Brastel 050 Free と Fusion IP Phone Smart の仕様比較

現在,月額基本料が無料の国内の SIP サービスは「Brastel 050 Free」と「Fusion IP Phone Smart」の2つが存在しているようです。自分はあまり深く考えずこのうちの Brastel の方を使い始めてみたわけですが,両者の仕様をよく比べてみるとかなり性格の違うサービスのようですので,簡単に比較してみたいと思います。なお,スマートフォン + MVNO SIM での利用を念頭に置いています。

いきなり比較表から行ってみましょう。

対固定電話 対携帯電話 対海外 対同一サービス 留守番電話 圏外着信通知 着信転送 SRTP/TLS 対応コーデック
Brastel 050 Free 1.44円 5.94円 国・回線種別による 無料 非対応 GSM,G.711μ-law?(公式サポートは GSM のみ)
Fusion IP Phone Smart 8.64円 8.64円 8.64円 無料 非対応 Speex(8kHz),iLBC,GSM,G711μ-law,G.722

(通話料金は税込,30秒あたりに換算。実際の課金単位は異なるものもあります)

見て分かる通り,「安さの Brastel」「機能の Fusion」ときれいに得意分野が分かれています。

通話料金
圧倒的に Brastel 050 Free が安いです。対携帯電話でも Fusion の 69%, 対固定電話に至っては17%(!)です。海外通話は Brastel の場合国や回線種別によって料金が異なりますが,対固定電話では Brastel のほうが圧倒的に安いことが多い一方,対携帯電話では逆転することも少なくないようです。同一サービスへの通話は両社とも無料です。

留守番電話/圏外着信通知/着信転送
今度は Fusion IP Phone Smart の独走です。特に圏外着信通知の有無はかなり大きいですね。本来 SIP は固定電話の置き換えとして生まれた規格であるからか,携帯電話のようにプツプツ圏外になる環境は想定していないようです。そのため,事業者で独自の対策を施していない限り圏外での着信を通知する仕組みはないようです。
もちろん Brastel であっても普通の SIP サービスである以上は自前で適当に留守録・圏外着信通知・着信転送もどきシステムをでっち上げてしまうことは可能です。しかし,既に内線システムが組んであるなどでもない限りは(このサービス専用としては)構築維持の手間はメリットに見合わないと思います。

SRTP/TLS(セキュリティ)
端末から事業者サーバまで(SIP 同士の場合は端末同士)の通信を暗号化します。Brastel および Fusion では,残念ながら対応していないようです。これらに対応していないと,たとえば公衆無線 LAN に接続している場合などに,通話内容を盗聴される可能性があります。モバイル対応を謳うなら必ず対応すべきだと思うのですが,どうでしょう。

対応コーデック
Fusion IP Phone Smart ではここで対応コーデックが書かれており,Speex(8kHz),iLBC,GSM,G.711μ-law,G.722となっています。一方の Brastel は特に明記されていないようです。公式のセットアップガイドではクライアントで GSM 以外のコーデックは無効化せよとの指示があり,公式サポートは GSM のみということかと思われます。ただ,非公式ながら,G.711μ-law も使えるようです(これのみを選択してもエラー無く通話できる)。G.729 が使えるという話はデマのようです。
こちらも Fusion IP Phone Smart の勝ちです。上の G.722 対応も気になりますが,やはり下の iLBC 対応が目を惹きます(Speex もありますが,可変ビットレートのため少し事情が異なり,また音質についてもあまりよい評判を聞かない)。iLBC は低速回線向けのコーデックで,音質の割に低容量というのが売りのようです。使用する帯域としては GSM と比べてたった16kbpsの差ではありますが,DTI 490円 SIM のような細い回線ではこの16kbpsに救われることもあるでしょう。

総評
発信が多い人は当然 Brastel でしょう。逆に,着信のみの人や,Brastel で17.28円/分を超える国・回線種別の人と多く通話する人は Fusion を選ぶべきです。それ以外の場合では,圏外着信通知と留守番電話をどう評価するかで適した選択が変わってきます。特に圏外着信通知機能は“携帯電話”として求められる最低限度の機能のひとつであり,仕事などで使う人は(仕事で使うならそもそもこうした格安サービスを使うべきではないというのはありますが)Fusion しか選択肢に残らないでしょう。

2014/8/27追記:
ユニークなやり方で圏外着信通知・留守番電話・着信転送機能を簡易的に実現している方がいらっしゃいました。
ブラステル(050)に留守電や着信通知を付加する方法 | 自己満 備忘録

自宅サーバのメリット・デメリット ~VPS と比較して~

自分用メモ。
自宅サーバを運営しといてナンだけど,自宅サーバのメリットらしいメリットが本気で思いつかない。さくら VPS のステマとか言われそう。誰か自宅サーバならではのメリットを思いついたら教えてください。
あ,ちなみにこのサイトは自宅サーバではなくレンタルサーバでのホスティングです。

デメリット

  • コストが高い
  •  自分の環境=Interlink 1 IP(月1,296円) + Star domain .net 独自ドメイン(年850円) + 標準的なサーバとルータ(計45 + 10 = 55W として電気代月1,026円・ハードウェア代計2万,4年間使えるとして月417円)の場合で,月2,810円,年間33,714円もの費用がかかります。ISP を i-revo(月525円。ただし転送容量制限が非常にキツいです)に,サーバを ECS LIVA(ASCII.jp のレビューによるとアイドル3W,月約56円・ハードウェア約1.8万,2年間使えるとして月750円)にしてルータをマルチセッション対応かつポリシールーティング対応のものにし通常使用のセッションと共有にすれば月1,402円,年間16,824円まで圧縮することができますが,VPS の方が高スペックで安価(「さくらの VPS」で仮想3コアRAM2GBディスク200GBのプランが月1,396円)です。ある程度大規模になり,大量の物理回線がある環境であれば自宅サーバの方が割安になるのかもしれませんが,まあ個人が趣味で運用する「自宅サーバ」の範疇としてはありえない話でしょう。
    2014/9/18追記:いまさら不備を発見。「標準的なサーバ」というのは「自宅サーバとして標準的なサーバ」という意味であり,具体的には富士通 PRIMERGY TX100 S3P で,CPU Pen G640,RAM 6GB,HDD 1TBx2 という構成で使っていました(過去形。現在停止して WWW のみレンタルサーバで運用中。そのうち VPS に乗り換えるかも)。またどうやら最近は「安鯖」も1万円以下では出なくなっているようなので,自宅サーバの初期投資費用は+1万くらいになるかも。
     見えないコストとして,室温上昇による空調費アップ,火災などのリスク(滅多にあることではないでしょうがこのリスクが無視できるほど低いと言い切ることのできる理由も見当たりません)などもあります。
     つまり,コスト面では,自宅サーバを選ぶ理由は一切ありません。

  • 可用性・信頼性が低い
  •  気をつけていても電気の使いすぎでブレーカーを落とすことはありますし,そうでなくても家庭用電源はまれに瞬断を起こします。ろくな検証をしていない自宅サーバ環境ではディスクのホットスワップは避けたいですので RAID を組んでいるディスクの1台が故障すればサーバの電源を落として作業したいですし,生活空間に置くものですからケーブルをひっかけて抜いてしまうことなどもあるかもしれません。サーバルームに並べられた高信頼性サーバで安定して運用されている VPS からすれば全く比べものにならないほど止まりやすいシステムだと考えるべきでしょう。
     つまり,可用性・信頼性の点から見ても自宅サーバを選ぶ理由は一切ありません。

メリット

  • トラブル対応がより容易(かもしれない)
  •  リモートアクセスが不能になるような大失敗をしても容易に復旧ができます。そのため,自分の使ったことのないソフトウェアやベータバージョンのソフトウェアなども気兼ねせずどんどん使えます。ただし,普通は VPS でもブラウザ越しにシリアルコンソールからアクセスできる機能が提供されているので,実際のメリットは微妙なところです。

  • ハードウェアの知識も(本当に少しだけだけど)付く
  •  タワー型サーバを使用する場合のみ,かつ本当に少しだけではありますが,VPS とは違いハードウェアいじりめいたことも楽しめます。

  • リソース制限が(やや)ゆるい
  •  個人が趣味で運営する程度の規模では VPS でもリソースの使いすぎで規制されることは考えにくいですし,ましてや規制される水準のリソースが恒常的に必要となる可能性なんてほぼありえないとは思いますが,自宅サーバであれば CPU やディスク I/O を制限なしで利用できます。ただし,回線の転送容量については,(ISP も VPS も具体的な数値は示されていないものの Interlinkが30GB~?/日に対してさくらレンサバのスタンダードプランが80GB/日であることから推測するに)VPS の方が大幅に制限がゆるいものと想像されます。

  • けなげに働くサーバの姿を見ると和む
  •  私はサーバを玄関に設置しているのですが,一日を終え玄関ドアを開けて帰宅するとサーバが HDD アクセスランプをチカチカと光らせながら出迎えてくれます。雨の日も風の日も回線メンテの日も,怠けずたゆまず一心に働き続ける自宅サーバ。その姿を見ると,現代社会の矛盾に耐えるうちに汚れきってしまった私の心に清らかなそよ風が吹き,僕も一生懸命頑張ろう,24時間は無理だけど1日8時間くらいは頑張ろう,と健やかで前向きな気持ちになれます。

T100TA では Ctrl2Cap が使えないという話

同じことをしてハマっている人もいそうな気がしたのでメモ。ただし,あくまでも私が遭遇したトラブルの場合です。また,このトラブル自体は去年買ったばかりの時の話ですので,説明が大雑把なのはご容赦を。
ある日 T100TA がキーボードを認識しなくなり大いに焦ったのですが,結論から言うと,「Ctrl2cap」というソフトをインストールしたのが原因でした。これはキーボードの Caps Lock に Ctrl を割り当てるというもので,自分は Windows XP の頃から使い続けていました。詳しいところはよくわかりませんが,他の Windows8 マシンでは依然として使えているとの情報があるので,T100TA の作りの特殊さに由来するように思われます。あるいは単に自分が利用している他のソフトとの干渉かもしれません(T100TA で普通に使えているという方は教えていただけると幸いです)。

ついでのメモ:
Lenovo3000 v200 で無線 LAN を有効化できない(ドライバは当たっているが通信できない,有効化してもすぐ切れる,rfkill -list すると acer-wireless が soft blocked が yes となっていてどうやっても no にできない)場合は
11.10 – Unable to enable wireless on Lenovo 3000 V200 – Ask Ubuntu
rmmod acer-wmi すれば ok

T100TA:Truecrypt の力を借りて microSD カードの実用性を上げるメモ

<重要>
14/5/30追記
29日から,Truecrypt 公式ウェブサイトがダウンし,sourceforge 上のプロジェクトページで開発中止の告知と利用中止の呼びかけがされています。しかし不自然,不可解な点が多く,ウェブサイト改竄や米政府当局による圧力などの可能性も指摘されています。まだ正確なことは判明していませんが(考察や議論はここここ,twitter 検索などで),以下の二つを徹底してください。
・現在の Truecrypt ウェブサイトで新規公開されたバージョン「7.2」(復号のみ)は危険な可能性があるので,決してインストールしない。ウェブサイトにもなるべくアクセスしない。
・この騒動以前の最終バージョンである「7.1a」は安全と見られるが,改竄の可能性を指摘する声もあるので,正確な情報が判明して騒動が落ち着くまでは極力使用しないようにする。もちろん,この記事の内容も実践しないこと。

14/8/5追記
Truecrypt の件,今なお詳細が明らかになったわけではありませんし,コード監査も途中のようですが,7.1a 初公開当初のバイナリが世界中から提供され,ハッシュ値から現行 7.1a に改竄がないと判明したことから,世間ではひとまず安全らしいという話になっているようです。が,誰も安全だと保証しているわけではありません。この言葉は嫌いですが「自己責任」でお願いします。

 先月書いた記事の続編?です.
 あの記事で私は microSD の利用について「あくまでも補助的に」と述べました。この判断の理由としては,寿命についての懸念もありますが,やはり「何かの拍子に外れて紛失する恐れがあり,セキュリティ上好ましくない」というのが一番でした。しかしこの判断は,「データは暗号化されずに保存される」という前提に立ったものです。その前提を崩せば,すなわち microSD を暗号化ドライブとして利用すれば,内蔵 eMMC と同様に実用できるようになるはずです。「モバイルデバイスでそんなことしたら遅すぎて/CPU 負荷が大きすぎて使い物にならないんじゃないか」と思われるかもしれません。僕自身,おそらくこの「常識」ゆえにディスクを暗号化して使うという発想が今に至るまで出なかったのかもしれませんし,実際に試してみるまでは半信半疑でした。しかし,これが思いのほか実用的だったのです。
 microSD 上に置いた,Truecrypt で AES 方式で暗号化した仮想ドライブについて,前回と同じ条件(CrystalDiskMark,3回,100MB)でベンチを取ってみました。(画像で貼るほど重要でもありませんが)結果は以下です。
pic-20140426-101624
 以前にも増して物悲しい数字ですが,それでもまあ,きちんと用途を限定すれば使えないことはない速度が出ているかと思います。元が悪いので速度はある程度仕方ないとして,驚いたのは CPU 負荷の低さです。きちんと計測したわけではありませんし,処理の内容にもよって違うのですが,たとえばこのベンチマーク中も,CPU 負荷は最大でも22%までの間で推移しており,ほとんどの場合で10%未満に収まっていました。どうでしょう,まるで暗号化なんてしていないかのような低負荷ではないでしょうか。
 ここまでの低オーバーヘッド・低負荷が実現している理由は,Atom では Bay-trail から新しく追加された AES のハードウェアアクセラレーション機能「AES-NI」にあります。AES-NI 自体は目新しいものではないのですが,長らく Core i5 以上の CPU にしか搭載されてこなかった「贅沢機能」でした。それが,Haswell で全 CPU に搭載されるようになったのに合わせて Bay-trail から Atom/Celeron にも搭載されるようになったようです。Atom が組み込み用 CPU に毛が生えた程度のものだった数年前からすると,もはや隔世の感がありますね。
 寿命の心配は依然として残るわけですが,これで,ダウンロードディレクトリや Dropbox ディレクトリ,(それほど重要でない)ソフトの置き場としてなら,活用できる! というわけです。ただし注意として,あくまでも SD カードとして認識されているためか,Truecrypt では,ドライブやパーティションそのものを暗号化することができません。Windows XP までであれば偽のドライバでシステムを騙すというダーティなテクニックがありましたが,最近は署名のされていないドライバは使えないのでおそらくこれは利用できないかと思います。そのため,microSD に tc ファイルを置いて利用することになります。こうするとシステムの水準での起動時自動マウントはできませんので,利用方法によってはトラブルが発生することがあります。たとえば自分は暗号化仮想ドライブを Dropbox のファイル置き場として利用しているのですが,そのままでは Truecrypt によるマウントの完了より先に Dropbox アプリが起動してエラーになることがあります。そのため,スタートアップに置くスクリプトを少し工夫して書く必要があります。個人的には,以下の vbscript で対応しています(この言語には初めて触れました……)。

set objWshShell = WScript.CreateObject(“Wscript.Shell”)
objWshShell.Run “C:Progra~1TrueCryptTrueCrypt.exe /v (tc ファイルの場所) /lz /q /k (keyfile の場所)”,1,1
objWshShell.Run “C:Users(ユーザ名)AppDataRoamingDropboxbinDropbox.exe”

 Truecrypt の作業完了を待って Dropbox を起動させるという流れです。詳しくは後述の参考サイトをご覧ください。keyfile のありかを平文で記述していてセキュリティも何もないのですが,この用途ではこんなもんで充分なはずです。心配ならシステムドライブを暗号化すれば ok(少なくとも大幅にマシにはなる)でしょう。もっとも,取り外し不可の eMMC を採用しているこの機種でそこまでしても,捜査当局に追われているとかの場合以外には役には立たないと思いますが……
 それでは,よい T100TA ライフを。

参考:

T100TA:「SD にインストール」の実用性は?

Windows タブレットのデータ保存領域はどれも低容量ですが,T100TA の下位モデルは内蔵 eMMC が 32GB と特に低容量です。キーボードドック付きでノート PC として使うことの多い機種ですので,なおさら手狭に感じます。私の T100TA も残容量が6GBを切りそうな勢いです……そこで「ソフトは micro SD(HC/XC 含む,以下「SD」と総称) カードにインストールしよう」ということになるのですが,ここで心配になるのはその実用性です。そう,周知の通り SD カードは遅い!です。Class10 でさえ安物 CF に劣り,高速 CF も安物 SSD に勝てないというのが常識。ソフトを SD にインストールして利用するというのは果たして現実的なアイデアなのでしょうか。
今回はこの問題について考えてみます。

お決まり,まずはベンチマーク
とりあえずベンチマークを走らせてみました。使用したのは Windows 用ストレージベンチとして定評のある「CrystalDiskMark」,書き込みデータ容量は「100MB」で試行回数は「3回」という設定です。
まずは内蔵 eMMC の結果です。T100TA の内蔵 eMMC には SanDisk 製と Hynix 製の2種類が確認されているそうで,SanDisk 製のものの方が遅いそうですが,私の個体の内蔵 eMMC はその遅い方の SanDisk 製のものです。
pic-20140227-232303
なかなかの速度が出ています。

次に SD です。私が使用しているのは,信頼性と性能から見たコストパフォーマンスの高さで人気の東芝 Class10/UHS-1 対応モデル microSDHC カード,「MU-B016GX」です。もっとも T100TA の内蔵カードリーダがダメダメなので性能を引き出してやることはできません。他にも T100TA で microSD のベンチを取られている方は多いですが,概ね私の結果と似たような数字になっているので,このへんが T100TA のカードリーダの限界と見てよいでしょう。
pic-20140227-231838
物悲しげな数字が出てきました。ランダムリードの数字はそう悪くありません。ランダムライトも一昔前の HDD くらいで,ギリギリ許容範囲内でしょうか。ただ,シーケンシャルリード/ライトは目立って遅いです。また,「512K Write」がやたらと遅いのが気になります。これらの特性は実用にあたりどのような結果をもたらすのでしょうか?

実際にソフトを使って比較
実際のソフト起動時間の計測結果も紹介します。ただし,手での計測であり,値はそれぞれ二回ずつ計測した結果の平均ですので,参考程度だと思ってください。コンマ以下は3桁まで計測していますが,1桁までに四捨五入しています。
今回検証に使用したのは GIMP を PortableApps.com がカスタマイズした「GIMP Portable」。インストール条件,読み込むツールや開くウインドウなどはいずれも標準設定です。eMMC と SD の条件は上述の通り,開く画像は Pentax K-5 で撮影した7,268KB・3936×2624の JPG ファイルで,適用するフィルタは「Cartoon」(Mark radius:7.00,Percent black:0.200),エクスポートの形式は PNG で標準設定から圧縮レベルのみ「0」です。

eMMC
内蔵 eMMC の GIMP Portable を画像を指定せずに起動:
15秒4

同,内蔵 eMMC に保存された画像を指定して起動:
17秒5

上で開いた画像にフィルタを適用:
19秒6

上で編集した画像を内蔵 eMMC に保存:
3秒0

SD
SD の GIMP Portable を画像を指定せずに起動:
19秒0

同,SD に保存された画像を指定して起動:
20秒7

上で開いた画像にフィルタを適用:
19秒5

上で編集した画像を SD に保存:
6秒5

なかなか面白い結果が出ました。ベンチマークの数字では eMMC と SD のランダム・シーケンシャルリードにはかなりの差があるのですが,実際の起動時間はそれほど変わらないようです。フィルタ適用はオンメモリでの処理なので差が出ていません。そして,画像の保存には倍の差がついています。ベンチマークの数字から考えれば起動の差より保存の差の方がずっと小さくなりそうなもんなんですが。起動時には私が思っているより複雑なことが行われているのかもしれません。まあなんにせよ,実使用ではベンチマークの数字ほどには差がでないようです。少なくとも速度面については充分実用になると判断してよさそうです。

寿命の問題
速度はまあ許容範囲内ということがわかりました。ただ,問題は速度だけではありません。
次に気になるのはSD カードの寿命がどれくらいのものなのかということです。もちろん SSD も SD カードも使っているフラッシュメモリの寿命という点では変わりません(一般に,MLC の場合で1ブロックあたり書き換え1,000〜10,000回程度だと言われている)し,SSD と同じく SD カードもウェアレベリングはしています。しかし,SSD が壊れたという話はほとんど聞かないのに対して,SD カードは自分の経験だけでもよく壊れています。これは一体なぜでしょう。SSD と SD カードの違いを考えてみるに,以下あたりが怪しそうです。

    • 容量の違い?

SD カードは数GBなど低容量のものが多いが,低容量のため代替ブロックが少なく,それが寿命の短さにつながっているのでは,という仮説。

    • コントローラの性能や寿命?

SD カードは SSD と比べてコントローラの性能が低く不良ブロックを見落としやすいのではないか,あるいはコントローラの寿命が短くフラッシュメモリの寿命より早く挙動がおかしくなるのではないかという仮説。

    • ウェアレベリングしていないカードがある?

ネット上のベンチ結果情報を見ると,寿命は長いものと短いものに二極化している印象を受けます。また,私はコントローラチップのメーカーがウェアレベリングしているといっているのだからしているのだろうと思っていましたが,SD カードはウェアレベリングをしていない,という主張も時折見かけます。ひょっとして安物カードのコントローラはウェアレベリングをしていなくてフラッシュメモリがすぐ死ぬのかも?という仮説。前2つよりさらに無根拠です。

    • 単純に数の差?

たとえば私の部屋に SSD は3台しかありませんが SD カードは20枚くらいあります。つまり,そもそも SD カードの方がよく壊れるという前提が間違いなのでは,という仮説。案外これだったりして。

立ちはばかる謎を解決する手がかりを得るべく検索エンジンと格闘したのですが,この問題につき満足のゆく答えは得られませんでした。かくなる上は自分で実際に検証してみるしかないのですが,それだけの根気も財力も結果が正しいかを判断できるだけの知識もないので,形あるものは全て滅びる定め,与えられた運命を受け入れ……じゃなかった,破損しても問題のないデータのみを置くようにして,いつ壊れても大丈夫なように設定ファイルなどはこまめにバックアップを取るようにして使っていこうと思います。引き伸ばした割にダメダメな結論で申し訳ありません。

紛失の問題
T100TA はなぜか microSD カードがスロットから少しはみ出す(ツライチにならない)作りになっています。ツライチにするのも難しくはないだろうになぜわざわざこんな仕様にするのか本当に理解に苦しみますが,現にそうなっているものは仕方ありません。考えられる対策としては以下のようなものがあります。

    • SD カードを削る

実施済み。ただ,T100TA の場合カードの背ではなく回路のある腹の側を削らねばならず,あまり大きくは削れません。そのため,安全圏内でギリギリまで削ったとてほとんど改善はしません(若干引っかかりにくくなる程度)。

    • テープでとめる

これが最良の選択肢かもしれません。ただ,気づかないうちにカードがリリースされていて接触が不安定になりデータが破損するリスクがあります。また,テープでとめたところで粘着力が弱まって落ちないという保証はありません。

どちらも抜本的ではありません。流出したら困るデータはそもそも置かない,という配慮が必要でしょう。これはけっこう致命的かもしれません。またもやダメダメな結論で申し訳ありません。

結局のところ
microSD についてはあくまでも補助的に考えるべきのようです。速度面ではそれほど問題は無いようですが,寿命が不明なので破損したら面倒なことになるデータは置きたくありませんし,ソフトにしても,ブラウザやメーラーなど流出させるわけにはいかないセンシティブな情報を設定ファイルに含むソフトは残念ながら置くことはできません。その一方で,ゲームやダウンロードしたファイルの置き場としては大活躍することでしょう。実際,試しに「Tropico 4」というゲームを SD にインストールしてみましたが,ローディングこそ少し遅いもののなかなか快適にプレイできています。もし microSD スロットがなければ空き容量の問題からこのマシンでゲームを楽しむことはできなかったはずですので,この microSD スロットのおかげで活用の幅が大きく広がったわけです。表題の問いに対しては,「用途によっては充分に実用的だし,用途によっては実用云々の以前に危険」という答えになりそうです。

続編? → T100TA: Truecrypt の力を借りて microSD カードの実用性を上げるメモ | 怠惰の形而上学

参照:

Linux 用 Twitter クライアントの決定版:「gFeedLine」

普段私が PC で Twitter へアクセスするときには公式 web か Hootsuite を使うことが殆どなのですが,最近ちょっとミュート機能が必要となる場面があり,Linux の Twitter クライアントを調べてみました。すると,「gFeedLine」というものがよさそうとの情報を発見。なんでも開発者は日本人の方だそう。日本における Twitter の使い方は他の国とは少し違いますので,これは期待できます。

依存関係を満たし .deb をインストールして起動し,「編集(V) > 設定(P)」からアカウントや表示するフィードの設定を終えた画面はこんな感じです。一見何の変哲もない画面ですが,User Stream 対応で API 切れの心配がありません(これが欧米発のプロジェクトでは対応するつもりもない場合が大半)。
snapshot7

同じく(ほぼ)日本独自の機能であるミュート設定も充実しており,特定の語を含むツイートや特定のユーザーによるツイートを隠すことができるのはもちろん,語やユーザーごとにミュートを続ける期間を細かく(最短1時間刻み)設定することができます。映画などのネタバレツイートの流れ弾被弾を防ぐのに役立つこと請け合い。
snapshot5

テーマを変更することもできます。
snapshot6

難点は投稿時のキーショートカットが(あまり一般的でないように見受けられる)Ctrl + U で変更不可という点くらいで,(→事実誤認でした。一般的な Ctrl + Enter でもポスト可能です。お詫びして訂正いたします)軽くて安定動作,ミュートや Userstream など日本人ユーザーのツボをおさえた機能アリと素晴らしいクライアントです。Linux 用 Twitter クライアントは他にもいくつか試してみましたが,日本で求められる機能を備えつつ万人におすすめできるものというとやはりコレが一番でしょう。

追記:
自分は最初からアルファ版を試したので気づきませんでしたが,執筆時点現在の正式版 2.4.1 には「システムがサスペンドからレジュームした時に user stream が切れたままになる」という問題があるようです。この問題はアルファ版 2.4.2 では修正されています。アルファ版とのことではありますが,かなり安定していますので,特別な理由のない限り 2.4.2 を選ぶべきでしょう。

参照:
gfeedline – Social Networking Client – Google Project Hosting
GFeedLine: GNOME 向け SNS クライアント | yendo weblog
Geeekooo: Twitterクライアント(Ubuntu編) [追記]
GFeedLine: A Social Networking Client For Twitter, Facebook And Tumblr

V-プリカのパスワード文字数制限

たまーに使っている「V-プリカ」のパスワードを変更したらログインできなくなってしまいました。連続のパス間違いによるアカウントロック→パス再発行を三回ほど繰り返してからやっと気づいたのですが,入力したパスワードが指定文字数を超えていて,それが原因なのでした。パスワードの設定時には指定文字数を超えていてもエラー表示が出ず,ログイン時には指定文字数を超えて入力するとパスワードが違うと判断してハネられるという流れ。こういう作りになってるサイト,今でも時々ありますね。

xfce でセッションを保存させないには

最近の xfce にはログアウト時にセッション内容(起動しているアプリケーションとその状態)を保存して次回ログイン時に復元してくれる機能が付いているみたいです。流行ではありますが自分にとっては要らんおせっかい。設定項目にこの機能を無効化するものがなかったので弱っていましたが,なんのことはない,ログアウト時の選択画面で「次回ログインのセッションを保存する」のチェックを外せばいいだけでした。一度チェックを外せば次回以降も記憶していてくれます。

X60 に Wheezy をインストールしたメモ

ThinkPad X60 を Squeeze から Wheezy にアップデートするにあたりクリーンインストールしたので設定のメモ。Debian 7.2 i386 xfce

1.とりあえず使いそうなものをまとめてインストール
# aptitude install sylpheed ghex sudo gksu gedit vim wine keepassx xdg-user-dirs-gtk gpicview gigolo

2.トラックポイントでのスクロールを利用可能にする
Fedora上でTrackPointのスクロールを有効に | PCと遊ぶ日々の記録

3.~/ のディレクトリを英語に
$ LANG=C xdg-user-dirs-update –force

4.無線 LAN のドライバを導入
X60 標準の内蔵無線 LAN アダプタには発熱問題があるので引っこ抜いてしまって,BIOS による純正チェックや電波法規の絡みから代わりのアダプタの内蔵は諦め,PLANEX の GW-USNano-G という USB アダプタを刺しっぱなしにして使っています(案外邪魔になりませんし感度もまずまずです)。そいつのドライバの導入。
Untitled : Ubuntu13.04 GW−USNano2-G(rtl8192cu)
firmware-realtek というドライバが自動で導入されているけれど,せっかく Realtek が一発で導入できるインストールスクリプトを用意してくれているので純正ドライバを入とく。

5.Mozc の設定
# aptitude install mozc-utils-gui
# aptitude remove uim-mozc
$ /usr/lib/mozc/mozc_tool –mode=config_dialog
(設定ウィンドウが開くので,設定をしたうえで閉じる)
# aptitude install uim-mozc
protobuf とやらのほにゃららのほにゃららで,uim-mozc があると設定を保存できないらしい。→mozc_tool | ekato’s note
対策方法はあるようだけど,めんどいので力技で解決しちゃう。

6.CapsLock を Ctrl にする
設定>セッションと起動>自動開始アプリケーション
以下のコマンドを追加
setxkbmap -option “ctrl:nocaps”
CapsLock 滅ぶべし!
液晶の文字が読みにくいなどの場合は「xgamma -gamma X.X(X.X はお好みの値)」も追加しておくと幸せになれます。

7.表示を設定
設定>ウィンドウマネージャ(詳細)>合成処理
から,合成処理を有効にする(グラフィックで描画するため CPU 負荷が減ります)。
あとはお好みで。

8.レポジトリにないソフトを導入
Dropbox
TrueCrypt – Free Open-Source On-The-Fly Disk Encryption Software for Windows 7/Vista/XP, Mac OS X and Linux

8.その他
電源管理,デスクトップパネル,メーラーやブラウザの設定など。

「1Mobile Market」って何者? 調べてみた。

「1Mobile Market」って何者? とウェブ検索して昨年書いた記事に辿りつく人がけっこういらっしゃるみたいなので,1Mobile Market の正体について知っていること・調べてみてわかったことを書いておこうと思います。

まず,1Mobile Market が中国のものであると判断した理由ですが,ドメイン「1mobile.com」を whois した結果からです。1mobile.com を whois にかけると以下のような情報が得られます。なお,ここに掲載するにあたり念のために一部情報を伏せてあります。

(略)
Registrant Name: Kunlun Kunlun
Registrant Organization: Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi
Registrant Street: Beijing
Registrant Street: ******
Registrant City: Beijing
Registrant State/Province: Beijing
Registrant Postal Code: ******
Registrant Country: China
Admin Name: Kunlun Kunlun
Admin Organization: Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi
Admin Street: Beijing
(以下略)

というわけで,中国の Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi なるところがこのドメインを取得し,サイトを維持しているようです。中国語はぜんぜん読めませんが,Keji が「科技」で Gongsi が「公司」だ,といった乏しい知識を切り貼りして考えてみるに,どうもこれは企業の名前であるようです。代表者名か担当者名を書いておくべき Admin Name の欄に「Kunlun Kunlun」なんてフザケたことが書いてあるのがいかにも怪しげな感じですが,とりあえずこの「Kunlun」なる単語が重要っぽいことはわかりました。

件の記事を書いた際はここまで調べたところでおしまいにしました。20個ほどアプリを落として調べてみても特に改竄はないようで,一部ウイルス対策ソフトではアドウェアとして警告されるという情報があるもののそこまで行儀の悪いこともしてないようだったので,多分それほどのリスクはないだろうと考えてブログで紹介しても大丈夫だろうと判断しました。さて,ここからが本日やったこと。

まず Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi という文字列でウェブ検索してみましたが,役に立ちそうな情報は出てきませんでした。それではということで「Kunlun」という単語を検索窓に突っ込んでウェブ検索してみると……

ア,なんか出てきた。

その名も kunlun.com,遊技とか書いてあるしゲーム関係のなにかのようです。ふむ。

で,運営会社名を見てみると……

昆仑万维科技股份有限公司

さっきの whois で出てきたのが……

Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi

漢字を眺める限り,ここで合っているっぽい? なお,この漢字社名で検索してみるといろいろな情報が出てきます。残念ながら全部中国語なので読めませんが……

更に,「公司介绍」(会社紹介?)のページにはこんなことが書いてありました。

昆仑万维集团成立于2008年,目前已经发展成为全球化的综合互联网企业。旗下包含三大业务品牌:昆仑游戏(包含集团旗下所有游戏业务的研发及发行)、Brothersoft&1mobile应用商店以及Raidcall(RC语音)。

バッチリ書いてありますね。ビンゴ!

では,一体なぜ 1mobile.com では正体を隠しているのか? その謎を解くヒントは,1Mobile の隣に書いてある「Brothersoft」なるサイトにありました。このサイトも 1Mobile 同様無料ソフトの紹介サイトのようです。ま,とりあえず「Brothersoft」でウェブ検索してみましょう。するとどうでしょう。出るわ出るわ,被害者の声……

そう,Brothersoft も,恐らくは 1Mobile も,「無料ソフトの無断転載」で広告収入を集めているサービスであるようなのです。こんなトンでもないことを堂々と悪びれることもなくやっているのでは,目立つところに連絡先を書けば殺到する抗議で電話回線やメールボックスがパンクするのは火を見るより明らかです。Brothersoft や 1Mobile のウェブサイトに連絡先らしい連絡先,会社情報らしい会社情報が無いのはたぶんそういう訳でしょう。本当にトンでもない。

ではこの昆仑万维科技股份有限公司なる会社はどうしようもない悪徳企業なのかというと,必ずしもそういうわけでもなさそうです。というのも,この会社が提供している「Raidcall」なる VoIP ソフト(たぶん)はどうも普通のソフトのようなのです。公式サイトについている数十万もの「Like!」は絶対にフェイク(金で買ってる)だと思いますが,それでもまあ実際にゲーマー界隈を中心にそれなりに支持を集めているみたいです。やはり,この無茶苦茶な無断転載はかの国の企業の独特の商習慣によるもので,当人はそれが真っ当なビジネスだと信じて疑っていないのかもしれませんね……

というわけで,「1Mobile Market」についてわかったことをまとめると以下の通りです。

  • ソフトウェアデータベースは無断転載によるものであると考えられる
  • 中国の「昆仑万维科技股份有限公司」なる会社が運営している。この会社自体は(この会社による主張が正しければ)当局の許認可も得ている普通の企業
  • おそらくリスクはそれほど高くないが,著作権侵害の疑いが非常に強いので,良識ある大人として利用するべきではない

こんな感じですかね。なにか誤り等ありましたらご指摘いただけるとありがたいです。

2014/08/29追記:
この記事を書いてから1年が経ちましたが,今でもこの記事にはそれなりのアクセスがあるようです。当時より情報も増え,非公式 Android マーケットを取り巻く情勢にも変化がありますので,簡単に追記。

・1mobile market が(少なくとも日本法では)「クロ」なのは確定のようです。

【情報】1mobile market に勝手に登録されててドキドキした話 子持ち主婦でもできる!無料で簡単Androidアプリ開発
1mobile marketにアレされたよという話 – 今日の興味

利用した場合に法的には具体的にどういう扱いになるのかはそのうち暇なときにでも調べてみたいですが,これだけ 1mobile market の違法性を信じるに足る理由があり,そのことを知っている以上,刑事罰の対象にこそならないものの「利用(ダウンロード)自体が違法」なのは確実でしょう。はっきりと言いますが,決して利用してはいけません。記事公開時,正確性と中立性に慎重を期すあまり「黙認」とも取れるような曖昧な表現をしてしまったのは反省せねばなりません。

・Amazon Appstore を利用しましょう
Amazon Appstore は Amazon 社が同社の Kindle Fire のために立ち上げたマーケットですが,通常の Android タブレットでも利用可能です。登録アプリの乏しさが指摘されていましたが,最近ではかなり改善しています。概ね実用可能なレベルと言ってよいと思います。Amazon アカウントとの紐付けが要求されますが,無料で利用することができます。
他にも非公式マーケットは数多く存在しますが,合法と断言でき,かつある程度データベースが充実しているものとなると選択肢はあまりありません。数少ない Amazon Appstore 以外の選択肢の筆頭は Tapnow Market で,JWord の創業者で Kingsoft 日本法人の社長であった人物が設立した日本の会社,ACCESSPORT株式会社によって運営されています。サービス開始当初無断再配布問題を起こしていますが,特に被害が届け出られることもなかったのか沈静化し,現在は事前に許可を取った上で掲載している模様。ただし,データベースはそれほど充実しているとは言えない状況です。もう一つは F-Droid で,自由ソフトウェアのみが公開されているマーケットです。運営主体は英国の非営利団体 F-Droid Limited です。非常に理想的な存在ではありますが,Android をプラットフォームとするオープンソースソフトウェアは少なく,とても実用的とは言えません。
→2017/8/22追記:
各マーケットの2017年8月現在の状況について補足。なお,先述の条件を満たすマーケットは他に見つかりませんでした。
・Amazon Appstore(Amazon Android アプリストア)は,特に変化のない状況のようです。ゲームの大型タイトルなどではやはり取り扱っていないものが多いですが,広告収益が主なゲームやユーティリティ類などはかなりカバーしています。依然として Amazon Appstore が一番お薦めの選択肢です。
・Tapnow Market は,サービスが放棄(?)されたようです。会社は残っておりドメイン名やウェブサイトの残骸も残っているのですが,マーケットはもはや機能していないようです。
・F-Droid は,幾度かのリニューアルを重ねてより一般向けになると同時に,レポジトリへのアプリ収録数も充実し,この3年間でかなり実用的になってきました。自由ソフトウェア以外は一切取り扱わないため,使うアプリが決まっている人には活用しにくいはずですが,それまでと別のアプリを使うことに抵抗がなければ必要な機能を F-Droid だけで一式揃えることも容易となりました。以下は一例です(* はF-Droid Archive レポジトリ収録)。
ホーム – ADW.Launcher, OpenLauncher, KISS Launcher
ブラウザ – Firefox (IceCatMobile or FFUpdater 使用)
メール – K-9 mail
エディタ・ジョッタ – Lesser Pad
オフィス – LibreOffice Viewer
画像 – Gallery (com.simplemobiletools.gallery)
動画 – *VLC
音楽(ディレクトリベース) – Pretty Good Music Player, Vanilla Music
カメラ – Open Camera
地図 – OsmAnd, ウェブアプリ
電卓 – Mathdroid
ファイラ・アーカイバ – Amaze File Manager
二段階認証 – FreeOTP
ゲーム – Tanks of Freedom ,*Gloomy Dungeon 3D, Gloomy Dungeon 2, *Pixel Dungeon, *Recursive Runner, Anuto TD など質の高い Android ゲームが多数ある他,Minetest などデスクトップ Linux における人気ソフトの移植も。

2014/09/01追記:
Kunlun 社のウェブサイトを改めて見てみたところ,「会社紹介」に日本支社があるというようなことが書いてありました(前は書いていなかったよな気が……書き足されたのかな)。本当かよと調べてみたところ,本当らしい。

koramgame.co.jp – 無料ブラウザゲーム&ソーシャルアプリ – トップ

会社名は「崑崙日本株式会社」で,驚くべきことに資本金9000万円とかなりの規模。ウェブ検索してみると,遅くとも2011年ごろには既に日本で本格展開していた模様。なお,「会社概要」ページで「北京崑崙万維科技有限公司」の日本法人である旨明記されています(この日本字体?表記でウェブ検索すると,いろいろと情報が出てきます。たとえば,東証一部上場企業の KLab 株式会社が北京本社と業務提携しているほか,同じく東証一部上場の株式会社コロプラも北京本社と契約を結んでいるようです。)。Kunlun 社の Linkedin ページというのもあり,これによると,中国,北米,欧州,日本,韓国,台湾,マレーシア,ベトナムで事業を展開しているらしい。著作権や企業の責任についての認識には(ここまで述べてきた通り)かなり問題がありますが,勢いのある会社のようですし,ぜひ 1Mobile Market についても著作権の問題を完全に解決した上で改めて日本市場参入をし直してもらいたいところです。

2014/09/01追記その2:
……と,無難な結論に至ったところで,あることに気づいてしまいました。正直なところあまりこれ以上踏み込みたくないので,簡単に。
www.1mobile.com の下の方に注目してください(フォントが潰れているのは私がブラウザのフォントサイズを大きく設定しているからですのでお気になさらず)。

左から「UC Browser」「Crack APK」「Good e-Reader」と3つ広告のようなものがあります。貼られている URL は(何も挟まず,特別なランディングページでもなく)行き先のトップページです。まあリファラを見ているのかもしれませんし,ここまではおかしくありません。まずは「UC Browser」のリンクを開いてみましょう。UC Browser は中国ではよく知られたモバイルブラウザです。すると下の方に「友情链接(友情リンク?)」というものがあり,あまり関係なさそうなサイトへのリンクが並んでいます。なるほど,日本でも個人サイトではよく見られる「相互リンク」ですね。こうして SEO で協力しているわけです。この前提で今度は「Good e-Reader」を見てみましょう。こちらはどうも電子本リーダについての英語圏のニュースブログのようです。ページの下の方には果たしてリンク集があり,1mobile.com が筆頭となっています。サイト名でウェブ検索すると同一ドメインに怪しげなアプリマーケットが見つかり(http://apps.goodereader.com/),1mobile とは SEO での協力以上の契約があることを伺わせます。まあ,これも置いときましょう(置いといちゃいけないのですが)。最後に,3つの中でも異彩を放つ「Crack APK」です。これは名前の通り有料アプリのクラック版を公開しているサイトのようで,完全に真っ黒けっけです(当然違法です! 有料のもののため,コンテンツや場合によっては2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはその両方を課せられる可能性もあります! 決してダウンロードしないように!)。クリックしてダウンロードダイアログを開いてみると,それぞれファイルサイズが違い,本物のように思われます。さてこの真っ黒なサイトですが,例によって whois してみると……

Domain Name: CRACKAPK.COM
Registry Domain ID: 1857234548_DOMAIN_COM-VRSN
Registrar WHOIS Server: whois.godaddy.com
Registrar URL: http://www.godaddy.com
Update Date: 2014-05-03 20:39:14
Creation Date: 2014-05-03 20:39:14
Registrar Registration Expiration Date: 2015-05-03 20:39:14
Registrar: GoDaddy.com, LLC
Registrar IANA ID: 146
Registrar Abuse Contact Email: *****
Registrar Abuse Contact Phone: *****
Domain Status: clientTransferProhibited
Domain Status: clientUpdateProhibited
Domain Status: clientRenewProhibited
Domain Status: clientDeleteProhibited
Registry Registrant ID:
Registrant Name: CRACKAPK COM
Registrant Organization:
Registrant Street: Beijing
Registrant City: beijing
Registrant State/Province: beijing
Registrant Postal Code: 100000
Registrant Country: China
Registrant Phone: *****
Registrant Phone Ext:
Registrant Fax:
Registrant Fax Ext:
Registrant Email: chenxy+gmail.com
Registry Admin ID:
Admin Name: CRACKAPK COM
Admin Organization:
Admin Street: Beijing
Admin City: beijing
Admin State/Province: beijing
Admin Postal Code: 100000
Admin Country: China
Admin Phone: *****
Admin Phone Ext:
Admin Fax:
Admin Fax Ext:
Admin Email: chenxy+gmail.com
Registry Tech ID:
Tech Name: CRACKAPK COM
Tech Organization:
Tech Street: Beijing
Tech City: beijing
Tech State/Province: beijing
Tech Postal Code: 100000
Tech Country: China
Tech Phone: *****
Tech Phone Ext:
Tech Fax:
Tech Fax Ext:
Tech Email: chenxy+gmail.com
Name Server: NS1.CRACKAPK.COM
Name Server: NS2.CRACKAPK.COM
DNSSEC: unsigned
URL of the ICANN WHOIS Data Problem Reporting System: http://wdprs.internic.net/
Last update of WHOIS database: 2014-09-01T22:00:00Z

例によって念の為に一部情報を伏せてある他,メールアドレスの「@」を「+」に書き換えています。流石真っ黒なサイトだけあり運営母体や住所なんて登録したりはしてはいません。しかし,妙な詰めの甘さがあるようです。このメールアドレス「chenxy+gmail.com」で検索してみましょう。すると,こんなサイトが出てきます。

chenxy@gmail.com – Page 1 – Advanced Reverse Whois Lookup Results

どうも共通する情報を登録してあるドメインの一覧を表示するサイトのようです。有料サービスらしく費用を払わないと全部を見ることはできませんが,最初のページだけは見ることができます。……しかしこれ,あれ? 「koramgame.com」というドメインがあるのですが……

koramgame.com – Connect, share, play! – Home

「About us」のページを見ると,会社名は「Koram Games Ltd.」となっていますが Kunlun の別ブランド?である「Kalends」のロゴがあります。また,「koramgame」は Kunlun 日本法人のブランド名でもあります。なお,似たような名前で多くのドメインが登録されているようですが,ウェブサーバが生きているのはこれだけ(他はブランド保護のためのドメイン保持?)のようです。
このサイトも whois してみると……

Domain Name: KORAMGAME.COM
Registry Domain ID: 1573605509_DOMAIN_COM-VRSN
Registrar WHOIS Server: whois.godaddy.com
Registrar URL: http://www.godaddy.com
Update Date: 2009-11-03 00:04:21
Creation Date: 2009-10-26 18:43:22
Registrar Registration Expiration Date: 2014-10-26 18:43:22
Registrar: GoDaddy.com, LLC
Registrar IANA ID: 146
Registrar Abuse Contact Email: *****
Registrar Abuse Contact Phone: *****
Domain Status: clientTransferProhibited
Domain Status: clientUpdateProhibited
Domain Status: clientRenewProhibited
Domain Status: clientDeleteProhibited
Registry Registrant ID:
Registrant Name: Yahui Zhou
Registrant Organization: Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi
Registrant Street: *****
Registrant Street: Xicheng District
Registrant City: Beijing
Registrant State/Province:
Registrant Postal Code: *****
Registrant Country: China
Registrant Phone: *****
Registrant Phone Ext:
Registrant Fax: *****
Registrant Fax Ext:
Registrant Email: chenxy+gmail.com
Registry Admin ID:
Admin Name: Yahui Zhou
Admin Organization: Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi
Admin Street: *****
Admin Street: Xicheng District
Admin City: Beijing
Admin State/Province:
Admin Postal Code: *****
Admin Country: China
Admin Phone: *****
Admin Phone Ext:
Admin Fax: *****
Admin Fax Ext:
Admin Email: chenxy+gmail.com
Registry Tech ID:
Tech Name: Yahui Zhou
Tech Organization: Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi
Tech Street: *****
Tech Street: Xicheng District
Tech City: Beijing
Tech State/Province:
Tech Postal Code: *****
Tech Country: China
Tech Phone: *****
Tech Phone Ext:
Tech Fax: *****
Tech Fax Ext:
Tech Email: zhouyahui+gmail.com
Name Server: NS1.KORAMGAME.COM
Name Server: NS2.KORAMGAME.COM
DNSSEC: unsigned
URL of the ICANN WHOIS Data Problem Reporting System: http://wdprs.internic.net/
Last update of WHOIS database: 2014-09-01T22:00:00Z

更にトドメとして,既にお気づきの方も多いでしょうが,crackapk.com 上で各アプリの詳細ページを開くと 1mobile.com へのリンクがあります。

これはもう言い逃れの余地はありません。
無料ソフトウェアの再配布は日本でもネット回線の遅かった時代には割と一般的なことであり,今でも作者(著作権者)が特約を付けて許可していることも少なくないことからまだ好意的な解釈も可能でしたが,有料ソフトウェアを違法アップロードとなるとまるで事情が違います。一応公平のために言っておくと「ドメインは代行取得しただけで,1mobile.com へのリンクは勝手に貼られた」という説明も可能ですが……
世界中で大きな利益をあげていて,日本の複数の東証一部上場企業とも深い関係のある会社が,クラックした有料アプリを違法アップロードしている。いや,どこか私の認識・推理に誤りがあるのでしょうか? そうであればよいと思いつつ,今日は筆を置きたいと思います。

Summary for non-Japanese readers:
– 1mobile.com is operated by a Chinese online game company, Kunlun Wanwei Keji Gufen Youxian Gongsi (昆仑万维科技股份有限公司), according to WHOIS information and their Chinese website. The company also provides Brothersoft.com and Raidcall.
– Some app developers reported that the company uploaded apps to their server without author’s permission. Hence use of 1mobile.com may illegal in certain jurisdictions.
– Security issues like malware infection are not reported, as far as I know. But I strongly recommend to use Amazon Appstore or other safer markets instead to avoid potential danger (security and legal).

2016/04/13 国外からのアクセスも結構あるっぽいので英語の要約を加筆
2017/08/22 だいぶ前にしたサーバ引っ越しで画像が正常に表示されなくなっていたようなので修正。「Amazon Appstore」「F-Droid」「Tapnow Market」について最近の状況について追記。なお,この記事は今でもアクセスが多いですが,既に古く2013年8月時点の事実に基づくものであるため,現在ではあまり参考にならない可能性があることを念のため改めて記しておきます。