Debian 8 jessie + xfce 4 で xscreensaver から light-locker に移行する方法

前置きを書いてたら長くなったので本題から先に。

light-locker は lightdm に依存する画面ロックツールで,xscreensaver や gnome-screensaver の代替として利用可能。ただしスクリーンセーバ機能や独自のロック画面は提供せず,ロック画面として lightdm のログイン画面を利用する。Debian の xfce および LXDE の標準のセットアップではディスプレイマネージャとして lightdm を使用しているので,そのまま利用できる。

レポジトリにあるので,apt でインストールできる。

# aptitude update
# aptitude install light-locker
# aptitude purge xscreensaver xscreensaver-data

xflock4 は xfce のスクリーンロックを管理するプログラムで,実体は簡単なシェルスクリプト。xscreensaver, light-locker, gnome-screensaver という優先度でデーモンにコマンドを与え,そのうち存在するものが画面をロックするという仕組み。標準で light-locker にも対応した設定になっているので,特に何かする必要はなし。

$ cat /usr/bin/xflock4
...
for lock_cmd in \
    "xscreensaver-command --lock" \
    "light-locker-command --lock" \
    "gnome-screensaver-command --lock"
do
    $lock_cmd >/dev/null 2>&1 && exit
done
...

xflock4 がそのまま使えるので,画面ロックまでの時間の設定は xfce 電源管理 (xfce4-power-manager) から可能。
いじょ。

追記:
Debian 8 における lightdm の初期設定では,ログイン画面にユーザリストが表示されないため,画面ロックを解除するたびにユーザ名も入力せねばならずやや煩雑。ユーザが自分のみであれば,ユーザ名のリストを表示する設定にすることで xscreensaver や gnome-screensaver の画面ロックと同じ手軽さになる。

設定ファイルにある「greeter-hide-users=false」のコメントアウトを外してサービスを再起動する。


# vi /etc/lightdm/lightdm.conf
...
greeter-hide-users=false
...

# service lightdm restart
追記その2:
lightdm のログイン画面に戻るためか,画面のロック後に時間経過で自動的にサスペンドやシャットダウンをさせる設定(たとえば,20分間無操作で画面ロック,1時間無操作でサスペンドという設定)が,ユーザ権限では機能しない。複数人が同時にログインするマシンでない場合,以下の設定で解決する。

# vi /usr/share/polkit-1/actions/org.freedesktop.login1.policy
        ......
        <action id="org.freedesktop.login1.suspend">
                ......
                <defaults>
                        <allow_any>auth_admin_keep</allow_any>
                        <allow_inactive>auth_admin_keep</allow_inactive>
                        <allow_active>yes</allow_active>
                </defaults>
        </action>
        ......

これを


        ......
        <action id="org.freedesktop.login1.suspend">
                ......
                <defaults>
                        <allow_any>yes</allow_any>
                        <allow_inactive>yes</allow_inactive>
                        <allow_active>yes</allow_active>
                </defaults>
        </action>
        ......

こうする(allow_any と allow_inactive を auth_admin_keep から yes に変更)。

追記その3(17/03/20):
どうしたわけかいつの間にか(おそらく前回 dist-upgrade してから)また画面ロック後のサスペンドが効かなくなってしまっていました。設定ファイルを見るとデフォルトの状態に上書きされてしまっているようです。普通はこういうことはありませんので,何らかの手違いでしょうか。たしかにまあ,本来は考慮されていない使い方なわけで,セキュリティに深く関わる機能であることを鑑み,念のため Light-locker を使う時は画面ロック時=サスペンド時としたほうがいいのかもしれません。(しかしデスクトップ環境の電源管理ユーティリティとの統合を考えるとこの仕様?は問題があると思います)

ところで xscreensaver の一件は Debian では xscreensaver から単に警告表示部分を取り除くことで対応する方向性のようですが,個人的には,他の部分――名称と見た目も変更しておいてくれないものかと思います。仮想パッケージとして “xscreensaver” からのエイリアスを残しておけばあえて xscreensaver としての登録にこだわる必要はないと思いますし,なによりあのロゴを見てウイルスかと勘違いされたことがありますので……(笑)

以下前置きです。

4月1日から,xscreensaver を使用している Debian jessie システムで,ログイン時に「This version of XScreenSaver is very old! Please upgrade!」(このバージョンの XScreenSaver は非常に古いです!アップデートしてください!)と書かれた仰々しく目立つポップアップウィンドウが出るようになり,物議を醸しています。同じ文面は xscreensaver のロック画面にも現れ,xscreensaver の設定画面には以下のような強い表現さえ使われています。「This version of xscreensaver is VERY OLD! Please upgrade! http://www.jwz.org/xscreensaver/ (If this is the latest version that your distro ships, **then your distro is doing you a disservice.** Build from source.)」(このバージョンの xscreensaver は非常に古いです!アップデートしてください! http://www.jwz.org/xscreensaver/(もしこれがお使いのディストロが提供する最新のバージョンである場合,そのディストロはあなたに害を与えています。ソースからビルドしてください。))このメッセージは,作者である Zawinski 氏が書いたもので,そのバージョンのリリースからどれくらい時間が経過したかを見て,単純に12ヶ月を超えると表示される仕組みになっているようです。

この問題について Debian のバグレポートメーリングリストに投稿した方が現れたのですが,そこへ作者でありこのメッセージを書いた本人である Zawinski 氏が登場して反論し,かなりの荒れ模様となっています。

両者の主張の要点は以下の通り。

Zawinski 氏:

  • 古いバージョンの xscreensaver をいつまでも提供し続けるディストロのせいで,既に修正したバグについての修正依頼が何度も舞い込み,大変迷惑している。
  • 私は言う,「あんたの使っているディストロはクソだ」。だけど彼らはいつもこうだ。「でもソースからコンパイルするなんてどうすればいいのかわからないんだけど [ref]ソースのコメントでは “herp derp I eat paste” と続く。要するに知識も調べる気もないユーザを揶揄しての囃し文句。[/ref]」
  • 古いバージョンのソフトウェアを何年も使い続けるなんてどうかしている。最新のバージョンを使うようにすべきである。仮にそれができないなら,私のソフトウェアを Debian から取り除いてくれ。
  • ライセンス上はこの要求を無視する権利もあるが,合法的なことと正しいことは違う。

反対意見:

  • まず,表示される警告メッセージがあまりに無礼かつ攻撃的である。ユーザにとって迷惑であり,社会通念上問題がある。
  • Debian の stable(安定版)では,ソフトウェアのバージョンは約2年ごとのリリース時点で凍結し,セキュリティホールや重大なバグのみについて最低限の修正を加える仕組みになっている。これによって,修正に伴う新たな問題の発生を極力抑え,システムの安定性を長期的に最大限高く保つことができるようになっている。この仕組みを理解できていないのではないか。
  • 標準的な Debian システムに含まれる千数百のパッケージそれぞれがこのようなことをすれば,システムは不安定になり,ひどいことになる。
  • Debian における xscreensaver のバグは Debian のバグトラッキングシステムで管理されており,理論的には,直接メールなどで Zawinski 氏に報告が行くことはないはずである。仮に来ても,単に無視すれば手間ではないはずだ。
  • バージョンが古いことそれ自体はバグではない。
  • そもそも xscreensaver は自由ソフトウェアライセンスで提供されており,作者がその使われ方についてどうこう言うことはできない。ライセンスに規定されている以上の要求はソフトウェアの自由と相反するものである。

そんなわけで,現在「レポジトリから xscreensaver を取り除け」(Zawinski 氏)という主張と「アホ言うな」という反応の間で侃々諤々の,というか感情的すぎるきらいのある議論が行われています。

個人的には,ハードウェアに効果的な省電力機能が搭載され S3 スリープも普及しきった今ではスクリーンセーバの存在意義はかなり限定的であるように思いますし,xscreensaver のルックスはいかにも昔風で今時のデスクトップに合わないと思いますので,これを機にスッパリ xscreensaver を離れてもいいんじゃないかと思いますがね。

Zawinski 氏が優れたハッカーであり,これまでコミュニティに多大な貢献をなしてきたことは疑う余地がありませんが,氏の理想は古き良き時代のハッカー文化にあり,それは今の世の中と少し乖離しているようです。昔は技術力こそが力であり,コードの書けない,ましてやコンパイルさえできないユーザは,”luser”(user + loser)として蔑まれました。しかし時代は変わりました。今や Linux ディストリビューションはハッカーのみならずコンピュータ科学以外の分野の研究者,医療従事者,ごく普通の事務職員までが日常的に使用するものとなりました。多くのニーズに応えるためにシステムがより大きく複雑になる一方,コミュニティへの貢献の道はあらゆる人へと開かれ,コーディングに限らず,各人のできることでのコミュニティへの貢献が尊重され,かつ必要とされるようになりました。ハッカーならぬ私はこの新しい時代はとても素晴らしいものだと思っていますが,古くからのハッカーにとっては必ずしもそうでもないのかもしれません。

ともあれ,早期の円満な解決を祈っています。

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