Raspberry Pi Foundation,PC 向け GNU/Linux ディストリビューションを公開
PIXEL for PC and Mac – Raspberry Pi
Raspberry Pi Foundation releases operating system for PCs, Macs • The Register
今年9月,Raspberry Pi Foundation は,Raspbian のデスクトップ環境に “PIXEL” という新しい名前を与えました。PIXEL という名前は「Pi Improved Xwindows Environment, Lightweight」の(ちょっと苦しい)略とのことですが,「ZX81 で BASIC のプログラムを勉強していた頃を思い出させてくれるもの」とのことでもあります。この変化はどちらかといえば目立たないものでしたが,デスクトップ環境が Raspbian から切り離されたことで面白いことができるようになりました。Raspbian のデスクトップ環境 PIXEL を Raspbian 以外の環境でも使う,ということです。
上記記事では,デスクトップ環境として PIXEL を使用した Debian の実験版へのリンクが貼られています。書きぶりからすると,独立したデスクトップ環境としてというよりは Debian ベースの x86 用 GNU/Linux ディストリビューションとして開発してゆくものと見られます(elementary OS と Pantheon の関係に似ています。Linux Mint の Cinnamon・MATE のように専用から始めてだんだんと独立したデスクトップ環境としても成熟させてゆく考えかもしれません)。少々ややこしいですが,このディストリビューションも PIXEL と呼んでいるようです。
PIXEL のベースとなっている LXDE 自体軽量デスクトップ環境として代表的なもので,しかもその見た目を Raspberry Pi 用に調整してきたものであるため,とても軽量なうえ低解像度環境にも向いたものとなっています。Eben Upton 氏の記事では「512MB以上の RAM があれば私の ThinkPad X40 のようなビンテージ物のマシンでも動く」として実際に X40 で PIXEL が動作している写真がアップされています。これまで「軽い Linux ディストリビューション」が現れては消えてきましたが,使いやすさとシンプルさのバランスが取れているのみならず開発の継続性に実績がある Raspberry Pi Foundation によって提供されることとなる PIXEL は新しい定番となるでしょう。
PIXEL が公開されることにより Raspberry Pi に及ぼされる影響は,今のところよくわかりません。記事中では,学校では PIXEL・家では Raspberry Pi の Raspbian を利用するなどしてほぼ同様の環境を容易に提供できるようになる,デスクトップ環境としての PIXEL をより良いものとしてゆくために役立つ,という2つの理由が挙げられています。逆に,たとえば学校の授業で Raspberry Pi を使っている子どもが Windows に慣れるより先に Raspbian に慣れて,家に帰っても慣れた環境,すなわち PIXEL を使うようになる,ということもあるかもしれません。
ともあれ,今後に期待ができそうです。
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