Source Han フォント(源ノ角ゴシック・源ノ明朝)のすゝめ
なぜ Source Han フォントを使うべきか
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利用に制限のない自由なライセンスのフォントなので,クロスプラットフォームで統一された表示を実現できる [ref]Source Han Sans および Source Han Serif には SIL Open Font License 1.1 が適用されており,このライセンスは自由ソフトウェアライセンスです。[/ref]
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Adobe と Google が自分たちのビジネスで使うために開発したフォントであり,トップクラスの商用フォントベンダである Adobe とイワタによって制作されているため高品質
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CJK+欧文に対応しているので国際化にも最適
Source Han Sans/Source Han Serif と源ノ角ゴシック/源ノ明朝の違い
同一のフォントの英名と和名です [ref]源ノ明朝(Adobe typekit ウェブサイト) 2017/10/10[/ref] [ref]まるで武将? Adobeのフォント「源ノ明朝」名前の由来は – ITmedia NEWS 2017/10/10[/ref] [ref]Adobe、「源ノ明朝」フォントをリリース ~「源ノ角ゴシック」と対になるセリフ書体 – 窓の杜 2017/10/10[/ref]。Source Han Sans の日本語名が「源ノ角ゴシック」,Source Han Serif の日本語名が「源ノ明朝」です。
なお,Source Han は Google が公開する Noto フォントにも取り入れられており,Noto フォントの CJK 部分も同じものになっています [ref]Is it the same with Noto Sans CJK Fonts? · Issue #122 · adobe-fonts/source-han-sans · GitHub ただしフォント名が異なり,フォントの統一というアドバンテージは失われるので,Source Han フォントの導入をお勧めします。[/ref]。
Source Han フォントを導入するには
Step 1. ダウンロード
さまざまな形式が用意されていますが,「Language-specific OTFs」の日本語向けのものを選ぶとよいでしょう。
なお,日本語に関する部分だけを切り抜いてサブセットにした「Region-specific Subset OTFs」というものも用意されており,公式の説明ではどれを選べばよいかわからない場合の推奨とされていますが(古いシステムでも使える,ファイルサイズが小さいなどの理由による [ref]Source Han Sans: OTF, OTC, Super OTC, or Subset OTF?[/ref]),アプリケーションからは元々の Source Han フォントとは別物として認識されてしまい,自由なライセンスによる環境や言語を超えたフォントの統一というアドバンテージは失われてしまいますので,「Language-specific OTFs」をおすすめします。
Sans(ゴシック体)では SourceHanSansJ.zip を,Serif(明朝体)では SourceHanSerifJ_EL-M.zip および SourceHanSerifJ_SB-H.zip の両方をダウンロードします。これらを解凍すると,Sans と Serif それぞれで基本となる7ウェイト(太さ)のフォントファイルが準備できます。
Step 2. インストール
各 OS のフォントインストール機能を利用してください。
Windows の場合,コントロールパネルから「デスクトップの設定>フォント」を選択し,表示されたパネルにフォントファイルをドラッグ&ドロップします。
macOS の場合,「Font Book」アプリケーションを利用します。
Linux の場合,~/.fonts/(ユーザのみ)または/usr/share/fonts/opentype/(システム全体)にフォントファイルをコピーします。最後に,fc-cache -v を実行してフォントキャッシュを更新してください。フォントビューアー gnome-font-viewer などのフォント管理アプリケーションを利用してインストールこともできます。ユーザのみに導入する場合,このスクリプトを使うことで一括ダウンロード&インストールすることもできます。
どのウェイトを使うべきか
Source Han フォントは Adobe によって開発されているだけあり,タイポグラフィでの利用を念頭に7種類ものウェイトが用意されています。
Medium, Normal, Regular と似たようなものが多く迷いますが,オフィススイートなどで“普通の”フォントとして使うのに適切なのは Regular です [ref](欧文フォントでは regular の語が正体という意味で使われます)[/ref]。
もっとも近年は細身のフォントが文書作成の用途でも使われるようになってきていますので,お好みで Light を使うのもよいかと思います。
Source Han フォント以外のお勧めフォント
VL ゴシック
固定幅の「VL ゴシック」と可変幅の「VL Pゴシック」からなります。M+ フォントに欠けている文字をさざなみフォントで補ったうえで調整を加えたもので,Linux 界では長らく IPA ゴシックと並んで標準ゴシック体の地位を占めているフォントです。クリーンで読みやすいフォントであり,個人的には Source Han Sans より好みです。ぜひ Linux 以外の環境でも使ってみてほしいフォントです。
IPA Mona フォント
IPA フォントを元にしてフォント幅を「MS ゴシック」「MS Pゴシック」「MS UIゴシック」「MS 明朝」「MS P明朝」に近づける調整が加えられた「IPA Mona ゴシック」「IPA Mona Pゴシック」「IPA Mona UIゴシック」「IPA Mona 明朝」「IPA Mona P明朝」からなります。Windows 以外の環境で Windows 環境に極力近い表示結果を得たい場合に役に立つフォントです。
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