199 ドルのハンドヘルド Linux PC “Pocket Popcorn Computer” 発表

米国のスタートアップ Source Parts 社から 199 ドル（特別価格，定価249ドル）で Debian 10 が動作するユニークなハンドヘルドマシン “Pocket Popcorn Computer” が登場するとのことです。OLPC を彷彿とさせるホビー感のなかにどことなく Linux Zaurus の面影もあり，199 ドルという気軽にモバイルできる価格設定もあって，既に市販されている Gemini PDA などと比べても，あの頃欲しかった「フルのデスクトップ Linux が動く PDA」を感じます。

主なスペックは以下の通り。

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ハードウェア

• 1.2 GHz クアッドコア ARM Cortex-A53 CPU
• 2GB DDR3 RAM
• 32GB eMMC ストレージ
• 4.95" Full HD 1920x1080px IPS LCD
• 内蔵 microSD Card コネクタ
• 3200mAh 着脱可能なバッテリ
• 2.4 GHz Wi-Fi / Bluetooth 4.0
• Infineon OPTIGA TRUST M Secure Element
• バックライト付き内蔵プログラマブル USB キーボード:
  • STM32F103C8T6 ARM Cortex-M3 MCU
  • 25x RGB APA102-2020 LEDs
  • 59x Silicone Buttons
• 4x USB-C コネクタ:
  • 1x Device Port w/ Power Delivery (PD)
  • 2x Host Port (1x w/ PD, 1x w/o PD)
  • 1x USB-to-Serial Converter for Console Output
• LoRa バージョンのみ:
  • U-BLOX CAM-M8Q concurrent GNSS module
  • Murata CMWX1ZZABZ-078 LoRa Module:
    • STMicro STM32L0 series ARM Cortex M0+ MCU
    • Semtech SX1276 ultra-long range wireless transceiver

ソフトウェア

• Debian 10 w/ Mainline Linux
• Compatible w/ Gadget OS & Buildroot
• Open-Source Keyboard & LED Controller Firmware

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Cortex-A53 1.2GHz クアッドコア CPU・2GB RAM というスペックは厳しいものではありますが，工夫すれば充分実用になるレベルですし，A53 だけなら発熱が少なくバッテリの持ちにも一定の期待ができます。eMMC 内蔵で SBC のアキレス腱であるストレージ性能もばっちりです。チクレットキーボードは好きでない人が多いようですが，これはこれで立ったまま親指で入力できるという大きなメリットがあり，電車移動が基本の日本では無理にパンタグラフキーボードにするよりもむしろ便利です。また，LoRa・GNSS に対応したモデルもある（299ドル）のもおもしろいです。

一方で懸念もあります。Source Parts 社は CHIP 互換ボードの生産（おそらく委託）経験があるのみであるようであり，いきなりこうしたシステムを完成させられるのか，完成したとして実用に耐えるものになるのかは不明です。また，メインストリームカーネルでの対応で Debian 10 が動作するようにするということですが，これも容易なことではありません（スペックを見る限り，La Frite 互換で Libre Computer の成果物を流用できることを期待しているようにも……）。仮にうまくいったとしても，ポインティングデバイスがタッチパネルのみのため操作性に問題がある，技適には対応するはずもないなど，いろいろと実用上の問題は残ります。

しばらくは様子見するのが賢明ですが，なんとか量産に成功すれば，非常に魅力的なデバイスになるはずです。