.org ドメイン管理団体が投資ファンドに売却される

.org ドメインを管理する非営利団体の Public Interest Registry (PIR) が,「公益」を意味するその名に反して,プライベートエクイティファンドである Ethos Capital に売却されたそうです。登記上の所在地をタックスヘイブンであるモーリシャスに置くこの会社の素性ははっきりせず,短期的なキャピタルゲインを狙いとする買収とみられ,レジストリ価格の引き上げや転々売却されることにより .org ドメインの利用が不安定化することが予想されます。

.org は .com や .net に次いで一般的な gTLD であり,もともと非営利団体による利用を目的としたもので,現在も非営利団体や個人により多く利用されています。今年6月に ICANN との契約に基づく .org ドメイン卸値上限が廃されたことで今後の方針が懸念されていました。

Ethos Capital による買収には ICANN の前 CEO や前 VP といった以前に ICANN 役職者であった複数の人物が関与しているとの観測もあり,ICANN での影響力が私的利益のために利用された可能性もあります。ICANN は 2016 年に米国商務省電気通信情報局(NTIA)の監督下を離れ民営化されましたが,それに代わる適切な監督スキームを欠いたままであることが指摘されていました。

インターネットは米国で生まれ,関連団体も成り行きの中で発達していったため,その公益的な役割や動いている資金の大きさとは裏腹に各団体の運営には不透明な部分が多く,独占的な地位の濫用に対してきわめて脆弱です。

ご覧の通り,このサイトも .org ドメインを使用しています。今後の状況によってはドメインを放棄して移転することになるかと思います。

2019/11/23追記:

移管の中止を求める運動として,「SaveDotOrg.org」が発足しました。EFF・FSF・Wikimedia・Creative Commons といった団体はもちろん,アメリカ博物館協会(AAM)のような文化団体,更には米国 YMCA・YWCA や Volunteers of America といったキリスト教系社会団体まで参加していることから,米国における関心の深さが伺えます。米国外でもこうした反響が広がれば,期待される利益を損なわせることにつながるかもしれません。

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