「1Mobile Market」って何者? 調べてみた。

2013/8/7 投稿

「1Mobile Market」って何者? とウェブ検索して昨年書いた記事に辿りつく人がけっこういらっしゃるみたいなので,1Mobile Market の正体について知っていること・調べてみてわかったことを書いておこうと思います。

まず,1Mobile Market が中国のものであると判断した理由ですが,ドメイン「1mobile.com」を whois した結果からです。1mobile.com を whois にかけると以下のような情報が得られます。なお,ここに掲載するにあたり念のために一部情報を伏せてあります。

(略)
Registrant Name: Kunlun Kunlun
Registrant Organization: Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi
Registrant Street: Beijing
Registrant Street: ******
Registrant City: Beijing
Registrant State/Province: Beijing
Registrant Postal Code: ******
Registrant Country: China
Admin Name: Kunlun Kunlun
Admin Organization: Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi
Admin Street: Beijing
(以下略)

というわけで,中国の Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi なるところがこのドメインを取得し,サイトを維持しているようです。中国語はぜんぜん読めませんが,Keji が「科技」で Gongsi が「公司」だ,といった乏しい知識を切り貼りして考えてみるに,どうもこれは企業の名前であるようです。代表者名か担当者名を書いておくべき Admin Name の欄に「Kunlun Kunlun」なんてフザケたことが書いてあるのがいかにも怪しげな感じですが,とりあえずこの「Kunlun」なる単語が重要っぽいことはわかりました。

件の記事を書いた際はここまで調べたところでおしまいにしました。20個ほどアプリを落として調べてみても特に改竄はないようで,一部ウイルス対策ソフトではアドウェアとして警告されるという情報があるもののそこまで行儀の悪いこともしてないようだったので,多分それほどのリスクはないだろうと考えてブログで紹介しても大丈夫だろうと判断しました。さて,ここからが本日やったこと。

まず Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi という文字列でウェブ検索してみましたが,役に立ちそうな情報は出てきませんでした。それではということで「Kunlun」という単語を検索窓に突っ込んでウェブ検索してみると……

ア,なんか出てきた。

その名も kunlun.com,遊技とか書いてあるしゲーム関係のなにかのようです。ふむ。

で,運営会社名を見てみると……

昆仑万维科技股份有限公司

さっきの whois で出てきたのが……

Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi

漢字を眺める限り,ここで合っているっぽい? なお,この漢字社名で検索してみるといろいろな情報が出てきます。残念ながら全部中国語なので読めませんが……

更に,「公司介绍」(会社紹介?)のページにはこんなことが書いてありました。

昆仑万维集团成立于2008年,目前已经发展成为全球化的综合互联网企业。旗下包含三大业务品牌:昆仑游戏(包含集团旗下所有游戏业务的研发及发行)、Brothersoft&1mobile应用商店以及Raidcall(RC语音)。

バッチリ書いてありますね。ビンゴ!

では,一体なぜ 1mobile.com では正体を隠しているのか? その謎を解くヒントは,1Mobile の隣に書いてある「Brothersoft」なるサイトにありました。このサイトも 1Mobile 同様無料ソフトの紹介サイトのようです。ま,とりあえず「Brothersoft」でウェブ検索してみましょう。するとどうでしょう。出るわ出るわ,被害者の声……

そう,Brothersoft も,恐らくは 1Mobile も,「無料ソフトの無断転載」で広告収入を集めているサービスであるようなのです。こんなトンでもないことを堂々と悪びれることもなくやっているのでは,目立つところに連絡先を書けば殺到する抗議で電話回線やメールボックスがパンクするのは火を見るより明らかです。Brothersoft や 1Mobile のウェブサイトに連絡先らしい連絡先,会社情報らしい会社情報が無いのはたぶんそういう訳でしょう。本当にトンでもない。

ではこの昆仑万维科技股份有限公司なる会社はどうしようもない悪徳企業なのかというと,必ずしもそういうわけでもなさそうです。というのも,この会社が提供している「Raidcall」なる VoIP ソフト(たぶん)はどうも普通のソフトのようなのです。公式サイトについている数十万もの「Like!」は絶対にフェイク(金で買ってる)だと思いますが,それでもまあ実際にゲーマー界隈を中心にそれなりに支持を集めているみたいです。やはり,この無茶苦茶な無断転載はかの国の企業の独特の商習慣によるもので,当人はそれが真っ当なビジネスだと信じて疑っていないのかもしれませんね……

というわけで,「1Mobile Market」についてわかったことをまとめると以下の通りです。

  • ソフトウェアデータベースは無断転載によるものであると考えられる
  • 中国の「昆仑万维科技股份有限公司」なる会社が運営している。この会社自体は(この会社による主張が正しければ)当局の許認可も得ている普通の企業
  • おそらくリスクはそれほど高くないが,著作権侵害の疑いが非常に強いので,良識ある大人として利用するべきではない

こんな感じですかね。なにか誤り等ありましたらご指摘いただけるとありがたいです。

2014/08/29追記

2014/08/29追記:
この記事を書いてから1年が経ちましたが,今でもこの記事にはそれなりのアクセスがあるようです。当時より情報も増え,非公式 Android マーケットを取り巻く情勢にも変化がありますので,簡単に追記。

・1mobile market が(少なくとも日本法では)「クロ」なのは確定のようです。

【情報】1mobile market に勝手に登録されててドキドキした話 子持ち主婦でもできる!無料で簡単Androidアプリ開発
1mobile marketにアレされたよという話 – 今日の興味

利用した場合に法的には具体的にどういう扱いになるのかはそのうち暇なときにでも調べてみたいですが,これだけ 1mobile market の違法性を信じるに足る理由があり,そのことを知っている以上,刑事罰の対象にこそならないものの「利用(ダウンロード)自体が違法」なのは確実でしょう。はっきりと言いますが,決して利用してはいけません。記事公開時,正確性と中立性に慎重を期すあまり「黙認」とも取れるような曖昧な表現をしてしまったのは反省せねばなりません。

・Amazon アプリストアを利用しましょう
Amazon アプリストアは Amazon 社が同社の Kindle Fire のために立ち上げたマーケットですが,通常の Android タブレットでも利用可能です。登録アプリの乏しさが指摘されていましたが,最近ではかなり改善しています。概ね実用可能なレベルと言ってよいと思います。Amazon アカウントとの紐付けが要求されますが,無料で利用することができます。

他にも非公式マーケットは数多く存在しますが,合法と断言でき,かつある程度データベースが充実しているものとなると選択肢はあまりありません。数少ない Amazon Appstore 以外の選択肢の筆頭は Tapnow Market で,JWord の創業者で Kingsoft 日本法人の社長であった人物が設立した日本の会社,ACCESSPORT株式会社によって運営されています。サービス開始当初無断再配布問題を起こしていますが,特に被害が届け出られることもなかったのか沈静化し,現在は事前に許可を取った上で掲載している模様。ただし,データベースはそれほど充実しているとは言えない状況です。もう一つは F-Droid で,自由ソフトウェアのみが公開されているマーケットです。運営主体は英国の非営利団体 F-Droid Limited です。非常に理想的な存在ではありますが,Android をプラットフォームとするオープンソースソフトウェアは少なく,とても実用的とは言えません。

2017/08/22 追記

→2017/08/22追記:
各マーケットの2017年8月現在の状況について補足。なお,先述の条件を満たすマーケットは他に見つかりませんでした。

・Amazon Appstore(Amazon Android アプリストア)は,特に変化のない状況のようです。ゲームの大型タイトルなどではやはり取り扱っていないものが多いですが,広告収益が主なゲームやユーティリティ類などはかなりカバーしています。依然として Amazon Appstore が一番お薦めの選択肢です。

・Tapnow Market は,サービスが放棄(?)されたようです。会社は残っておりドメイン名やウェブサイトの残骸も残っているのですが,マーケットはもはや機能していないようです。

・F-Droid は,幾度かのリニューアルを重ねてより一般向けになると同時に,レポジトリへのアプリ収録数も充実し,この3年間でかなり実用的になってきました。自由ソフトウェア以外は一切取り扱わないため,使うアプリが決まっている人には活用しにくいはずですが,それまでと別のアプリを使うことに抵抗がなければ必要な機能を F-Droid だけで一式揃えることも容易となりました。以下は一例です(* はF-Droid Archive レポジトリ収録)。

ホーム – ADW.Launcher, OpenLauncher, KISS Launcher
ブラウザ – Firefox (Fennec F-Droid or FFUpdater 使用)
メール – K-9 mail
エディタ・ジョッタ – Lesser Pad
オフィス – LibreOffice Viewer
カレンダ – Calendar (com.simplemobiletools.calendar) Caldav 同期対応
画像 – Gallery (com.simplemobiletools.gallery)
動画 – *VLC
音楽(ディレクトリベース) – Pretty Good Music Player, Vanilla Music
カメラ – Open Camera
地図 – OsmAnd, ウェブアプリ
関数電卓 – Mathdroid
ファイラ・アーカイバ – Amaze File ManagerFile Manager (com.simplemobiletools.filemanager)
二段階認証 – FreeOTP
ゲーム – Tanks of Freedom, *Pixel Dungeon, Anuto TD など質の高い Android ゲームが多数ある他,Super Tux KartMinetest などデスクトップ Linux における人気ソフトの移植も。

2014/09/01 追記

2014/09/01追記:
Kunlun 社のウェブサイトを改めて見てみたところ,「会社紹介」に日本支社があるというようなことが書いてありました(前は書いていなかったよな気が……書き足されたのかな)。本当かよと調べてみたところ,本当らしい。

koramgame.co.jp – 無料ブラウザゲーム&ソーシャルアプリ – トップ

会社名は「崑崙日本株式会社」で,驚くべきことに資本金9000万円とかなりの規模。ウェブ検索してみると,遅くとも2011年ごろには既に日本で本格展開していた模様。なお,「会社概要」ページで「北京崑崙万維科技有限公司」の日本法人である旨明記されています(この日本字体?表記でウェブ検索すると,いろいろと情報が出てきます。たとえば,東証一部上場企業の KLab 株式会社が北京本社と業務提携しているほか,同じく東証一部上場の株式会社コロプラも北京本社と契約を結んでいるようです。)。Kunlun 社の Linkedin ページというのもあり,これによると,中国,北米,欧州,日本,韓国,台湾,マレーシア,ベトナムで事業を展開しているらしい。著作権や企業の責任についての認識には(ここまで述べてきた通り)かなり問題がありますが,勢いのある会社のようですし,ぜひ 1Mobile Market についても著作権の問題を完全に解決した上で改めて日本市場参入をし直してもらいたいところです。

2014/09/01 追記その2

2014/09/01追記その2:
……と,無難な結論に至ったところで,あることに気づいてしまいました。正直なところあまりこれ以上踏み込みたくないので,簡単に。
www.1mobile.com の下の方に注目してください(フォントが潰れているのは私がブラウザのフォントサイズを大きく設定しているからですのでお気になさらず)。

左から「UC Browser」「Crack APK」「Good e-Reader」と3つ広告のようなものがあります。貼られている URL は(何も挟まず,特別なランディングページでもなく)行き先のトップページです。まあリファラを見ているのかもしれませんし,ここまではおかしくありません。まずは「UC Browser」のリンクを開いてみましょう。UC Browser は中国ではよく知られたモバイルブラウザです。すると下の方に「友情链接(友情リンク?)」というものがあり,あまり関係なさそうなサイトへのリンクが並んでいます。なるほど,日本でも個人サイトではよく見られる「相互リンク」ですね。こうして SEO で協力しているわけです。この前提で今度は「Good e-Reader」を見てみましょう。こちらはどうも電子本リーダについての英語圏のニュースブログのようです。ページの下の方には果たしてリンク集があり,1mobile.com が筆頭となっています。サイト名でウェブ検索すると同一ドメインに怪しげなアプリマーケットが見つかり(http://apps.goodereader.com/),1mobile とは SEO での協力以上の契約があることを伺わせます。まあ,これも置いときましょう(置いといちゃいけないのですが)。最後に,3つの中でも異彩を放つ「Crack APK」です。これは名前の通り有料アプリのクラック版を公開しているサイトのようで,完全に真っ黒けっけです(当然違法です! 有料のもののため,コンテンツや場合によっては2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはその両方を課せられる可能性もあります! 決してダウンロードしないように!)。クリックしてダウンロードダイアログを開いてみると,それぞれファイルサイズが違い,本物のように思われます。さてこの真っ黒なサイトですが,例によって whois してみると……

Domain Name: CRACKAPK.COM
Registry Domain ID: 1857234548_DOMAIN_COM-VRSN
Registrar WHOIS Server: whois.godaddy.com
Registrar URL: http://www.godaddy.com
Update Date: 2014-05-03 20:39:14
Creation Date: 2014-05-03 20:39:14
Registrar Registration Expiration Date: 2015-05-03 20:39:14
Registrar: GoDaddy.com, LLC
Registrar IANA ID: 146
Registrar Abuse Contact Email: *****
Registrar Abuse Contact Phone: *****
Domain Status: clientTransferProhibited
Domain Status: clientUpdateProhibited
Domain Status: clientRenewProhibited
Domain Status: clientDeleteProhibited
Registry Registrant ID:
Registrant Name: CRACKAPK COM
Registrant Organization:
Registrant Street: Beijing
Registrant City: beijing
Registrant State/Province: beijing
Registrant Postal Code: 100000
Registrant Country: China
Registrant Phone: *****
Registrant Phone Ext:
Registrant Fax:
Registrant Fax Ext:
Registrant Email: chenxy+gmail.com
Registry Admin ID:
Admin Name: CRACKAPK COM
Admin Organization:
Admin Street: Beijing
Admin City: beijing
Admin State/Province: beijing
Admin Postal Code: 100000
Admin Country: China
Admin Phone: *****
Admin Phone Ext:
Admin Fax:
Admin Fax Ext:
Admin Email: chenxy+gmail.com
Registry Tech ID:
Tech Name: CRACKAPK COM
Tech Organization:
Tech Street: Beijing
Tech City: beijing
Tech State/Province: beijing
Tech Postal Code: 100000
Tech Country: China
Tech Phone: *****
Tech Phone Ext:
Tech Fax:
Tech Fax Ext:
Tech Email: chenxy+gmail.com
Name Server: NS1.CRACKAPK.COM
Name Server: NS2.CRACKAPK.COM
DNSSEC: unsigned
URL of the ICANN WHOIS Data Problem Reporting System: http://wdprs.internic.net/
Last update of WHOIS database: 2014-09-01T22:00:00Z

例によって念の為に一部情報を伏せてある他,メールアドレスの「@」を「+」に書き換えています。流石真っ黒なサイトだけあり運営母体や住所なんて登録したりはしてはいません。しかし,妙な詰めの甘さがあるようです。このメールアドレス「chenxy+gmail.com」で検索してみましょう。すると,こんなサイトが出てきます。

chenxy+gmail.com – Page 1 – Advanced Reverse Whois Lookup Results

どうも共通する情報を登録してあるドメインの一覧を表示するサイトのようです。有料サービスらしく費用を払わないと全部を見ることはできませんが,最初のページだけは見ることができます。……しかしこれ,あれ? 「koramgame.com」というドメインがあるのですが……

koramgame.com – Connect, share, play! – Home

「About us」のページを見ると,会社名は「Koram Games Ltd.」となっていますが Kunlun の別ブランド?である「Kalends」のロゴがあります。また,「koramgame」は Kunlun 日本法人のブランド名でもあります。なお,似たような名前で多くのドメインが登録されているようですが,ウェブサーバが生きているのはこれだけ(他はブランド保護のためのドメイン保持?)のようです。
このサイトも whois してみると……

Domain Name: KORAMGAME.COM
Registry Domain ID: 1573605509_DOMAIN_COM-VRSN
Registrar WHOIS Server: whois.godaddy.com
Registrar URL: http://www.godaddy.com
Update Date: 2009-11-03 00:04:21
Creation Date: 2009-10-26 18:43:22
Registrar Registration Expiration Date: 2014-10-26 18:43:22
Registrar: GoDaddy.com, LLC
Registrar IANA ID: 146
Registrar Abuse Contact Email: *****
Registrar Abuse Contact Phone: *****
Domain Status: clientTransferProhibited
Domain Status: clientUpdateProhibited
Domain Status: clientRenewProhibited
Domain Status: clientDeleteProhibited
Registry Registrant ID:
Registrant Name: Yahui Zhou
Registrant Organization: Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi
Registrant Street: *****
Registrant Street: Xicheng District
Registrant City: Beijing
Registrant State/Province:
Registrant Postal Code: *****
Registrant Country: China
Registrant Phone: *****
Registrant Phone Ext:
Registrant Fax: *****
Registrant Fax Ext:
Registrant Email: chenxy+gmail.com
Registry Admin ID:
Admin Name: Yahui Zhou
Admin Organization: Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi
Admin Street: *****
Admin Street: Xicheng District
Admin City: Beijing
Admin State/Province:
Admin Postal Code: *****
Admin Country: China
Admin Phone: *****
Admin Phone Ext:
Admin Fax: *****
Admin Fax Ext:
Admin Email: chenxy+gmail.com
Registry Tech ID:
Tech Name: Yahui Zhou
Tech Organization: Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi
Tech Street: *****
Tech Street: Xicheng District
Tech City: Beijing
Tech State/Province:
Tech Postal Code: *****
Tech Country: China
Tech Phone: *****
Tech Phone Ext:
Tech Fax: *****
Tech Fax Ext:
Tech Email: zhouyahui+gmail.com
Name Server: NS1.KORAMGAME.COM
Name Server: NS2.KORAMGAME.COM
DNSSEC: unsigned
URL of the ICANN WHOIS Data Problem Reporting System: http://wdprs.internic.net/
Last update of WHOIS database: 2014-09-01T22:00:00Z

更にトドメとして,既にお気づきの方も多いでしょうが,crackapk.com 上で各アプリの詳細ページを開くと 1mobile.com へのリンクがあります。

これはもう言い逃れの余地はありません。

無料ソフトウェアの再配布は日本でもネット回線の遅かった時代には割と一般的なことであり,今でも作者(著作権者)が特約を付けて許可していることも少なくないことからまだ好意的な解釈も可能でしたが,有料ソフトウェアを違法アップロードとなるとまるで事情が違います。一応公平のために言っておくと「ドメインは代行取得しただけで,1mobile.com へのリンクは勝手に貼られた」という説明も可能ですが……

世界中で大きな利益をあげていて,日本の複数の東証一部上場企業とも深い関係のある会社が,クラックした有料アプリを違法アップロードしている。いや,どこか私の認識・推理に誤りがあるのでしょうか? そうであればよいと思いつつ,今日は筆を置きたいと思います。

Summary for non-Japanese readers:

  • 1mobile.com is operated by a Chinese online game company, Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi (昆仑万维科技股份有限公司), according to WHOIS information and their Chinese website. The company also provides Brothersoft.com and Raidcall.
  • Some app developers reported that the company uploaded apps to their server without author’s permission. Hence use of 1mobile.com may illegal in certain jurisdictions.
  • Security issues like malware infection are not reported, as far as I know. But I strongly recommend to use Amazon Appstore or other safer markets instead to avoid potential danger (security and legal).

参考情報(2019/12/15 追記)

なにやら未だに割とアクセスが多いですが,みなさん,これは2013年の記事です。2013年。あの頃はまだこんなことになるとはつゆも思わず……というのはさておき,最近の情報について書いておきます。

なお,この節で紹介する手段は推奨しません。

判断のヒントとして,多少ましな選択肢を紹介する趣旨です。

Yalp Store

Yalp Store の利用は Google Play の利用規約に反します。また,各アプリデベロッパとの EULA にも反する場合が多いと考えられ,無料版とはいえ有効なライセンスを欠いて利用することになるため,関連法規に反するおそれもあります。

Yalp Store を通じて自分の Google アカウントでログインすればアカウントを停止されるほか,IP アドレスベースなどからメインのアカウントを特定され,影響が及ぶ可能性もあります。

繰り返しになりますが,利用は推奨しません。

Yalp Store とは?

一種の代替 Google Play クライアントソフトです(「ストア」ではなく,Google Play システムを利用するためのアプリ+認証情報サーバです)。

正体不明の転載サイトと異なり,アプリはGoogle Play から直接ダウンロードされます。

ただし正規の方法ではなく,Yalp Store が生成した捨てアカウントか,自分で取得する捨てアカウントを使ってログインします。

Yalp Store の導入方法

  1. F-Droid をダウンロードします。
  2. 虫眼鏡のアイコンから検索画面を開き,「yalp store」で検索します。
  3. 「Yalp Store (fork)」 をダウンロードします。オリジナルは「Yalp Store」ですが,長らく更新されないまま放置されており機能しないため別の人が修正を加えた別バージョンを公開しているようです。
  4. ダウンロードが完了したら,「インストール」をタップしてインストールを開始します。

利用方法についてはここでは触れません。

Google Play の非認定端末への導入

注意事項

Google Play は,「Play プロテクト」認定のされた端末でのみ利用が許可されています。

また,Kindle Fire など Google Play の使用を前提としていない端末では,ハードウェアベンダの提供するソフトと競合し問題が発生することが報告されています。

さらに,信頼できないサイトから,潜在的に危険なアプリをダウンロードしてインストールすることになります。

第三者による変更が加えられたパッケージを導入する場合,不正利用としてアカウントを停止されるおそれもあります。

繰り返しになりますが,利用は推奨しません。

Google Play の非認定端末への導入方法

これは一部の端末でのみ可能です。

詳細は書きませんが,以下の4つのアプリの特定のバージョンを順番にインストールすることになります。必要となるバージョンは端末(の ROM イメージ)によって異なります。

com.google.android.gsf.login
com.google.android.gsf
com.google.android.gms
com.android.vending

一般論として,こうした情報は XDA-Developer Android Forum(海外の有名掲示板)で見つかります。

XDA は検索機能が弱いので,検索エンジンで期間指定して調べるとよい結果を得やすいかもしれません。

結論(2019/12/15 追記)

結論としては,「1 Mobile Market 」の利用は避けて「Amazon アプリストア」または「F-Droid」を使用するべきです。うち,Google Play で人気があるようなアプリが多くあるのは,「Amazon アプリストア」だけです。
2016/04/13 国外からのアクセスも結構あるっぽいので英語の要約を加筆
2017/08/22 だいぶ前にしたサーバ引っ越しで画像が正常に表示されなくなっていたようなので修正。「Amazon Appstore」「F-Droid」「Tapnow Market」について最近の状況について追記。なお,この記事は今でもアクセスが多いですが,既に古く2013年8月時点の事実に基づくものであるため,現在ではあまり参考にならない可能性があることを念のため改めて記しておきます。
2019/12/16 未だになぜか割とアクセスがある……なんで? 見出しと結論をつけて多少マシにしました。そのうち F-Droid のおすすめアプリ一覧をちゃんと書くかもしれない。

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