キーボード静音化リングを試してみる

キーボード静音化リングとは？

キーボード静音化リングとは，メカニカルキーボードに装着することでタイプ音の静音化等を期待できるシリコーン製の小さな輪のことです。通常は Cherry MX またはその互換フォームファクタを採用したスイッチのために設計されています。

ざっくりとした図で恐縮ですが，以下が動作原理の模式図です。通常であれば奥まで押されて樹脂やバネがコツンとぶつかるところ，シリコーン製のリングが挟まることで衝撃を和らげるというわけです。

今回，以前試しに買ってみたものの音の大きさからあまり使っていない互換青軸タイプの安価なキーボード（Gamdias Hermes E2）に静音化リングを取り付けてみましたので，メモしておきます。

取り付け方

先述の通り，キーボード静音化リングは単なるシリコーン製の輪っかです。おそらく，どれを買ってもそう変わらないかと思います。ただし，着色されているものは耐久性が劣るようですので，通常は半透明白色のものを選ぶべきでしょう。

キーボード静音化リングを取り付けるには，もちろん，まずキーキャップを取り外す必要があります。傾いた方向に力がかかり故障の原因となるので，指で外すのはやめましょう。専用の器具が安く売られています。

下段のような樹脂製のタイプは安価ですが使いにくく，構造上キーキャップを傷めやすいです。特に理由がなければ，上段に示したようなワイヤ式のものを購入しましょう。

キーボード静音化リングはスイッチではなくキーキャップに取り付けます。

左から，リングを装着していないキーキャップ，リングを取り付けたキーキャップ，リングがしっかり装着されたキートップです。

リングをひとつひとつ奥まで取り付ける必要はありません。ある程度しっかりと軸受けにはまっていれば，あとはキーキャップをスイッチへ取り付ける際に勝手に奥まで行ってくれるからです。簡単ですね。

なお，ピンセットなどで取り外せばいいだけですので，気に入らなかった場合の収去も簡単です。

ただし，取り付け方が浅すぎると，スイッチに取り付ける際に外れてやり直しになる場合がありますので，取り付けの際にはリングを軸受けに指の腹で押し付けるようにしましょう。

後述するように，このとき 2 つ以上のリングを取り付けるという選択肢もあります。

効果（青軸の場合）

長所

ストロークを調節できる

装着するリングの数を変えることでキーストローク（押した際にキートップが沈み込む深さ）を調節できます。

特に青軸等のクリッキータイプのスイッチでは，どうしても底まで打ってしまいがちです。そのため，ストロークの深さが動作のロスや手への負担としてのしかかってきます。

たとえば小指で押すキーはリングを 2 つ装着するなど，リングの装着数を変えることで，手への負担を軽減して快適なタイピングができるようになります。

手への衝撃が小さくなる

クリッキータイプのメカニカルキーボードは底打ちが前提となっているため，手に負担がかかりやすいという欠点があります。

キーボード静音化リングを装着することにより，衝撃が緩和され，腱鞘炎等のトラブルを避けやすくなります。

音が小さくなる

静音化リングはキー部品同士の衝突による衝撃を軽減するものです。スイッチの内部で意図的に音を発生させているクリッキータイプではそこまでの効果はありませんが，それでも一定の効果はあります。

もちろん，青軸キーボードが赤軸のような音になるわけではありませんが，長文を打っていると気分が悪くなるほどの騒がしさではなくなります。

短所

爽快感が削がれる

ややゴムっぽい感触になることに加え，音もこもった感じになります。実用的にはなりますが，タイプ感の華は損なわれます。

好みが分かれる点

ストロークが浅くなる

原理上，ストロークが浅くなります。個人的にはこれは大きな長所ですが，たとえばゲームには向かないかもしれません。これは好みの分かれるところかとは思います。

結論

個人的には満足のいく効果を得られました。しかし，特にクリッキータイプではその特長に相反するような部分があるため，好みは分かれるのではないかとも思いました。

今回使用したのは Amazon マーケットプレイスで "Litorange" というところが販売しているもので，500 個入りで清掃用ブラシ 2 本も付属するなど，国内に在庫があるものでは圧倒的なコストパフォーマンスです。マケプレですが，レビューが多く配送も FBA（Amazon による配送）ですので，ハズレを引く心配はあまりないように思います。

今回のでかなり付けまくりましたが，ぜんぜん減った様子がありません。シリコーンなので保管しておいてもそうそう劣化しないとは思いますが……

ノーブランド品を避けたい場合，サイズも同等のものを出しています。ただし，入数は数分の一のようです。