Imagination Technologies 社が MIPS 搭載シングルボードコンピュータを発表

New MIPS Creator CI20 development board for Linux and Android debuts – Imagination Blog
Imagination Launches MIPS-Based “Creator CI20” Development Board For Linux And Android, Free For Developers

 この手のシングルボードコンピュータはもはや珍しいものではなくなっていますが,コレは(よくある ARM でなく)MIPS CPU を搭載しており,しかも MIPS アーキテクチャの総元締めである Imagination Technologies 社直々の投入ときており,なかなか面白いので紹介。
 MIPS アーキテクチャは,古くからマイクロプロセッサ設計の教材として用いられてきたことで知られているほか,今でも組み込み用途でよく使われているアーキテクチャです。しかし近年では,家電の多機能化などもあるのか,Android を制した ARM に人気が移りつつあるようで,MIPS とってはあまり好ましい状況が続いているようです。2012年の Imagination Technologies による MIPS Technologies の買収はその現れでしょう。このままでは ARM の x86/x64 侵攻も静観するしかない状況です。
 恐らくはそうした現状を打破するためでしょう,突如投入したのがこの開発者向けシングルボードコンピュータ「Creator CI20」というわけです。Debian 7 に対応,Android 4.4 にも対応予定となっています。Raspberry Pi を意識したようなハード構成になっており(公式 Blog からも Raspberry Pi や Linux 「コミュニティ」を多分に意識していることが伺えます),豊富な拡張端子,強力な再生支援,そこそこよい性能を備え持っています。そしてその値段は,なんと無料! ――ただし,自分自身についての情報と予定している Creator CI20 を使ったプロジェクトの詳細を Imagination Technologies 社に送り,認められた人のみです。技術力と影響力を持った人に無料配布し,実際に開発をして広告塔になってもらおうという考えでしょう。Google が Android を発表した時と同じやり方ですね。現在のところ市販の予定はないようです。
 さて,この試みが成功するかどうかですが……個人的には,どれだけ情報をオープンにできるか,どれだけオープンソースコミュニティに貢献できるかにかかっているのではないか思います。Google の Android と違い圧倒的に強力なライバルが存在しているという事実も考慮せねばなりません。今回の発表はつまるところ Linux コミュニティの中でも本職の技術者やハイアマチュアを惹きつけるための施策です。狙いは賢明だと思いますが,彼らの支持を勝ち取るためには,彼らにとっての最大の魅力であるところの「自由さ」「開発のしやすさ」が確保されていなければなりません。たとえば,Creator CI20 は Debian Wheezy をサポートしていますが,Imagination Technologies の Debian Project に対する支援はそれほど積極的でないように見受けられます。本気で Linux コミュニティに訴えかけるつもりがあるのであれば,より積極的な支援を行うべきでしょう。また,このボードをはじめ現状 MIPS をデスクトップ利用しようとすると必ず PowerVR がセットになりますので, 当然 PowerVR についての情報もよりオープンにすべきです(公式 Blog を見る限りその意向であるように思われますが)。Broadcom でさえ Raspberry Pi の GPU ドライバをオープンソース化した今,GPU のパワーを引き出すためにはバイナリ配布されるプロプライエタリドライバが必要,というような状況では早晩愛想をつかされてしまうでしょう。また,PowerVR 用のフリーなドライバの開発は FSF の High Priority Projects の一つに数えられており,活発に開発されているようですが,まだ万全ではないようです。これを機に可能な限りの協力と支援を行うべきです。

Brastel 050 Free と Fusion IP Phone Smart の仕様比較

現在,月額基本料が無料の国内の SIP サービスは「Brastel 050 Free」と「Fusion IP Phone Smart」の2つが存在しているようです。自分はあまり深く考えずこのうちの Brastel の方を使い始めてみたわけですが,両者の仕様をよく比べてみるとかなり性格の違うサービスのようですので,簡単に比較してみたいと思います。なお,スマートフォン + MVNO SIM での利用を念頭に置いています。

いきなり比較表から行ってみましょう。

対固定電話 対携帯電話 対海外 対同一サービス 留守番電話 圏外着信通知 着信転送 SRTP/TLS 対応コーデック
Brastel 050 Free 1.44円 5.94円 国・回線種別による 無料 非対応 GSM,G.711μ-law?(公式サポートは GSM のみ)
Fusion IP Phone Smart 8.64円 8.64円 8.64円 無料 非対応 Speex(8kHz),iLBC,GSM,G711μ-law,G.722

(通話料金は税込,30秒あたりに換算。実際の課金単位は異なるものもあります)

見て分かる通り,「安さの Brastel」「機能の Fusion」ときれいに得意分野が分かれています。

通話料金
圧倒的に Brastel 050 Free が安いです。対携帯電話でも Fusion の 69%, 対固定電話に至っては17%(!)です。海外通話は Brastel の場合国や回線種別によって料金が異なりますが,対固定電話では Brastel のほうが圧倒的に安いことが多い一方,対携帯電話では逆転することも少なくないようです。同一サービスへの通話は両社とも無料です。

留守番電話/圏外着信通知/着信転送
今度は Fusion IP Phone Smart の独走です。特に圏外着信通知の有無はかなり大きいですね。本来 SIP は固定電話の置き換えとして生まれた規格であるからか,携帯電話のようにプツプツ圏外になる環境は想定していないようです。そのため,事業者で独自の対策を施していない限り圏外での着信を通知する仕組みはないようです。
もちろん Brastel であっても普通の SIP サービスである以上は自前で適当に留守録・圏外着信通知・着信転送もどきシステムをでっち上げてしまうことは可能です。しかし,既に内線システムが組んであるなどでもない限りは(このサービス専用としては)構築維持の手間はメリットに見合わないと思います。

SRTP/TLS(セキュリティ)
端末から事業者サーバまで(SIP 同士の場合は端末同士)の通信を暗号化します。Brastel および Fusion では,残念ながら対応していないようです。これらに対応していないと,たとえば公衆無線 LAN に接続している場合などに,通話内容を盗聴される可能性があります。モバイル対応を謳うなら必ず対応すべきだと思うのですが,どうでしょう。

対応コーデック
Fusion IP Phone Smart ではここで対応コーデックが書かれており,Speex(8kHz),iLBC,GSM,G.711μ-law,G.722となっています。一方の Brastel は特に明記されていないようです。公式のセットアップガイドではクライアントで GSM 以外のコーデックは無効化せよとの指示があり,公式サポートは GSM のみということかと思われます。ただ,非公式ながら,G.711μ-law も使えるようです(これのみを選択してもエラー無く通話できる)。G.729 が使えるという話はデマのようです。
こちらも Fusion IP Phone Smart の勝ちです。上の G.722 対応も気になりますが,やはり下の iLBC 対応が目を惹きます(Speex もありますが,可変ビットレートのため少し事情が異なり,また音質についてもあまりよい評判を聞かない)。iLBC は低速回線向けのコーデックで,音質の割に低容量というのが売りのようです。使用する帯域としては GSM と比べてたった16kbpsの差ではありますが,DTI 490円 SIM のような細い回線ではこの16kbpsに救われることもあるでしょう。

総評
発信が多い人は当然 Brastel でしょう。逆に,着信のみの人や,Brastel で17.28円/分を超える国・回線種別の人と多く通話する人は Fusion を選ぶべきです。それ以外の場合では,圏外着信通知と留守番電話をどう評価するかで適した選択が変わってきます。特に圏外着信通知機能は“携帯電話”として求められる最低限度の機能のひとつであり,仕事などで使う人は(仕事で使うならそもそもこうした格安サービスを使うべきではないというのはありますが)Fusion しか選択肢に残らないでしょう。

2014/8/27追記:
ユニークなやり方で圏外着信通知・留守番電話・着信転送機能を簡易的に実現している方がいらっしゃいました。
ブラステル(050)に留守電や着信通知を付加する方法 | 自己満 備忘録

Brastel 050 Free を契約したメモ

概要
・いわゆる SIP サービス。
月額基本料(050番号使用料を含む)無料,Brastel 050 Free 回線同士の通話も無料。電話回線への通話料も携帯電話の音声回線と比べて安い。また,オープン標準に準拠したサービスであるため好きなクライアントを利用できる。
・事業者のブラステル株式会社は1996年設立で国際電話が主力の日本の会社。電話回線のノウハウもあるはずなのでよくある新興の専業企業より安心できそう。それにサーバが国内にあるので海外のサービスと比べて対電話回線の通信が安定する,かも。
・セキュリティがどうなっているのかは記載がなく不明。SRTP が使えず TLS も使えないので垂れ流しの可能性が高い。信頼できる回線(自宅の共用でない固定回線,モバイル回線など)でのみ利用しましょう。また,その場合でも,国家機密とかについて話すのはやめときましょう。->なお NTT Com の「050plus(月額基本料324円)」は SRTP,TLS 対応らしい。もちろん対電話回線の通話ではサーバまでの暗号化なのでその場合はこっちもやはり国家機密は話せませんが(?)
・また,IP 電話に共通する話として,電話回線と比較して信頼性が低いのでそのへんは頭の片隅に置いておきましょう。

契約
・けっこうわかりにくい。
・クレカでのオンライン登録が可能だが,SMS に対応した(つまり音声通話に対応した)携帯電話回線が必要になるほか,始めに2000円チャージする必要あり。Brastel Card を取り扱い店舗に行けば500円のチャージで登録できるらしい。
・左の「インターネット電話」>「スマホ・パソコン・その他端末」から登録開始(「Flipのお申し込み」ではない)。
・「ユーザーID」は「アクセスコード」の左8桁,「暗証番号(PIN)」は「アクセスコード」のスペースを挟んだ右4桁。ややこしいので注意。
・個人情報を入力したり規約(余談。短いのは嬉しいものの不備が多い気がする。特に「利用の停止について」6-iiは定義なしの「他の団体」に不正行為を行った利用者の個人情報を提供すると読めるのでアレ)に同意したりして登録完了
・050 Free の登録と050着信サービスの登録は別なので注意! 末尾「7800」はシステムの発信専用番号です。左上「ログイン」からログインの上「カード情報」>「SIPアカウント」から番号追加。番号は選べない。

準備
・標準アプリは無料の「Cloud Softphone」およびその有料版の「Acrobits Softphone」というものの2つで,プッシュ着信はこの2つのソフトでのみ公式サポート。ただ,あんまり使いやすくはない。バッテリ消費量如何では「CSipPhone」みたいな定番のほうがいいかも。その場合も,アカウント名(ソフト内でのみ使用する任意の名前),サーバ(ドメイン/ホスト),ユーザ名(ユーザーID),パスワードを入力するだけで利用可能。

発信
・冒頭にチャージ残高での通話可能時間についてのガイダンスが入る(数秒)。10秒くらいの自社サービス宣伝が流れることもある。そのまま待つと発信,普通に通話できる。
・まだちゃんと会話して試してはいないけれど,自分の回線にかけてテストしてみた限り,DTI 490円 SIM のベストエフォート250kbps回線でも問題なく通話可能。

着信
取得した050番号で着信できる。着信はプッシュ対応。
某巨大掲示板の情報によると APN f1.mobile.ne.jp または lte-mobile.jp に接続する回線ではプッシュ着信はそのままでは利用できないらしい。その場合でも「PNF NoRoot」というソフトを導入することで解決できるらしい。
ありがたいことに,向こうに聞こえる「○×にお繋ぎします」のようなガイダンスはなし。そのまま繋がる(番号と音質以外は電話回線と変わらない感覚で利用してもらえる)。

人感センサ付きデスクライトが欲しいメモ

いつもどおり自分用メモ。

どのようなものが欲しいか
・在席中のみ点灯するデスクライト。自室で使う。読書用なのである程度の明るさが必要。昼白色が望ましい。

何故欲しいか
・いちいちデスクライトの電源をオンオフするというのは面倒
・でも付けっぱなしだと電気代がもったいなく,ライトの寿命も縮み,それにワンルーム住まいなのでうっかり電源を切り忘れたままベッドに横になってしまうと消すためにまた起き上がることになりひどく億劫(これが一番大きかったり)

条件に適合する商品の例(現行機種)
山田照明 Z-3600 実売1.2万 より安い旧機種もあり
6.0W Ra70
山田照明 Z-81 実売2.2万
11.0W Ra80 色温度変更機能
ツインバード LE-H839B 実売1.8万
16W Ra80 自動調光機能 デザインいまいち
・(参考)山田照明 Z-3500
Z-3600 の蛍光灯版で,24型蛍光灯を使用(一般的なデスクライトで使われているものは27型)。この機種の「中心直下照度」1823Lxに対して Z-3600 は1020Lx。Z-81 でも1493Lxで,かなり暗いことがわかる。
・人感センサ搭載タップを使用するという手もあるが,工事不要のタイプは現在のところ国内発売がない模様。海外製品で125V対応のものを手に入れてもいいけれど,24時間365日コンセントに挿しっぱなしにするわけで,なるべく避けたい。

人感センサ付き LED デスクライトの問題点
・高い
1〜2万円の出費。ランニングコスト削減分での回収というのも無理そう
・暗い
2.2万円の Z-81 でもホームセンターで売っている2000円くらいのデスクライトに遠く及ばない
・寿命の問題
LED ライト部分は長寿命だとしても人感センサの寿命は不明。LED と比べてだいぶ短いらしい

参照:
カタログを読む|山田照明株式会社
照度&人感センサー付LEDクランプ式デスクライト LE-H839B ツインバード工業株式会社
人感センサーLED電球の選び方

LDE-SX010U,M-TP01DS

買ったきりあまり使わず転がしてたデバイスのミニレビュー2つ。

Logitec USB ディスプレイアダプタ LDE-SX010U
秋葉原東映ランド。どこから出てきたのか2008年発売の機種です。古い機種なので出力解像度は WXGA(1440×900)やら SXGA+(1400×1050)までとなっていますが,1980円と安く,DisplayLink 社製チップ採用とのことでまあツブシはきくだろうと,古い SXGA ディスプレイの再利用でもしようかと購入(衝動買い)。
PC に接続するとデバイス内のフラッシュ ROM から autorun でドライバのインストールプロセスを開始するという最悪最低な仕様になっている(これは Logitec には罪はなく Displaylink 側の仕様らしい)以外は,まあいい意味で平凡,特に困ることもない感じです。とりあえず Windows タブレットにつないでみたところなぜか表記スペック以上の 1600×900 での表示ができました。FullHD など今時のパネルのアスペクト比でも比率が合っていい具合になりますが,FullHD ディスプレイでも利用するつもりがあるのであれば FullHD 対応のアダプタを購入するべきでしょう。
年代的にたぶん Displaylink 製のオープンなドライバが使えるはずですし,ドライバ導入のノウハウみたいなのもネットにいくらでもありますので,恐らく Linux でも普通に使えるのではないかと思います。まあ今のところその必要を感じないので試していませんが。……コレ買う必要あったか?

参考:
DisplayLink – ArchWiki
Atelier Orchard: Raspberry Pi でDisplayLinkのudlfbドライバを使う
DisplayLink: Windows Software Windows 版最新ドライバ

ELECOM 無線タッチパッド M-TP01DS
東映無線。けっこう前から絶賛投げ売り中の Win8 対応無線タッチパッド。タブレット固定アームでベッドに固定した(こんな感じですな) Android タブレットを腕をなるべく動かさずぐうたらに操作するために購入。あまり期待していませんでしたが意外とよくできています。作りもまずまずしっかりしています。が,パワーセーブからの復帰のために物理ボタンを押す(ゴム足がボタンになっているので盤面を押す)必要があるとか,そもそもポインティングデバイスとしてタッチパッドは使いにくいんじゃとか,いろいろ問題はあります。マウスと違って平面がなくても使用出来るのはメリットですが,どうせなら3倍出して M570t かタッチパッド付きハンディキーボードを買ったほうが幸せになれそうな気がします。

激安 bluetooth イヤフォン「LBT-HPC20」

 春頃から絶賛投げ売り中のロジテック「LBT-HPC20」。ごくシンプルな bluetooth 4.0 イヤフォンで,女性をターゲットに据えた豊富なカラーバリエーション展開とコンパクトな筐体サイズが売りのようです。なお,あくまでもイヤフォンなのでマイク機能はありません。発売時(昨年の今頃)のメーカー直販価格は3,480円だったそうですが……今,秋葉原では運がよければ500円以下で買えたりします。ネット通販でもプラス数百円程度の模様。僕は本来この手の無線イヤフォンには興味がないのですが(なんせバッテリが持たない!),なにせこの価格でステレオです。お試しには丁度いいしブログのネタにもなるしということで買ってみました。
 良い点。まず気がつくのは説明書の手厚さです。さすがに女性をターゲットに据えているだけのことはあります。筐体は正直ゴツい印象(カクカクしており,USB プラグもむき出し)ですが,かなりコンパクトなのであまり違和感はないかと思います。質感もまずまずで,人前で付けていても恥ずかしくはない感じです。使いやすさはかなりよく考えられている印象です。たとえば,ボリュームボタンの「+」は出っ張っている一方で「-」は引っ込んでおり,指で触っただけで判別ができます。ボタン操作には電子音(ピポパポ,みたいな感じ)のフィードバックがあり,インジケータを見ずとも状態がわかります。音質もまずまずです。なんだかスカスカした感じではありますが,変な癖がなく疲れません。まあワンコインと考えるとかなりいい方です。
 次に悪い点ですが,これはもちろんまずバッテリ持ちの悪さです。メーカー公称値は連続再生で4時間とのことですが,まあそんな感じです。普通に使おうとすれば毎日充電が必要になるかと思います。もっとも,これはこの製品の問題と言うよりもこの手の製品全てに共通する問題ですね。次に電波の弱さです,障害物がない状態でも2,3メートル離れると挙動が怪しくなります。また,離れていなくても向きなどの条件により音飛びが激しくなります。スマートフォンを胸ポケットに入れてみたりカバンに入れてみたり,安物ラジオを聴く時のようにあれこれ持ち方を工夫することになります。定位置を見つければ後は安定しますが,ちょっと下を向いたりするだけで音が途切れるのは多少ストレスです。ただ,ネット上のレビューではそれほど問題視されていないようなので,相性問題もあるのかもしれません(BT 4.0 対応機器はひとつしか持っていないので検証できず)。トラブルに期待(?)したのですが,接続の怪しさ以外は特に問題ないようです。
 多少の問題こそありますが,この安さはそれらを相殺してなお余りあります。安い bluetooth イヤフォンをお探しの方にお勧めです。

自宅サーバのメリット・デメリット ~VPS と比較して~

自分用メモ。
自宅サーバを運営しといてナンだけど,自宅サーバのメリットらしいメリットが本気で思いつかない。さくら VPS のステマとか言われそう。誰か自宅サーバならではのメリットを思いついたら教えてください。
あ,ちなみにこのサイトは自宅サーバではなくレンタルサーバでのホスティングです。

デメリット

  • コストが高い
  •  自分の環境=Interlink 1 IP(月1,296円) + Star domain .net 独自ドメイン(年850円) + 標準的なサーバとルータ(計45 + 10 = 55W として電気代月1,026円・ハードウェア代計2万,4年間使えるとして月417円)の場合で,月2,810円,年間33,714円もの費用がかかります。ISP を i-revo(月525円。ただし転送容量制限が非常にキツいです)に,サーバを ECS LIVA(ASCII.jp のレビューによるとアイドル3W,月約56円・ハードウェア約1.8万,2年間使えるとして月750円)にしてルータをマルチセッション対応かつポリシールーティング対応のものにし通常使用のセッションと共有にすれば月1,402円,年間16,824円まで圧縮することができますが,VPS の方が高スペックで安価(「さくらの VPS」で仮想3コアRAM2GBディスク200GBのプランが月1,396円)です。ある程度大規模になり,大量の物理回線がある環境であれば自宅サーバの方が割安になるのかもしれませんが,まあ個人が趣味で運用する「自宅サーバ」の範疇としてはありえない話でしょう。
    2014/9/18追記:いまさら不備を発見。「標準的なサーバ」というのは「自宅サーバとして標準的なサーバ」という意味であり,具体的には富士通 PRIMERGY TX100 S3P で,CPU Pen G640,RAM 6GB,HDD 1TBx2 という構成で使っていました(過去形。現在停止して WWW のみレンタルサーバで運用中。そのうち VPS に乗り換えるかも)。またどうやら最近は「安鯖」も1万円以下では出なくなっているようなので,自宅サーバの初期投資費用は+1万くらいになるかも。
     見えないコストとして,室温上昇による空調費アップ,火災などのリスク(滅多にあることではないでしょうがこのリスクが無視できるほど低いと言い切ることのできる理由も見当たりません)などもあります。
     つまり,コスト面では,自宅サーバを選ぶ理由は一切ありません。

  • 可用性・信頼性が低い
  •  気をつけていても電気の使いすぎでブレーカーを落とすことはありますし,そうでなくても家庭用電源はまれに瞬断を起こします。ろくな検証をしていない自宅サーバ環境ではディスクのホットスワップは避けたいですので RAID を組んでいるディスクの1台が故障すればサーバの電源を落として作業したいですし,生活空間に置くものですからケーブルをひっかけて抜いてしまうことなどもあるかもしれません。サーバルームに並べられた高信頼性サーバで安定して運用されている VPS からすれば全く比べものにならないほど止まりやすいシステムだと考えるべきでしょう。
     つまり,可用性・信頼性の点から見ても自宅サーバを選ぶ理由は一切ありません。

メリット

  • トラブル対応がより容易(かもしれない)
  •  リモートアクセスが不能になるような大失敗をしても容易に復旧ができます。そのため,自分の使ったことのないソフトウェアやベータバージョンのソフトウェアなども気兼ねせずどんどん使えます。ただし,普通は VPS でもブラウザ越しにシリアルコンソールからアクセスできる機能が提供されているので,実際のメリットは微妙なところです。

  • ハードウェアの知識も(本当に少しだけだけど)付く
  •  タワー型サーバを使用する場合のみ,かつ本当に少しだけではありますが,VPS とは違いハードウェアいじりめいたことも楽しめます。

  • リソース制限が(やや)ゆるい
  •  個人が趣味で運営する程度の規模では VPS でもリソースの使いすぎで規制されることは考えにくいですし,ましてや規制される水準のリソースが恒常的に必要となる可能性なんてほぼありえないとは思いますが,自宅サーバであれば CPU やディスク I/O を制限なしで利用できます。ただし,回線の転送容量については,(ISP も VPS も具体的な数値は示されていないものの Interlinkが30GB~?/日に対してさくらレンサバのスタンダードプランが80GB/日であることから推測するに)VPS の方が大幅に制限がゆるいものと想像されます。

  • けなげに働くサーバの姿を見ると和む
  •  私はサーバを玄関に設置しているのですが,一日を終え玄関ドアを開けて帰宅するとサーバが HDD アクセスランプをチカチカと光らせながら出迎えてくれます。雨の日も風の日も回線メンテの日も,怠けずたゆまず一心に働き続ける自宅サーバ。その姿を見ると,現代社会の矛盾に耐えるうちに汚れきってしまった私の心に清らかなそよ風が吹き,僕も一生懸命頑張ろう,24時間は無理だけど1日8時間くらいは頑張ろう,と健やかで前向きな気持ちになれます。

T100TA では Ctrl2Cap が使えないという話

同じことをしてハマっている人もいそうな気がしたのでメモ。ただし,あくまでも私が遭遇したトラブルの場合です。また,このトラブル自体は去年買ったばかりの時の話ですので,説明が大雑把なのはご容赦を。
ある日 T100TA がキーボードを認識しなくなり大いに焦ったのですが,結論から言うと,「Ctrl2cap」というソフトをインストールしたのが原因でした。これはキーボードの Caps Lock に Ctrl を割り当てるというもので,自分は Windows XP の頃から使い続けていました。詳しいところはよくわかりませんが,他の Windows8 マシンでは依然として使えているとの情報があるので,T100TA の作りの特殊さに由来するように思われます。あるいは単に自分が利用している他のソフトとの干渉かもしれません(T100TA で普通に使えているという方は教えていただけると幸いです)。

ついでのメモ:
Lenovo3000 v200 で無線 LAN を有効化できない(ドライバは当たっているが通信できない,有効化してもすぐ切れる,rfkill -list すると acer-wireless が soft blocked が yes となっていてどうやっても no にできない)場合は
11.10 – Unable to enable wireless on Lenovo 3000 V200 – Ask Ubuntu
rmmod acer-wmi すれば ok

「3D プリンタ法規制反対」への違和感

3D プリンタで DIY 銃「Liberator」を作成した大学職員が銃刀法違反の疑いで逮捕されたというニュースが世間を賑わしています。発見された銃は銃刀法施行規則に定められているところの規制値を大きく上回る能力が認められたとのことで,被疑者も容疑を認めているとのことです。この事件を受けてさまざまな角度からの議論が展開されつつあるのは周知の通りです。

さて,この問題について一つ気になることがあります。それは,Twitter 等で,3D プリンタへの法規制に反対する意見がきわめて多く見受けられることです。もちろん短文の投稿を見るだけではどの程度までの規制に反対しているのかを知ることは難しいですが,一切の法規制に反対,(2D)プリンタと同等の扱いにせよ,といった意見が圧倒的であるように見受けられます。

はっきり言って,こうした意見は無責任であり危険でさえあるように感じます。

社会の安寧に対する危険ではありません(いや,もちろんそれもありますが)。3D プリンタの未来と自由に対する危険です。

まず確認しておきたいのは,規制の当否はメリットとデメリットの兼ね合いによって決まるということです。私はインターネットの自由についてはアナキストに近い(笑)ですが,これは電子回線越しの殺人は当分実現しそうにないということ(詳細は割愛)と,多くの場合でネットの規制は精神的自由の制約に直結するというのがその理由です。たとえば米国愛国者法に基づく検閲の場合ですと,「テロや犯罪を未然に防げることがある」というのがメリットであり,「米国サービスを利用している外国人の思想信条等を丸裸にして管理することができる」というのがデメリットです。私は,検閲のメリットはこのあまりに重大なデメリットを上回るものではないと確信しています。この点,3D プリンタの法規制,たとえばカセットを購入する場合の本人確認などが考えられますが,これは精神的な自由を何ら制約するものではありません。

話を 3D プリンタに戻しましょう。3D プリンタでの武器製造は現実的でないという意見を多く目にします。確かに 3D プリンタは非力です。パーソナルタイプ(非事業用)の物は特にそうです。オウムの組織的に作られた密造銃でさえすぐにダメになるものだったそうですから,プラスティックの銃など使い捨てに近いでしょう。暴発のリスクも無視できません。これなら,より強力で安全な武器が他にいくらでもあります。――しかしそれは,今,現時点の 3D プリンタだけを見た場合についての話です。3D プリンタの解像度は向上しつつあります。実際,ほんの数年前までは「ぼこぼこして糸を引いた粗雑な塊」というのが 3D 印刷物でしたが,このイメージはもはや過去のものになりつつあります。また,金属を印刷することのできる 3D プリンタも出回るようになってきました。現状では仕組み上それほどの強度は出そうにないですが,産業界に強いニーズがありますので,遠からず改善策が提案されるかと思います。3D プリンタの進化の速度を考えると,今現在市販されているもののみを前提として想定するのはあまりにナンセンスだと言わざるを得ません。また,鉄パイプからでも銃は作れるので 3D プリンタのみを規制する理由はない,という意見もありましょう。鉄パイプから銃が作れるのはよく知られた事実です。しかし,熟練した技術を持った者が多大な労力をつぎ込まないと銃ではなく爆弾になるだけ,というのもまたよく知られた事実です。一方で 3D プリンタでは,ただボタンを押すだけで合理的な構造の銃をいくらでも大量生産できます。しかも,先で述べたように,成果物の性能はどんどん向上してゆくと考えられるのです。このように,3D プリンタによる武器製造のリスクは,仮に現時点では低いにしても,ごく近いうちに無視できないレベルになると考えるべきです。

3D プリンタによる武器製造のリスクが存在するとしましょう(まだ納得できない方もいるでしょうが,一つの可能性として考えてください)。すると,法規制が存在しない場合に,いったいどのようなことになるのでしょうか。まず考えられるのは,強力な自主規制です。自社製品で印刷した銃による殺人事件が多発すればブランドイメージに傷が付きますし,警察に目をつけられることになるかもしれません。避けるべきリスクは避けるのが経営というものです。少し毛色が違いますが,テレビで,その内容についての規制はほとんど存在しないにもかかわらず自主規制によって横並びの報道しかされていないという事実は,大きな力と大きな責任を持った企業がどういう行動を取るのかを考えるにあたって示唆を与えてくれます。もちろん,放送とは違い参入撤退が自由な業界ですから,Winny を開発した金子氏のように,自主規制に従わない主体も出てくるでしょう。すると考えられるのは警察権力の持つ裁量の伸張です。よく誤解されていますが,Winny 事件はあくまでも Winny という特定のソフトの開発が著作権侵害の幇助にあたるとしただけで,P2P 自体がどうこうという話ではありませんし,ましてや P2P を禁止する法律があるわけではありません。国内において P2P 利用の機運が萎縮したというのはありますが,これもあくまでも過剰な自主規制の結果であり,米国でも同様の判断はあるにはかかわらず,向こうでは仕組みを工夫することで積極的に P2P を利用しています。閑話休題。Winny は著作権侵害を想定して開発されたのに対し 3D プリンタは何も銃を作るための機械ではありませんので同列に扱うのは適当ではありませんが,クリティカルに合致する法(条文+判例)は存在しないが「疎ましい」存在に対して検察がどうのような対応をするのかをよく示す一件です。検察も条文や判例には逆らえませんので,そこで明示的に許されている範囲内であれば起訴されることはまずないでしょう(尤も本来であれば逮捕や起訴自体は好きにやって問題はない云々とかそういった話もあるにゃあるんですが,長くなりますので割愛)。何の明文の基準もない中で,自主規制で窮屈な思いをしたり,警察に怯えたりしながら暮らすのは,果たして自由なのでしょうか?

法規制。いかめしい字面ですし,なんだか管理されるようで嫌な感じがします。しかし,この社会はすべてルールから成り立っているのです。そのルールの中で最もマシなものが,明示的で公平なものである法律です。リスクのあるところにルールが一切存在しないことなど存在し得ないのであり,あまりの理想主義は却って悪い結果を招くことにもなりかねません。そのため私は「3D プリンタへの法規制反対」に反対します。

参照:
3Dプリンターで銃自作か 大学職員を所持容疑で逮捕:朝日新聞デジタル
自動小銃密造事件 – Wikipedia
金属を造形できる家庭用3Dプリンターが75,000円で登場 | 3Dプリンター 家庭用なら、3D CAD DATA.COM

T100TA:Truecrypt の力を借りて microSD カードの実用性を上げるメモ

<重要>
14/5/30追記
29日から,Truecrypt 公式ウェブサイトがダウンし,sourceforge 上のプロジェクトページで開発中止の告知と利用中止の呼びかけがされています。しかし不自然,不可解な点が多く,ウェブサイト改竄や米政府当局による圧力などの可能性も指摘されています。まだ正確なことは判明していませんが(考察や議論はここここ,twitter 検索などで),以下の二つを徹底してください。
・現在の Truecrypt ウェブサイトで新規公開されたバージョン「7.2」(復号のみ)は危険な可能性があるので,決してインストールしない。ウェブサイトにもなるべくアクセスしない。
・この騒動以前の最終バージョンである「7.1a」は安全と見られるが,改竄の可能性を指摘する声もあるので,正確な情報が判明して騒動が落ち着くまでは極力使用しないようにする。もちろん,この記事の内容も実践しないこと。

14/8/5追記
Truecrypt の件,今なお詳細が明らかになったわけではありませんし,コード監査も途中のようですが,7.1a 初公開当初のバイナリが世界中から提供され,ハッシュ値から現行 7.1a に改竄がないと判明したことから,世間ではひとまず安全らしいという話になっているようです。が,誰も安全だと保証しているわけではありません。この言葉は嫌いですが「自己責任」でお願いします。

 先月書いた記事の続編?です.
 あの記事で私は microSD の利用について「あくまでも補助的に」と述べました。この判断の理由としては,寿命についての懸念もありますが,やはり「何かの拍子に外れて紛失する恐れがあり,セキュリティ上好ましくない」というのが一番でした。しかしこの判断は,「データは暗号化されずに保存される」という前提に立ったものです。その前提を崩せば,すなわち microSD を暗号化ドライブとして利用すれば,内蔵 eMMC と同様に実用できるようになるはずです。「モバイルデバイスでそんなことしたら遅すぎて/CPU 負荷が大きすぎて使い物にならないんじゃないか」と思われるかもしれません。僕自身,おそらくこの「常識」ゆえにディスクを暗号化して使うという発想が今に至るまで出なかったのかもしれませんし,実際に試してみるまでは半信半疑でした。しかし,これが思いのほか実用的だったのです。
 microSD 上に置いた,Truecrypt で AES 方式で暗号化した仮想ドライブについて,前回と同じ条件(CrystalDiskMark,3回,100MB)でベンチを取ってみました。(画像で貼るほど重要でもありませんが)結果は以下です。
pic-20140426-101624
 以前にも増して物悲しい数字ですが,それでもまあ,きちんと用途を限定すれば使えないことはない速度が出ているかと思います。元が悪いので速度はある程度仕方ないとして,驚いたのは CPU 負荷の低さです。きちんと計測したわけではありませんし,処理の内容にもよって違うのですが,たとえばこのベンチマーク中も,CPU 負荷は最大でも22%までの間で推移しており,ほとんどの場合で10%未満に収まっていました。どうでしょう,まるで暗号化なんてしていないかのような低負荷ではないでしょうか。
 ここまでの低オーバーヘッド・低負荷が実現している理由は,Atom では Bay-trail から新しく追加された AES のハードウェアアクセラレーション機能「AES-NI」にあります。AES-NI 自体は目新しいものではないのですが,長らく Core i5 以上の CPU にしか搭載されてこなかった「贅沢機能」でした。それが,Haswell で全 CPU に搭載されるようになったのに合わせて Bay-trail から Atom/Celeron にも搭載されるようになったようです。Atom が組み込み用 CPU に毛が生えた程度のものだった数年前からすると,もはや隔世の感がありますね。
 寿命の心配は依然として残るわけですが,これで,ダウンロードディレクトリや Dropbox ディレクトリ,(それほど重要でない)ソフトの置き場としてなら,活用できる! というわけです。ただし注意として,あくまでも SD カードとして認識されているためか,Truecrypt では,ドライブやパーティションそのものを暗号化することができません。Windows XP までであれば偽のドライバでシステムを騙すというダーティなテクニックがありましたが,最近は署名のされていないドライバは使えないのでおそらくこれは利用できないかと思います。そのため,microSD に tc ファイルを置いて利用することになります。こうするとシステムの水準での起動時自動マウントはできませんので,利用方法によってはトラブルが発生することがあります。たとえば自分は暗号化仮想ドライブを Dropbox のファイル置き場として利用しているのですが,そのままでは Truecrypt によるマウントの完了より先に Dropbox アプリが起動してエラーになることがあります。そのため,スタートアップに置くスクリプトを少し工夫して書く必要があります。個人的には,以下の vbscript で対応しています(この言語には初めて触れました……)。

set objWshShell = WScript.CreateObject(“Wscript.Shell”)
objWshShell.Run “C:Progra~1TrueCryptTrueCrypt.exe /v (tc ファイルの場所) /lz /q /k (keyfile の場所)”,1,1
objWshShell.Run “C:Users(ユーザ名)AppDataRoamingDropboxbinDropbox.exe”

 Truecrypt の作業完了を待って Dropbox を起動させるという流れです。詳しくは後述の参考サイトをご覧ください。keyfile のありかを平文で記述していてセキュリティも何もないのですが,この用途ではこんなもんで充分なはずです。心配ならシステムドライブを暗号化すれば ok(少なくとも大幅にマシにはなる)でしょう。もっとも,取り外し不可の eMMC を採用しているこの機種でそこまでしても,捜査当局に追われているとかの場合以外には役には立たないと思いますが……
 それでは,よい T100TA ライフを。

参考: