅に制限がゆるいものと想像されます。

  • けなげに働くサーバの姿を見ると和む
  •  私はサーバを玄関に設置しているのですが,一日を終え玄関ドアを開けて帰宅するとサーバが HDD アクセスランプをチカチカと光らせながら出迎えてくれます。雨の日も風の日も回線メンテの日も,怠けずたゆまず一心に働き続ける自宅サーバ。その姿を見ると,現代社会の矛盾に耐えるうちに汚れきってしまった私の心に清らかなそよ風が吹き,僕も一生懸命頑張ろう,24時間は無理だけど1日8時間くらいは頑張ろう,と健やかで前向きな気持ちになれます。

T100TA:「SD にインストール」の実用性は?

Windows タブレットのデータ保存領域はどれも低容量ですが,T100TA の下位モデルは内蔵 eMMC が 32GB と特に低容量です。キーボードドック付きでノート PC として使うことの多い機種ですので,なおさら手狭に感じます。私の T100TA も残容量が6GBを切りそうな勢いです……そこで「ソフトは micro SD(HC/XC 含む,以下「SD」と総称) カードにインストールしよう」ということになるのですが,ここで心配になるのはその実用性です。そう,周知の通り SD カードは遅い!です。Class10 でさえ安物 CF に劣り,高速 CF も安物 SSD に勝てないというのが常識。ソフトを SD にインストールして利用するというのは果たして現実的なアイデアなのでしょうか。
今回はこの問題について考えてみます。

お決まり,まずはベンチマーク
とりあえずベンチマークを走らせてみました。使用したのは Windows 用ストレージベンチとして定評のある「CrystalDiskMark」,書き込みデータ容量は「100MB」で試行回数は「3回」という設定です。
まずは内蔵 eMMC の結果です。T100TA の内蔵 eMMC には SanDisk 製と Hynix 製の2種類が確認されているそうで,SanDisk 製のものの方が遅いそうですが,私の個体の内蔵 eMMC はその遅い方の SanDisk 製のものです。
pic-20140227-232303
なかなかの速度が出ています。

次に SD です。私が使用しているのは,信頼性と性能から見たコストパフォーマンスの高さで人気の東芝 Class10/UHS-1 対応モデル microSDHC カード,「MU-B016GX」です。もっとも T100TA の内蔵カードリーダがダメダメなので性能を引き出してやることはできません。他にも T100TA で microSD のベンチを取られている方は多いですが,概ね私の結果と似たような数字になっているので,このへんが T100TA のカードリーダの限界と見てよいでしょう。
pic-20140227-231838
物悲しげな数字が出てきました。ランダムリードの数字はそう悪くありません。ランダムライトも一昔前の HDD くらいで,ギリギリ許容範囲内でしょうか。ただ,シーケンシャルリード/ライトは目立って遅いです。また,「512K Write」がやたらと遅いのが気になります。これらの特性は実用にあたりどのような結果をもたらすのでしょうか?

実際にソフトを使って比較
実際のソフト起動時間の計測結果も紹介します。ただし,手での計測であり,値はそれぞれ二回ずつ計測した結果の平均ですので,参考程度だと思ってください。コンマ以下は3桁まで計測していますが,1桁までに四捨五入しています。
今回検証に使用したのは GIMP を PortableApps.com がカスタマイズした「GIMP Portable」。インストール条件,読み込むツールや開くウインドウなどはいずれも標準設定です。eMMC と SD の条件は上述の通り,開く画像は Pentax K-5 で撮影した7,268KB・3936×2624の JPG ファイルで,適用するフィルタは「Cartoon」(Mark radius:7.00,Percent black:0.200),エクスポートの形式は PNG で標準設定から圧縮レベルのみ「0」です。

eMMC
内蔵 eMMC の GIMP Portable を画像を指定せずに起動:
15秒4

同,内蔵 eMMC に保存された画像を指定して起動:
17秒5

上で開いた画像にフィルタを適用:
19秒6

上で編集した画像を内蔵 eMMC に保存:
3秒0

SD
SD の GIMP Portable を画像を指定せずに起動:
19秒0

同,SD に保存された画像を指定して起動:
20秒7

上で開いた画像にフィルタを適用:
19秒5

上で編集した画像を SD に保存:
6秒5

なかなか面白い結果が出ました。ベンチマークの数字では eMMC と SD のランダム・シーケンシャルリードにはかなりの差があるのですが,実際の起動時間はそれほど変わらないようです。フィルタ適用はオンメモリでの処理なので差が出ていません。そして,画像の保存には倍の差がついています。ベンチマークの数字から考えれば起動の差より保存の差の方がずっと小さくなりそうなもんなんですが。起動時には私が思っているより複雑なことが行われているのかもしれません。まあなんにせよ,実使用ではベンチマークの数字ほどには差がでないようです。少なくとも速度面については充分実用になると判断してよさそうです。

寿命の問題
速度はまあ許容範囲内ということがわかりました。ただ,問題は速度だけではありません。
次に気になるのはSD カードの寿命がどれくらいのものなのかということです。もちろん SSD も SD カードも使っているフラッシュメモリの寿命という点では変わりません(一般に,MLC の場合で1ブロックあたり書き換え1,000〜10,000回程度だと言われている)し,SSD と同じく SD カードもウェアレベリングはしています。しかし,SSD が壊れたという話はほとんど聞かないのに対して,SD カードは自分の経験だけでもよく壊れています。これは一体なぜでしょう。SSD と SD カードの違いを考えてみるに,以下あたりが怪しそうです。

    • 容量の違い?

SD カードは数GBなど低容量のものが多いが,低容量のため代替ブロックが少なく,それが寿命の短さにつながっているのでは,という仮説。

    • コントローラの性能や寿命?

SD カードは SSD と比べてコントローラの性能が低く不良ブロックを見落としやすいのではないか,あるいはコントローラの寿命が短くフラッシュメモリの寿命より早く挙動がおかしくなるのではないかという仮説。

    • ウェアレベリングしていないカードがある?

ネット上のベンチ結果情報を見ると,寿命は長いものと短いものに二極化している印象を受けます。また,私はコントローラチップのメーカーがウェアレベリングしているといっているのだからしているのだろうと思っていましたが,SD カードはウェアレベリングをしていない,という主張も時折見かけます。ひょっとして安物カードのコントローラはウェアレベリングをしていなくてフラッシュメモリがすぐ死ぬのかも?という仮説。前2つよりさらに無根拠です。

    • 単純に数の差?

たとえば私の部屋に SSD は3台しかありませんが SD カードは20枚くらいあります。つまり,そもそも SD カードの方がよく壊れるという前提が間違いなのでは,という仮説。案外これだったりして。

立ちはばかる謎を解決する手がかりを得るべく検索エンジンと格闘したのですが,この問題につき満足のゆく答えは得られませんでした。かくなる上は自分で実際に検証してみるしかないのですが,それだけの根気も財力も結果が正しいかを判断できるだけの知識もないので,形あるものは全て滅びる定め,与えられた運命を受け入れ……じゃなかった,破損しても問題のないデータのみを置くようにして,いつ壊れても大丈夫なように設定ファイルなどはこまめにバックアップを取るようにして使っていこうと思います。引き伸ばした割にダメダメな結論で申し訳ありません。

紛失の問題
T100TA はなぜか microSD カードがスロットから少しはみ出す(ツライチにならない)作りになっています。ツライチにするのも難しくはないだろうになぜわざわざこんな仕様にするのか本当に理解に苦しみますが,現にそうなっているものは仕方ありません。考えられる対策としては以下のようなものがあります。

    • SD カードを削る

実施済み。ただ,T100TA の場合カードの背ではなく回路のある腹の側を削らねばならず,あまり大きくは削れません。そのため,安全圏内でギリギリまで削ったとてほとんど改善はしません(若干引っかかりにくくなる程度)。

    • テープでとめる

これが最良の選択肢かもしれません。ただ,気づかないうちにカードがリリースされていて接触が不安定になりデータが破損するリスクがあります。また,テープでとめたところで粘着力が弱まって落ちないという保証はありません。

どちらも抜本的ではありません。流出したら困るデータはそもそも置かない,という配慮が必要でしょう。これはけっこう致命的かもしれません。またもやダメダメな結論で申し訳ありません。

結局のところ
microSD についてはあくまでも補助的に考えるべきのようです。速度面ではそれほど問題は無いようですが,寿命が不明なので破損したら面倒なことになるデータは置きたくありませんし,ソフトにしても,ブラウザやメーラーなど流出させるわけにはいかないセンシティブな情報を設定ファイルに含むソフトは残念ながら置くことはできません。その一方で,ゲームやダウンロードしたファイルの置き場としては大活躍することでしょう。実際,試しに「Tropico 4」というゲームを SD にインストールしてみましたが,ローディングこそ少し遅いもののなかなか快適にプレイできています。もし microSD スロットがなければ空き容量の問題からこのマシンでゲームを楽しむことはできなかったはずですので,この microSD スロットのおかげで活用の幅が大きく広がったわけです。表題の問いに対しては,「用途によっては充分に実用的だし,用途によっては実用云々の以前に危険」という答えになりそうです。

続編? → T100TA: Truecrypt の力を借りて microSD カードの実用性を上げるメモ | 怠惰の形而上学

参照:

「Kanvus Note A5」を Linux で(兼・簡易レビュー)

近ごろ安く出ている台湾 Kworld 社の「Kanvus Note A5」。これはどういうものかというと,バッテリ駆動で PC から独立して利用できるペンタブで,上に A5 サイズの紙ノートを据えボールペンであると共にデジタルペンでもある専用ペンでメモを取ると紙媒体だけでなく電子データとしてもメモが残るというもの。本格的な液タブを搭載したタブレット PC が使えればそりゃいいですが重いしバッテリ持たないし冗談みたいに高い。流行りの Android や iOS のタブレット端末は精度が低くてとてもじゃないが文字書きには使えない。紙のノートをスキャンするのはかなり良さそうだがいかんせん手間だしイニシャルコストがそれなりにする(最低でも二万円,実用するなら三万以上は用意せねばならない)。そんな中,ペンタブの実用的な精度の出るデジタイザをそのまま活用できる本品はなかなかいいところを突いてると言えるのではないでしょうか。まあ一万円を超えているとかであれば少しは考えますが,今なら投げ売りで野口さん三枚でお釣りがくるときた。この手の機器を見ると血が騒ぐガジェットオタクとしては買うしかないでしょう。ひょっとしたら,実用できるかもしれないし。

発売が2010年とやや古く,値段を見ても在庫処分に入っているようなので,この製品はあまり長くは出ないかもしれません。そのため,この記事は読みやすさより早さを優先して一気呵成に書きました。読みにくいかと思われますがご容赦を……

さて,この Kanvus Note A5。秋葉原では良くも悪くも有名な,玉石混淆の品揃えでお馴染みの某 A 店が最安のようです。この店はなんというかアジア的な感覚でやっておられる店で,面白いもの,珍しいものをとても安く手に入れることができるのですが,活用には少々コツが必要です。A 店の POP では「文字認識! 多機能! 高性能ペンタブとしても使える!」みたいな感じのことが書いてあった気がしますが,これを文字通り受け取っているのではシロウトだと言わざるをえません。こういう買い物には情報,もしくは勇気が必要です。勇気というより蛮勇かもしれませんが。この機種については検索してもあまり細かな情報は得られませんので,もっぱら後者が問題となります。とはいえこの値段であればたとえダメダメでも諦めはつくだろうということで購入したわけです。後進に情報を残すのが人柱 er の努め(?)ですので,ちょっとレビューしてみましょう。なおこの機種の取扱説明書はウェブ上から無料でダウンロードできます(こちら・PDF)。購入前に目を通しておくとよいかもしれません。

 

・電子ノートとして

後述。

・ペンタブとして

まあ……当然ですがあまり多くを期待してはいけませんね。低価格ペンタブとしては頑張っている方だとは思いますが,重要な技術をいくつも特許でおさえている WACOM の製品と比べると,電子ペンの低機能さ,ペンに電池が必要なことによる重さ・電池交換の手間,ペンのチープさ(電池を入れるためにハウジングを開けたらあまりの貧弱さに折れないか心配になった),あと実用上の違いは未チェックですがカタログスペックもいろいろ劣るようです。WACOM のエントリー向けペンタブの中古は安く手に入りますが,そちらのほうが機能も利便性も品質(丈夫さ)もずっと上です。自分のペンタブの主な用途は写真編集で,絵を描く人に比べるとライトユーザーもいいとこですが,その程度でも実際の感覚としてそれなりの違いがあります。PC につなぎペンタブとして利用するのをメインの利用方法として予定しているのであれば中古の WACOM 製ペンタブを購入した方がよいかもしれません。

なお,Linux 環境においても,以下の設定をすることでペンタブとして正しく認識させることができるようになるようです(未検証。にしてもネットの海にはこんな情報まであるんだなあ)

Installing the Kanvus Note A5 tablet on Linux « Site 42

・付属品等

筆圧検知機能付きのペン1本,筆圧検知機能はないがボールペン付きのペン2本,多機能な専用ケース(説明書には「レザーケース」なんて偉そうなことが書いてありますが当然ポリウレタンのこれ以上ないほど安っぽいものです),ソフト類等とかなり充実しています。ただし,本製品の発売は2010年。経年劣化が無視できませんので少しだけ注意が必要です。ペン類には問題がないため困ることはありませんが,たとえばケースは空気で分解してボロボロです。単4電池に至っては数本盛大に液漏れしていました(笑) 見た目が大丈夫そうなものでも液漏れ寸前のはずです。間違えて機器に入れてしまわないよう気をつけましょう。

・消耗品の入手性

良好です。

本体の電池は単4×3,筆圧ペンの電池は単4×1,ボールペン付きペンの電池は PR48 空気電池x1。いずれも安価かつ手軽に手に入れられるものです。

ペン先について。ボールペンの指定リフィルは「Mini Star D1」なる見慣れないもの。調べてみた限り入手は難しいようです。では交換できないのか? というとそうでもないようで,似たような規格のリフィルは国産品でもいくつか見つかります。実際に試してみたわけではありませんのでなんとも言えませんが,「ZEBRA 4C-0.7芯」あたりが使えそうな雰囲気。筆圧検知ペンのペン先は専用品ですが,予備が3本も付いていますし,酷使するわけでもなければ全部がすり減って使えなくなる前には本体が壊れているだろうと思われます。

単4電池に充電池を使えば,月のランニングコストは数十円程度になると思われます。

 

以下やっと本題。こいつを Linux で使えるようにしましょう。といっても勿論 Linux 用ドライバなんて提供されてはいません。つまり,PC に接続した際に内蔵メモリがマスストレージクラスとして認識されるか否かに全てがかかっています。2010年発売なら行けそうな気もするが……? ともかく USB ケーブルを差し込んでみましょう。……認識した! やったぜ。……あれ,でもなんだこのファイル? なに「.DNT」? 開けるソフトはないっぽい? やっちまったぜ。 ということで,ファイル自体は参照できるものの開けないという大変はがゆい状況に。とはいえ手元には専用ソフトが満載されたドライバ CD があるわけで,これを利用できれば問題ないわけです。そう,WINE に登場願いましょう。WINE は Windows 互換レイヤーであり x86/x64 であれば他の OS で Windows アプリケーションを……という能書きはまあ置いといて,さっそく試してみましょう。この忌々しき .DNT を見慣れた形式に変換してくれるのは「Digital Organizer」というソフトらしい。ドライバ CD の Autorun.exe を実行するとどのソフトをインストールするか聞かれますが,他のソフトはぶっちゃけ不要ですのでチェックボックスからチェックを外して,「Digital Organizer」だけインストールするようにしました。幸運なことにインストールは無事に完了。アプリケーションランチャーに Wine > Programs > Kanvus Tablet Software > DigitalOrganizer が登場します(Wine 1.4.1,Debian Wheezy で確認)。祈るような気持ちで Digital Organizer を立ち上げたところあっさり起動。デスクトップの .DNT のファイルたちを無事 .JPG に変換できました。やった! 最近の WINE ってホントすごいですね。いろいろと試し書きしてみましたがけっこう使えそうという感触です。Android や iOS のタブレット,こと静電容量式とは使い勝手がまるで違います。この機器を買った理由は「大学の講義ノートを電子データとして保管・利用するため」なのですが,それぐらいの目的であれば果たされそうです。さて,実用になる(っぽい)ということが明らかになり次に考えるのは USB 接続の Kanvus Note A5 を WINE そして Digital Organizer に認識されせたいということですが,ファイルサイズがとても小さいことだし,設定もめんどくさそうなのでもうシェルスクリプトで ~/ に作った一時フォルダにコピー→ Digital Organizer で手動変換(そう手動! これだから Win○ows 用ソフトは!),とすることにしました。出てきた .JPG はシェルスクリプトで Dropbox フォルダに移します。これで Android のタブレット端末で講義ノートを参照できるというわけ。先述のようにソフトは他にもいろいろ添付されているし Digital Organizer にも他にいろいろ機能はあるようですが興味がないのでレビューしません。以上!

以下,今回の記事のまとめです。

・けっこう使えそう。

・Linux でも(少なくとも基本的な機能は)問題なく使える。

・いろいろわかってる人にはかなりおすすめ。

 

(13/9/3 追記)

こんなものが出ていたことに気づいた。すごく良さそう。これの大画面版が出たら買っちゃうかも……

WG-N20 | 電子ノート:シャープ