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raytrektab 8インチモデル RT08WT レビュー

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RT08WT
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先日購入した RT08WT という Windows タブレットについて急ぎメモ。

RT08WT について

raytrektab 8 インチモデル RT08WT は,ドスパラ(サードウェーブ)が発売している Windows タブレットです。raytrek は同社のクリエイター向け製品ラインです。

Windows では珍しい 8 インチで,Wacom feel IT technologies EMR の優れたデジタイザでのペン入力が可能です。

ツールからはマザーボードの情報として「Techvision 8016E」というデータを読み取ることができ,本体に刻印されているシリアル番号も「8016」から始まっています。このことから,実際にはこの Techvision というベンダが開発製造しているものと考えられます。

Techvision は中国のマイナーな ODM ベンダで,ドスパラのタブレットでは多くの採用例があります。品質についての評価は必ずしも高くはなく,いわゆる中華タブレットのひとつと考えるべきでしょう。

値下げにより,執筆時現在,税込 19,990 円という破格の値段で販売されています。これがモデルチェンジ前の底値かと思います。

なお,RT08WT には発売後に追加されたイラストレーターとのコラボレーションモデルがあります。主にちょっとした付属特典の違いで,本体は壁紙画像以外同じです。後述のようにロットにより問題のある機種なので,在庫品を掴む可能性をなくすという意味で,コラボレーションモデルを選ぶのは有効かもしれません。

既知の不具合

タッチパネル……本機種の前期ロットでは搭載している Goodix 製タッチパネルの動作に問題があり,CPU リソースを常時 30% 程度消費する問題が報告されています。私の購入した個体を含む新しいロットは影響を受けておらず,アイドル時のCPU使用率は 5% 程度です。中古で購入するのは避けたほうがよいかもしれません。

動画再生支援……YouTube の再生時などに動画が表示領域からずれる問題が報告されています。これは私の個体でも YouTube で再現しましたが,動画解像度を 480p から何かしら別の設定に変更すると,発生していません。

よい点

コンパクトで持ちやすい!

8 インチ筐体はコンパクトで持ちやすく,10 インチのものとは使い勝手が全く違います。

10 インチは既に持っているのでさんざん悩んだのですが,握った瞬間「やっぱり買ってよかった!」と思いました。

ゲーム機のように両手でホールドすると,親指で大抵の操作ができてしまうのも魅力です。

重量も 434g と軽量です。もっとも 8 インチタブレットとしては重く,感覚としては見た目より重い印象を受けます。

充実した基本性能

Celeron N4000,RAM 8GB,eMMC 128GB (SanDisk DA4128) と,8 インチタブレットとしてはかなり高い性能を持っています。

特に RAM 容量は特筆すべきもので,あまりスワップせず快適な上,eMMC の寿命延長も期待できます。2GB で頑張ってた時代からすると隔世の感があります。ストレージの SanDisk DA4128 も eMMC としては高速です。

現在の水準からすると Celeron N4000 の性能は低く,溜まった Windows Update がバックグラウンドで走っているような時には体感できるほど遅くなりますが,そうでなければ,ウェブブラウジングのような通常の用途でもたつきを感じることはほとんどありません。

総じて,快適に使用できています。

高視野角で自然な発色の液晶ディスプレイ

8bit (合計 24bit)深度でオプティカルボンディングの IPS ディスプレイが採用されており,発色もそこそこ自然で見やすいものです。

ただし,周辺が明るくなる輝度ムラがあり,最近の製品としては目立つ部類と言えます。

また,標準貼付のアンチグレアフィルムの品質が低く,表示がぼやけてしまいます。できればサードパーティの製品に張り替えたほうがよいかもしれません。

なお純正の替えフィルム(「本体に標準で貼り付けられている保護フィルムとは異なります」との記載あり)は,3 枚 500 円(!)で売っています。

低発熱

高負荷をかけるとそれなりに暖まりますが,心配になるほど高温になることはありません。

充電しながらの使用も全く問題なく,室温 28 度くらいの環境で電源に繋いだまま Windows Update を走らせても CPU は 60 度前後までで推移しました(PD 30W)。ポートの配置も充電しながらの使用に適しています。

個人的に,最も期待を超えていた点です。

安定した通信

Intel Wireless-AC 9461 を搭載し,タブレットながら安定した通信が可能です。5Ghz 帯にも対応しています。

剛性の高い筐体

しっかりとした作りで,きしみやたわみはありません。片手で持っても不安定な感覚はありません。

背面の金属プレートの触り心地もよいです。

気をつかわず安心して普段遣いできます。

Windows 10 Pro 搭載 & Windows 11 対応

この値段ながら,Pro 搭載です。また,Windows 11 へのアップデートが可能です。

指紋リーダ搭載

Windows Hello 対応の指紋リーダが搭載されています。なお,一見押せそうに見えますが,ボタン機能はありません。

これを使用することで,電源ボタンを押すことなくレジュームして使用できます。

充実した付属品

EMR ペンと 30W の PD 電源アダプタ,Clip Studio Paint Debut 2 デバイス 24ヵ月キー,またコラボレーションモデルではちょっとした特典も付属しています。

Wacom feel IT technologies EMR タッチペン対応

本当はこれがこの機種の一番の売りなんですが,Wacom でも上位グレードの Wacom feel IT technologies EMR デジタイザを搭載しており,液タブのように使用することができます。

筆圧や傾きの高度な感知にも対応しており,絵を描くのに最適な仕様です。

24ヶ月版のお絵描きソフト Clip Studio Paint Debut も同梱されています……残念ながら,絵を描くためのスキルは同梱されていませんが。

よくない点

タッチパネルの感度が低い

タッチパネルの感度が低すぎ,スクロールしているつもりがタップされてしまうなどの誤動作が発生します。10 年くらい前の Windows タブレットってこんなのだったな……という感じです。

富士通のスマートフォンみたいに指紋リーダでスクロールできたりしたら便利なんですけどね。まあ特許とかあるんでしょうけど。

もっとも,タッチパネルの感度については,保護フィルムを剥がせば改善する可能性もあります。

バッテリのベンダ

バッテリのベンダ名として "GLK MRD" なる謎の名前が認識されています。

素性はまったく不明ですが,どうやら Chuwi や Teclast など,そんなに品質がよろしくないところの製品だけで登場するもののようです。

熱設計は良好で故障の話もそれほど見かけないのですぐに膨らむ心配はしなくてよいでしょうが,寿命にはあまり期待できないかもしれません……

最低輝度が明るすぎる

輝度を最低にしてもそれほど暗くならず,真っ暗な部屋での使用には向きません。

夜間モードや,サードパーティのスクリーンディマーを使用することで多少改善します。

USB ポートはひとつだけ

イヤホンジャックと microSD カードスロットがあるのはいいのですが,その他にあるのは,充電を兼ねた USB Type-C ポートひとつだけです。充電に対応したハブを使えばいいのですが,少し不便です。

製造番号シールの印字消え

ドスパラが貼付している製造番号シールの印刷が弱く,使っているはしから印字が消えていきます。もうちょっとなんとかならないのでしょうか?

microSD スロットの仕様

内蔵 microSD カードリーダが USB 3.0 接続の通常のマスストレージドライブとして認識されており,取り出し操作をすると再起動等をするまで認識しなくなります。

筐体デザイン

裏面の筐体デザインは率直に言ってダサく,また角張っているため手に馴染みません。

通気孔もホコリが入りそうで好きでありませんが,これのおかげで冷えているのかもしれません。

その他

バッテリ持ちはそれなり

最低輝度・「より良いバッテリー」設定でウェブブラウジングなど軽めの用途に使うと,概ね 5-6 時間程度の電池持ちです。「最も高いパフォーマンス」で負荷のかかる作業をすると 3 時間を切るので,本来の用途通りイラストを描くなどするとやや短いと感じるかもしれません。

家で使う分には決して悪くありませんが,先述のとおりバッテリの品質に期待できそうにない(早い劣化が予想される)ことも考えると,モバイルするには少々心もとないかもしれません。

USB PD 充電

充電は USB Type-C の USB PD で,30W のアダプタが付属しています。

USB PD は耐久性やセキュリティの面で個人的にはあんまり好きでないのですが,便利に感じる人も多いかと思います。

1280 x 800 の解像度

FHD や WUXGA が当たり前の現在の水準からすると低解像度と言えます。

とはいえ,8 インチですとこれくらいで充分だと思います。グラフィックリソースの消費が少なく消費電力・発熱が減るという長所もあります。

S3 サスペンド

サスペンドはタブレットで多い S0ix ステート(Connected Standby, InstantGo, Modern Standby など改称を繰り返して呼ばれているもの)ではなく,通常の PC と同様の S3 ステートです。

この結果,レジュームには10秒近くかかります。

賛否ある点かとは思いますが,Windows の S0ix ステートの不安定さに悩まされ続けてきた身からすれば,個人的には S3 ステートなのはむしろ好ましい仕様です。

カメラなし

タブレットでは珍しくカメラや輝度センサを搭載していません。一方で,方向を検知するセンサやマイクは搭載しています。

音質

スピーカ・イヤフォン出力ともに音質は悪いです。しかし,気にする人は少ないでしょう。

なお,もし気になるのであれば,Bluetooth イヤフォンを使うと良いかと思います。

Clip Studio Paint Debut の期限

同梱ソフトの Clip Studio Paint Debut ですが,永続ライセンスではなく,2 デバイス 24 ヶ月の期間ライセンスです。

アクティベーションだけして放置していると,いつのまにかライセンス期限切れになっているかもしれないので気をつけましょう。

もともと体験版に近い位置づけのエディションのようですので,気に入ったら期限を気にせず上位版を購入するのがいいのかもしれません。

高負荷時のノイズ

3D ゲームを起動しているなど CPU, GPU ともに高負荷な時に,スピーカから小さなノイズが出ます。最初はファンが載っているのかと驚きましたが,まあ実用上影響はないと思います。

UEFI ファームウェアについて

一応 UEFI ファームウェア(AMI 製)の設定画面に入ることができますが,普通であれば非表示にしてあるはずの項目や,項目名と選択可能な値が食い違っている項目などもあり,かなり荒削りな状態です。下手にいじると動作しなくなる可能性がありますので,設定の変更はしてはいけません。

総評

8 インチに実用的なスペックと Wacom EMR デジタイザを詰め込んだ野心的なタブレットであり,現在の価格は破格と言えます。全体的な感想としてはとても満足しています。

実は 8 インチ Windows タブレットは初めてではなく,以前 Dell Venue 8 Pro や Lenovo Miix 2 8 といったタブレットも使っていたことがあるのですが,RAM 容量や発熱,動作の不安定さなど,当時の不満がすべて解決されています。

気になるのであれば,迷わず買って損はないかと思います。

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