ASUS TransBook T100TA レビュー Part1

ASUS TransBook T100TA(T100TA-DK32G)を購入して一週間ほど経ったので簡単にレビューを書いておきます。今回はレビュー,2ではタブレットとしての使いこなし,3で不具合とアクセサリ(周辺機器)について書く予定。

CPU
Bay Trail-T の Atom Z3740 を搭載。こいつは本当にすばらしいです。日常使用で一切ストレスを感じさせないパフォーマンスを発揮してくれる上に,消費電力も非常に小さく,(手に持つモバイルデバイスではこれが結構重要なのですが)発熱が非常に少ないです。数年前までの Atom とは完全に別物となっています。クアッドコア化の恩恵というのもあるのでしょうが,一つ一つのコアの性能も大きく向上しており,Super Pi(マルチコア非対応のベンチマーク)で計測してみたところ PenM 1.5GHz と同等の記録でした。まったくよい時代になったものです。内蔵グラフィックもすばらしく,Youtube などストリーミングもフル HD の動画を一切ひっかかりなく再生できます。

RAM
2GB決め打ちで増設不可,というのはなんとも頼りない感じがしますが,ウェブを眺めたり電子書籍を眺めたり文章を書いたりという,タブレット的あるいはネットブック的な用途ではこんなもんでも案外不便はありません。LibreOffice や一太郎もサクサク動きます。欲を言えば倍の4GBくらいあれば精神衛生上よいのですがね。

液晶・タッチパネル
IPS 液晶とのことで,表示はなかなか良好です。ただ,グレアもグレアのガラス板なので反射が激しく,ここは少しマイナスです。CPU やグラフィックの性能がよいというのもあり,タッチパネルの反応はなめらかです。ただ,あらゆるタブレットの例に漏れず指紋べたべたになります。いつも疑問に思うのですが,MS にせよ Google にせよメーカーにせよ,タブレットやらタッチパネルやらを推進している人たちって,指紋でべたべたの画面を見て何か疑問に感じたりはしないんですかね?

キーボード・タッチパッド
キーボードはあくまでも安物ノート PC のキーボード,たとえばタイプ音はやや大きめで感触は安っぽいですが,それでも,ちょっと文章を書くにはまったく不足のないキーボードです。タッチパッドは本当にチープで,ひっかかりや誤認識だらけでストレスが溜まります。そのうえクリック音がやたら響きます。本当に最低限度といった感じのタッチパッドです。それでも無いよりはずっとマシではありますが…… この機種は Bluetooth 内蔵なので BT マウスをつないで使うのがおすすめです。
キーボード・タッチパッドともに「びみょー」ではありますが,タブレットとドッキングできるという特長はやはり非常に大きいですね。タブレット+ BT キーボードという運用を試してみたことのある方ならわかるでしょうが,キーボードの電源を入れて,置いて,タブレットをスタンドで立たせて,タブレットの電源を入れて……なんてやっていてはタブレットの手軽さが半減してしまい,結局キーボードなんてほとんど使わなくなってしまいます。その点 T100TA であれば,ただ開くだけで準備 OK です(もちろん,別のノート PC も持ち出すなど,あくまでもタブレットとして使いたい場合にもボタンを押してドックから取り外した状態で持ち出すことで対応できます)。日常的にタブレットにキーボードをつないで使っている人なんて少数派でしょう。しかし,タブレットを「大きくて高機能なスマートフォン」ではなく「軽くて安い簡易 PC」と考えていて,タブレットにキーボードをつないで文章を書くという用途を考えている人にとっては,T100TA の「キーボードドック付きタブレット」というスタイルは最高です。

筐体
安っぽいですが,実際安いので仕方ない。ただ,天板がツルツルで非常に指紋が付きやすいのはなんとかならなかったのでしょうかね。普通に使うと指紋でべたべたになりあまりに汚らしいのでカバーをつけっぱなしで使っています(このカバーについてはそのうちまた紹介しましょう)。
キーボードドック接続時にせいぜい120度ぐらいしか開けないのもよくありません。椅子の高さ次第では視線と垂直にすることができない場合があり,首が痛くなります。まあ,国産の本格的なモバイルノートでもこれぐらいしか開けないものはあるのですが。

バッテリ
公称14.9時間(HDDなしモデル・キーボードドック接続時)は伊達ではありません。この大きさからすると不思議なくらいによく持ちます。

AC アダプタ
おもしろいことに,5V2Aの AC-USB アダプタを使用し,充電用のジャックは microUSB コネクタです。つまり完全にタブレットの仕様となっているわけです。アダプタは非常にコンパクトで,microUSB ケーブルとあわせて68gしかありませんでした(一般的なモバイルノート PC ではめがねケーブル込みで300gほどあるのが普通ですので,四分の一以下です)。ただしその代償として,普通のノート PC に比べ非常に充電が遅いです。一晩は待たないと満充電になりません。(14/8/18追記:ケーブルの問題が大きいようで,ケーブルを市販の2A対応を謳う充電専用 USB ケーブルに変えたところ一定の改善がありました)Let’s note のように「通常」のアダプタと小型アダプタの両方をつけてくれたら最高なんですが,それじゃあこの値段では出せないでしょうから仕方ないでしょう。

「Kanvus Note A5」を Linux で(兼・簡易レビュー)

近ごろ安く出ている台湾 Kworld 社の「Kanvus Note A5」。これはどういうものかというと,バッテリ駆動で PC から独立して利用できるペンタブで,上に A5 サイズの紙ノートを据えボールペンであると共にデジタルペンでもある専用ペンでメモを取ると紙媒体だけでなく電子データとしてもメモが残るというもの。本格的な液タブを搭載したタブレット PC が使えればそりゃいいですが重いしバッテリ持たないし冗談みたいに高い。流行りの Android や iOS のタブレット端末は精度が低くてとてもじゃないが文字書きには使えない。紙のノートをスキャンするのはかなり良さそうだがいかんせん手間だしイニシャルコストがそれなりにする(最低でも二万円,実用するなら三万以上は用意せねばならない)。そんな中,ペンタブの実用的な精度の出るデジタイザをそのまま活用できる本品はなかなかいいところを突いてると言えるのではないでしょうか。まあ一万円を超えているとかであれば少しは考えますが,今なら投げ売りで野口さん三枚でお釣りがくるときた。この手の機器を見ると血が騒ぐガジェットオタクとしては買うしかないでしょう。ひょっとしたら,実用できるかもしれないし。

発売が2010年とやや古く,値段を見ても在庫処分に入っているようなので,この製品はあまり長くは出ないかもしれません。そのため,この記事は読みやすさより早さを優先して一気呵成に書きました。読みにくいかと思われますがご容赦を……

さて,この Kanvus Note A5。秋葉原では良くも悪くも有名な,玉石混淆の品揃えでお馴染みの某 A 店が最安のようです。この店はなんというかアジア的な感覚でやっておられる店で,面白いもの,珍しいものをとても安く手に入れることができるのですが,活用には少々コツが必要です。A 店の POP では「文字認識! 多機能! 高性能ペンタブとしても使える!」みたいな感じのことが書いてあった気がしますが,これを文字通り受け取っているのではシロウトだと言わざるをえません。こういう買い物には情報,もしくは勇気が必要です。勇気というより蛮勇かもしれませんが。この機種については検索してもあまり細かな情報は得られませんので,もっぱら後者が問題となります。とはいえこの値段であればたとえダメダメでも諦めはつくだろうということで購入したわけです。後進に情報を残すのが人柱 er の努め(?)ですので,ちょっとレビューしてみましょう。なおこの機種の取扱説明書はウェブ上から無料でダウンロードできます(こちら・PDF)。購入前に目を通しておくとよいかもしれません。

 

・電子ノートとして

後述。

・ペンタブとして

まあ……当然ですがあまり多くを期待してはいけませんね。低価格ペンタブとしては頑張っている方だとは思いますが,重要な技術をいくつも特許でおさえている WACOM の製品と比べると,電子ペンの低機能さ,ペンに電池が必要なことによる重さ・電池交換の手間,ペンのチープさ(電池を入れるためにハウジングを開けたらあまりの貧弱さに折れないか心配になった),あと実用上の違いは未チェックですがカタログスペックもいろいろ劣るようです。WACOM のエントリー向けペンタブの中古は安く手に入りますが,そちらのほうが機能も利便性も品質(丈夫さ)もずっと上です。自分のペンタブの主な用途は写真編集で,絵を描く人に比べるとライトユーザーもいいとこですが,その程度でも実際の感覚としてそれなりの違いがあります。PC につなぎペンタブとして利用するのをメインの利用方法として予定しているのであれば中古の WACOM 製ペンタブを購入した方がよいかもしれません。

なお,Linux 環境においても,以下の設定をすることでペンタブとして正しく認識させることができるようになるようです(未検証。にしてもネットの海にはこんな情報まであるんだなあ)

Installing the Kanvus Note A5 tablet on Linux « Site 42

・付属品等

筆圧検知機能付きのペン1本,筆圧検知機能はないがボールペン付きのペン2本,多機能な専用ケース(説明書には「レザーケース」なんて偉そうなことが書いてありますが当然ポリウレタンのこれ以上ないほど安っぽいものです),ソフト類等とかなり充実しています。ただし,本製品の発売は2010年。経年劣化が無視できませんので少しだけ注意が必要です。ペン類には問題がないため困ることはありませんが,たとえばケースは空気で分解してボロボロです。単4電池に至っては数本盛大に液漏れしていました(笑) 見た目が大丈夫そうなものでも液漏れ寸前のはずです。間違えて機器に入れてしまわないよう気をつけましょう。

・消耗品の入手性

良好です。

本体の電池は単4×3,筆圧ペンの電池は単4×1,ボールペン付きペンの電池は PR48 空気電池x1。いずれも安価かつ手軽に手に入れられるものです。

ペン先について。ボールペンの指定リフィルは「Mini Star D1」なる見慣れないもの。調べてみた限り入手は難しいようです。では交換できないのか? というとそうでもないようで,似たような規格のリフィルは国産品でもいくつか見つかります。実際に試してみたわけではありませんのでなんとも言えませんが,「ZEBRA 4C-0.7芯」あたりが使えそうな雰囲気。筆圧検知ペンのペン先は専用品ですが,予備が3本も付いていますし,酷使するわけでもなければ全部がすり減って使えなくなる前には本体が壊れているだろうと思われます。

単4電池に充電池を使えば,月のランニングコストは数十円程度になると思われます。

 

以下やっと本題。こいつを Linux で使えるようにしましょう。といっても勿論 Linux 用ドライバなんて提供されてはいません。つまり,PC に接続した際に内蔵メモリがマスストレージクラスとして認識されるか否かに全てがかかっています。2010年発売なら行けそうな気もするが……? ともかく USB ケーブルを差し込んでみましょう。……認識した! やったぜ。……あれ,でもなんだこのファイル? なに「.DNT」? 開けるソフトはないっぽい? やっちまったぜ。 ということで,ファイル自体は参照できるものの開けないという大変はがゆい状況に。とはいえ手元には専用ソフトが満載されたドライバ CD があるわけで,これを利用できれば問題ないわけです。そう,WINE に登場願いましょう。WINE は Windows 互換レイヤーであり x86/x64 であれば他の OS で Windows アプリケーションを……という能書きはまあ置いといて,さっそく試してみましょう。この忌々しき .DNT を見慣れた形式に変換してくれるのは「Digital Organizer」というソフトらしい。ドライバ CD の Autorun.exe を実行するとどのソフトをインストールするか聞かれますが,他のソフトはぶっちゃけ不要ですのでチェックボックスからチェックを外して,「Digital Organizer」だけインストールするようにしました。幸運なことにインストールは無事に完了。アプリケーションランチャーに Wine > Programs > Kanvus Tablet Software > DigitalOrganizer が登場します(Wine 1.4.1,Debian Wheezy で確認)。祈るような気持ちで Digital Organizer を立ち上げたところあっさり起動。デスクトップの .DNT のファイルたちを無事 .JPG に変換できました。やった! 最近の WINE ってホントすごいですね。いろいろと試し書きしてみましたがけっこう使えそうという感触です。Android や iOS のタブレット,こと静電容量式とは使い勝手がまるで違います。この機器を買った理由は「大学の講義ノートを電子データとして保管・利用するため」なのですが,それぐらいの目的であれば果たされそうです。さて,実用になる(っぽい)ということが明らかになり次に考えるのは USB 接続の Kanvus Note A5 を WINE そして Digital Organizer に認識されせたいということですが,ファイルサイズがとても小さいことだし,設定もめんどくさそうなのでもうシェルスクリプトで ~/ に作った一時フォルダにコピー→ Digital Organizer で手動変換(そう手動! これだから Win○ows 用ソフトは!),とすることにしました。出てきた .JPG はシェルスクリプトで Dropbox フォルダに移します。これで Android のタブレット端末で講義ノートを参照できるというわけ。先述のようにソフトは他にもいろいろ添付されているし Digital Organizer にも他にいろいろ機能はあるようですが興味がないのでレビューしません。以上!

以下,今回の記事のまとめです。

・けっこう使えそう。

・Linux でも(少なくとも基本的な機能は)問題なく使える。

・いろいろわかってる人にはかなりおすすめ。

 

(13/9/3 追記)

こんなものが出ていたことに気づいた。すごく良さそう。これの大画面版が出たら買っちゃうかも……

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