Windows Vista の代わりに Linux をインストールすべきでない5つの理由

 2017年4月11日に Windows Vista の延長サポート期間が終了するそうです。以後セキュリティホールが発見されても修正はされないということであり,Windows Vista を使い続けることは非常に危険となります。したがって可能な限り速やかに新しい環境に乗り換えることが必要になりますが,その中で,雑誌やウェブサイトなどで「Linux 1 に乗り換えれば無料で安全」という記事を目にした方も多いのではないかと思います。この記事は,そのような記事には書かれていない事実を伝え,時間と労力を浪費する人が一人でも減ることを期待して書いたものです。
 なお本記事はコンピュータに詳しくない方のために書いたものであるため,用語や解説に不正確な部分があることを予めご了承ください。

1. 買い換えたほうがずっと快適
 技術の進歩が日進月歩であることを指して,犬の1年はヒトの5,6年程度に相当するとされることから「ドッグイヤー」と言ったりしますが,ことコンピュータの世界では「マウスイヤー」なんて言葉が使われることがあります。マウス(ハツカネズミ)の寿命は2年程度とされ,じっさい,冷蔵庫や洗濯機などの家電であれば10年かかるような変化が毎年起きているのがコンピュータの世界です。
 Passmark というベンチマーク 2があります。その数値が公開されていますので,ここからお持ちのパソコンの CPU の数値を探してみてください。見つかりましたか? では,「1261」 という数値と比べてみてください。この数値がいったい何なのかというと,Atom x5-Z8350 という CPU の数値 3であり,2万円ちょいで販売されている 4 ASUS VivoBook R209HA など,現行パソコンの中で最低クラスのものの性能です。もちろん新品です。しかもこちらのほうがバッテリが持ちますし(公称9.5時間),液晶も綺麗で,軽量で(980g),発熱が少なく冷却ファンもありません。6万円前後の安物の12.1型モバイルマシンで見かける Core m3 7Y30 なら 3676 5,同価格帯の15.6型据置マシンに多い Core i5 7200U なら 4713 6 です。買った時は高くても,今ではそのパソコンの性能はこの程度です。それでも使い続けるだけの価値があるか,一度よく考えてみてください。

2. Windows 10 のほうが即戦力になる
 Windows Vista は大飯喰らいの OS 7 です。ちゃんと使うためには最低限デュアルコア CPU と 2GB 程度の RAM 8 は必要でしょうか。それくらいの性能があれば Windows 10 を動作させることができます。2万円近い出費はたしかに痛手ですが,まだまだ使い続けたい愛機であれば,決して無駄な投資ではないでしょう。なにしろ,使い慣れたソフトをこれまで通り使えることで,今までどおりバリバリ使い続けることができるようになるのですから。生産性を考えれば,下手に知らない OS を入れて置物にしてしまうよりお得です。

3. 新しく学ばなければならないことが多い
 Linux は Windows とは全く違った OS です。今までの経験は全く役に立ちません。たとえ表面的な見た目が似ていても,その中身は全くの別物です。「aptitude」の使い方を知っていますか? 「systemd」って何だか知ってますか? 英語のドキュメントは読めますか? 使いこなすためには,新しいことを恐れず自ら積極的に学ぶ姿勢がなければなりません。「そんなの面倒くさい」という方,今使っている Windows もイマイチ使いこなせていないという方,悪いことは言いませんので Linux に手を出すのはやめましょう。大切な休日を無駄にしてしまうだけです。多少のお金を出し惜しんで,短い人生の限られた余暇を面倒な作業で潰してしまうのは馬鹿馬鹿しいことです。もし Linux を検討する理由が節約なのであれば,「貧すれば鈍す」に陥っていると言わねばなりません。

4. 思っているほど軽くないし手軽でもない
 Linux は軽いらしい,という話を聞いたことがあるはずです。Vista 以降との比較で言えば,これは確かに嘘ではありません。しかし,決して魔法か何かが込められているわけではありません。まるで買い換えたかのような劇的な違いというのはありえません。もしお使いのパソコンの CPU の性能がイライラするほど低いのであれば,Linux でもやはりイライラしますし,多少マシにはなるかなという程度です。また,ページファイルに頻繁にアクセスするほどメモリが足りないのであれば,Linux でもやはりハードディスクにアクセスしっぱなしになります。また,軽いというのはやっている仕事が少ないということでもあります。Windows にある機能のうち,詳しい人に好まれない機能は省かれていることもあります。たとえば,Windows の「システムの復元」に相当する機能は Linux では搭載されていない場合が多いです。上級者向けのものでは自動アップデート機能さえ使われていないことも多いです。
 また,Windows でできることは違うソフトを使うことで Linux でもできる,という話を聞いたことのある方もいるかもしれませんが,こちらは嘘に近いです。動画や音楽などで DRM 9 の関わることは大抵できませんし,ゲーム用グラフィックボードは大抵 Windows より性能を引き出せません。「Wine で Windows 用のソフトを実行できる」というのも,複雑なソフト,3D グラフィック機能を多用するソフトでは使えないことが多いです。逆に Linux でしかできないことも多いのですが,単にパソコン用 OS として使う上ではあまり関係ありません。

5. そもそも Windows とは用途が違う
 Windows は最初からパソコン用の OS として開発されたもので,今も主にパソコン用の OS として使われています。また,商品として売るためのものであるため,可能な限り市場を大きくできるように作られています。一方の Linux は全く違います。Linux はもともと UNIX という OS と同等の環境が個人でも手軽に使えるように作られたもので,UNIX は研究所などで使われる高性能なサーバ 10のための OS でした。現在の Linux も同様に,殆どはサーバ用の OS として使われています。パソコン用の OS としての利用はあくまでもオマケ程度のものです。Linux がパソコン用の OS としても使われるようになったのは比較的近年のことで,パソコン用の OS として実用的になったのはここ10年くらいのことです。また,Linux は出来合いの商品ではなく,多くの人が集まって進められているさまざまな非営利のプロジェクトの集合体です。誰でも自由に使える一方で,誰もが積極的に学び,更には開発に参加することが期待されているのです。したがって Windows と Linux では,同じ「使いやすい」という言葉でもその意味するところは違います。前者では難しい設定は隠されてユーザはボタンを押せば済むことを意味して,後者では技術的背景を理解したり自分好みに作り変えたりしやすいことを意味します。
 
 
 
 Windows XP のサポート期間終了の時もそうでしたが,Linux に手を出してみたものの使いこなせず,こう言ってはなんですが,逆恨みする人が後を絶ちません。彼らも最初は Linux に興味を持って触れたはずであるということを考えると,無責任に Linux への乗り換えを勧める記事は誰にとっても不幸なものであると思います。同じ Linux に触れるのでも,「Windows XX からの代用」というような時間的用途的に制約された使い方でなければ,また違う出会いになったかもしれないのですから…… ここまで読んでいただいた方には,そのような不幸な道を辿ってほしくありません。Linux は Windows の「代用品」として使えるものではありません。「たけのこの里」を買う代わりに「きのこの山」で我慢するような話ではないのです(と争いの火種を蒔く)。
 とまあ,ここまで書きましたが,それでもインストールする人はインストールすることはわかっています。なにしろ私もそうでしたから。自分の場合,高校生の頃,たしか雑誌の付録についてきた Knoppix で初めて Linux というものに触れてから1ヶ月くらい,Windows Me が入っていたマシンに Debian をインストールしてから一週間くらいで apt-get を使ったり vim で設定ファイルを書き換えたりできるようになりました。それから間もなく Linux に完全に乗り換えて現在に至ります。好奇心と多少の素養さえあれば難しいことは何もありません。慣れれば本当にいい所ですよ。ようこそ,Linux の世界へ。

17/4/11 記事タイトルを(多少)短く修正,Core m3/i5 の Passmark スコアについての言及などを追記

Notes:

  1. 詳しい人向け:「Windows」や「macOS」との対比を意識し,この記事においては全て「GNU/Linux ディストリビューション」の意味で「Linux」という語を使っています。
  2. コンピュータの性能を計測するためのソフトウェアやその結果のこと。ただしあくまでも一定のテストの結果で,実際の使用感を調べられるわけではないので,あくまでも目安として利用しましょう。
  3. 17/3/26現在。
  4. 同上。
  5. 17/4/11現在。
  6. 同上。
  7. Operating System の略で,「基本システム」と訳されることもある。その上でアプリケーション――ブラウザやオフィススイートなど――を動作させるためのシステム。
  8. メモリないし DRAM とも言う。ハードディスクではない方。
  9. Digital Rights Management(デジタル著作権管理)の略で,指定された環境でしか再生できなくするなどして権利者の意図しない利用を防ぐ機能のこと。反対する立場からは Digital Restrictions Management (デジタル制限管理)と呼ばれることもある。
  10. より正確にはミニコン,ワークステーションなど。

Debian Jessie + Xfce で UIM ツールバーのアイコンの背景色がおかしいのを直すには

デフォルトでは GTK3 用のツールバーが使用されるため,GTK2 を使っている Xfce パネルと外観が揃わないのが原因。
GTK2 用のツールバーを使用するよう明示的に指定すれば解決する。

$ sudo update-alternatives --config uim-toolbar
alternative uim-toolbar (/usr/bin/uim-toolbar を提供) には 6 個の選択肢があります。

  選択肢    パス                             優先度  状態
------------------------------------------------------------
* 0            /usr/bin/uim-toolbar-gtk3-systray   90        自動モード
  1            /bin/true                          -100       手動モード
  2            /usr/bin/uim-toolbar-gtk            60        手動モード
  3            /usr/bin/uim-toolbar-gtk-systray    70        手動モード
  4            /usr/bin/uim-toolbar-gtk3           80        手動モード
  5            /usr/bin/uim-toolbar-gtk3-systray   90        手動モード
  6            /usr/bin/uim-toolbar-qt4            50        手動モード

現在の選択 [*] を保持するには Enter、さもなければ選択肢の番号のキーを押してください:

以上のような選択肢が提示される。
このうち,/usr/bin/uim-toolbar-gtk-systray の番号(この場合は「3」)を選択し,エンターキーを押す。

忙しい時ほどついどうでもいいことを調べてしまうのはどうしたことか……

Debian 上の GTK デスクトップ(Xfce, Gnome 等)で Qt アプリの外観を統合したい

何度やっても忘れるのでメモ。

1. qtconfig をインストールする。

$ sudo aptitude update && sudo aptitude upgrade
$ sudo aptitude install qt4-qtconfig

他の Qt パッケージにはあまり依存しておらず(自分の環境では libphonon4 が入っただけ)コンパクトに収まる。

2. qtconfig を起動する。

$ qtconfig

qtconfig-qt4 でもよい。インストールパッケージ名とは微妙に違うので注意。

3. 「外観」タブの「GUI スタイル」セクションにある「GUI スタイルの選択(S)」プルダウンメニューを開き,「GTK+」を選択。左上の「ファイル(F)」>「保存(S)」を選択するか,ウィンドウを閉じる際に表示されるダイアログで「はい(Y)」を選択すると設定が保存される。

4. Virtualbox とか Keepassx とかがいい感じになる。やったぜ。

参考:
Qt と GTK アプリケーションの外観の統合 – ArchWiki
arch linux – qtconfig tool for Qt 5? – Unix & Linux Stack Exchange Qt5 には qtconfig がないらしい

Linux におけるラップトップマシン向け電力管理スイートの紹介(Pm-utils, Laptop-mode-tools, Powertop, TLP)

 Linux をラップトップマシンにインストールすると Windows に比べてバッテリの持ちが悪い,ということが言われることがあります。
 これは事実でしょう。最大の理由は,電力管理の設定が最適化されていないことです。Windows ではメーカが機種ごとに作成した環境のリカバリディスク,あるいはドライバやユーティリティ類がありますが,大半の Linux ディストリビューションでは,32コアのワークステーションでもポケットサイズのモバイルマシンでも同じ DVD を使ってインストールします。したがって初期設定はまずはどんな環境でもそつなく動くようにしておく必要があり,マシンの特性に合わせた最適化は施されていないのです。
 幸い,Linux ではさまざまな省電力機能がサポートされていますし,それらを一括して管理できる見通しの良いツールもあります。数十分ほどの時間をかければメーカが用意した Windows 環境並み,そして(大抵は Linux 環境の方が負荷が軽いこともあり)それを超える電力管理をも実現できます。私のメインモバイルマシンである CF-SX1 は Windows より Debian の方がファンが静かな上に快適に動きますし,バッテリの持ちも良いです。
 この記事では Linux 環境の代表的な電力管理スイートを4つ簡単に紹介します。あくまでも私の個人的な意見であることに注意してください。公式サイトに加え Arch Linux Wiki (Arch Linux ユーザでなくとも極めて役立つ必見リソースです)の該当記事へのリンクも付けましたので参考にしてください。

Pm-utilsArch Linux Wiki 記事
 他のツールと組み合わせることで電源管理にも利用できるため Laptop-mode-tools 等と並べて名前が出ることも多いですが,pm-utils 自身はあくまでもコマンドラインから電源を操作するためのツールです。
 電源管理スイートとして使うためには様々な設定・スクリプト作成が必要で,しかも利用できる機能は限定的です。そのうえ systemd 移行により機能が被ってメリットが失われ,それどころか問題の原因となりうることもあって,今ではあまり人気がないようです。既に pm-utils を利用するスクリプトを多く書いて利用しているという方はともかく,今から導入するメリットは薄いように思います。

Laptop-mode-toolsArch Linux Wiki 記事
 長らくラップトップ用電源管理スイートとしてスタンダードの地位を占めてきたツールです。名称は,カーネルに組み込まれている機能である「Laptop mode」を利用する(しやすくする)ためのツールという意味で,ラップトップマシンのための電源管理スイートの草分け的存在と言えるでしょう。私が最初に導入したツールがこれで,4年ほど前まで使用していました。
 現在でも使われていますが,いかんせん古いソフトという印象で,どうも設定が煩雑でわかりにくいです。よいソフトではあるのですが,他と比較すると,今から導入するメリットは薄いかもしれません。
 もっとも現在も開発は続いていますし,最近は github のコミットも活発になっているようです。これから大きく変わることもありえます。今後の発展に期待です。

PowertopArch Linux Wiki 記事
 Intel 謹製の電源管理スイート……というより,電源管理診断ツールといったものです。公式ウェブサイトでも「a Linux tool to diagnose issues with power consumption and power management」とされています。電源管理機能はあくまでも診断の便宜のためといったスタンスで,再起動すると設定は失われてしまいます。設定を永続化させるためには起動時に自動で powertop に命令するスクリプトを組むなどする必要がありますが,これが少々手間です。また,あくまでも診断のための機能のため,バッテリ駆動時と AC 駆動時でプロファイルを分けるといったこともできず(やるならこれも自前でスクリプトを組んでステートが変わるたびいちいち命令させる必要がある),あまり細かいことをするとデバッグの手間が出てきます。手抜きの荒業としては rc.local に(今なら systemd のサービスを)書いて /usr/sbin/powertop --auto-tune を起動時に自動実行させるというのもありますが(TLP 導入に先立って一時期そうしていました),細かい設定ができないことによる副作用があるうえ,マシンによっては大きな問題が発生することもありえます。
 一方で設定のチューニングには非常に使いやすいツールです。下記の TLP と併用している人が多いようです。概算の消費電力が表示されるのもなんだか楽しいです。

TLPArch Linux Wiki 記事
 結論です。今から入れるならコレ! 機能と手軽さの両面で他の3つを上回っています。
 公式サイトには「TLP comes with a default configuration already optimized for battery life, so you may just install and forget it」と頼もしいことが書かれています(もちろん,実際にはマシンや利用スタイルに合わせた調整もしたほうがより良いのですが)。Powertop と違いシステムの一部を構成する電源管理スイートとして設計されており,解説付きの設定ファイルを少しいじるだけで電源管理を最適化することができます。また,バッテリ駆動時と AC アダプタ利用時での別のプロファイルの利用に標準対応しています。systemd との親和性も高いです。
 現状では主として linrunner 氏という匿名の個人のみによって開発されていて開発の継続性や方向性がやや不透明なのが短所といえば短所ですが(cf. xscreensaver),既に6年以上開発が続いており,実績は充分です。
 Debian の場合,TLP はターミナルから以下を実行することで導入され,機能を開始します(詳しくは Arch Linux Wiki を参照)。

$ su
# aptitude update
# aptitude install tlp tlp-rdw
# systemctl enable tlp.service
# systemctl enable tlp-sleep.service
# systemctl disable systemd-rfkill.service
# tlp start

Raspberry Pi Foundation,PC 向け GNU/Linux ディストリビューションを公開

PIXEL for PC and Mac – Raspberry Pi
Raspberry Pi Foundation releases operating system for PCs, Macs • The Register

Introducing PIXEL – Raspberry Pi

 今年9月,Raspberry Pi Foundation は,Raspbian のデスクトップ環境に “PIXEL” という新しい名前を与えました。PIXEL という名前は「Pi Improved Xwindows Environment, Lightweight」の(ちょっと苦しい)略とのことですが,「ZX81 で BASIC のプログラムを勉強していた頃を思い出させてくれるもの」とのことでもあります。この変化はどちらかといえば目立たないものでしたが,デスクトップ環境が Raspbian から切り離されたことで面白いことができるようになりました。Raspbian のデスクトップ環境 PIXEL を Raspbian 以外の環境でも使う,ということです。
 上記記事では,デスクトップ環境として PIXEL を使用した Debian の実験版へのリンクが貼られています。書きぶりからすると,独立したデスクトップ環境としてというよりは Debian ベースの x86 用 GNU/Linux ディストリビューションとして開発してゆくものと見られます(elementary OS と Pantheon の関係に似ています。Linux Mint の Cinnamon・MATE のように専用から始めてだんだんと独立したデスクトップ環境としても成熟させてゆく考えかもしれません)。少々ややこしいですが,このディストリビューションも PIXEL と呼んでいるようです。
  PIXEL のベースとなっている LXDE 自体軽量デスクトップ環境として代表的なもので,しかもその見た目を Raspberry Pi 用に調整してきたものであるため,とても軽量なうえ低解像度環境にも向いたものとなっています。Eben Upton 氏の記事では「512MB以上の RAM があれば私の ThinkPad X40 のようなビンテージ物のマシンでも動く」として実際に X40 で PIXEL が動作している写真がアップされています。これまで「軽い Linux ディストリビューション」が現れては消えてきましたが,使いやすさとシンプルさのバランスが取れているのみならず開発の継続性に実績がある Raspberry Pi Foundation によって提供されることとなる PIXEL は新しい定番となるでしょう。
 PIXEL が公開されることにより Raspberry Pi に及ぼされる影響は,今のところよくわかりません。記事中では,学校では PIXEL・家では Raspberry Pi の Raspbian を利用するなどしてほぼ同様の環境を容易に提供できるようになる,デスクトップ環境としての PIXEL をより良いものとしてゆくために役立つ,という2つの理由が挙げられています。逆に,たとえば学校の授業で Raspberry Pi を使っている子どもが Windows に慣れるより先に Raspbian に慣れて,家に帰っても慣れた環境,すなわち PIXEL を使うようになる,ということもあるかもしれません。
 ともあれ,今後に期待ができそうです。

鈴木正朝氏,高木浩光氏らが独立シンクタンク「一般財団法人情報法制研究所」設立へ

News & Trend – 「もう役所任せにしない」、情報法制の民間研究団体を企業や学者らが設立へ:ITpro
一般財団法人情報法制研究所設立、学際的な専門家の集積による政策提言目指す – WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)
「一般財団法人情報法制研究所」設立、理事に鈴木正朝教授、高木浩光氏らが就任、LINEも支援 -INTERNET Watch

 なるほどねー。なるほどねー。まず顔ぶれが濃ゆい。理事一覧を見ると,「プライバシーフリーク」で有名な高木氏,鈴木氏を初めとして,これまで適正なプライバシ保護の重要性を主張してきた専門家の方々の名前が勢揃いしています。そういう意味ではかなり旗幟鮮明な組織と言えるでしょう。しかし,立場的にそこまで近いわけでもないと思われる方々の名前も見えます。必ずしも主張のために固まるのではなく,むしろアカデミックでの成果を社会に還元する力を持つためのプラクティカルな組織というのが本義であるようです。そのことは,政策提言を行うのみならず,約100人の委託研究員を集めたタスクフォースを作り,企業と NDA を結んだ上で踏み込んだ具体的な支援を行える体制を作るという計画にも現れています。一見うさんくさいようにも見えますが,鈴木氏や高木氏らはこれまでも,過度に緩和された(=消費者保護の乏しい)法制・ポリシーでは,国外のデータを国内に移転することができない等の理由から産業の発展をかえって阻害することになると指摘してきました。そうした主張の実践として考えてみると,とても合理的なやり方です。特に BtoC のオンライン産業では今でも浮き沈みが激しく,規律あるフェアプレイよりも全ての権利を自らの手に留保しておくほうが魅力的に見えてしまうのは仕方のないことです。それを今後につながるモデルに転換するにあたり,机上での啓蒙活動を行うのみならず今ここで役立つオルタナティブを提供するということには,非常に大きな意味があるのではないかと思います。
 興味深いのは,複数の大企業が情報法制研究所の設立・運営を支援する見通しだという点です。これまでのプライバシ関連ニュースを眺めてきて,日本のオンライン産業界は某界隈と同様の見解で一致しているように思い込んでいたので,正直なところ意外な感があります。日本の企業にも,顧客の利益を代弁するという文化が芽生えつつあるのでしょうか。あるいは飼い殺しにしてやろうという目論見なのかもしれませんが,理事の顔ぶれを見る限りそれは不可能だということが明らかでしょう。尤も,高木氏に“ステルスマーケティング”の依頼をするという暴挙に及んだある会社の広報担当者もいたくらいなので世の中わかりませんが……ともあれ,今後の展開に期待できそうです。
 ところで,こうなるとやっぱり,市民の権利そのものを守るものとして,日本にも EFF 型のバリバリに政治的かつ政治的に独立した社会運動団体も欲しくなってきますね。一応日本にも MIAU があるのですが,イシューが知財分野の一部と漫画・アニメにおける表現の問題に限られていて,サイバー空間の自由と平等一般を擁護するものとはなっていない現状があります。欧米的な「non-partisan」と日本的な「中立」の違いのわかりやすい例というか……「なら俺が!」と言うには私はまだまだ無知蒙昧なガキですし。うーむ。

3大キャリアの Android 端末に捜査当局が GPS 位置情報をこっそり抜ける機能が搭載へ

携帯のGPS情報、本人通知なしで捜査利用 新機種から:朝日新聞デジタル(2016/5/16)

  • 総務省の個人情報保護ガイドライン改訂に基づき,捜査当局が対象者に通知せず GPS 位置情報を取得できる端末が登場する。
  • ドコモは次に発売する端末の一部から対応。これまでに発売した端末についてもソフトウェアアップデートで対応させる方針。KDDI,ソフトバンクも対応の意向。
  • ドコモによると,GPS をオフにしている場合や iPhone ではこれまでどおり取得できないという。

 まあ政府では既定路線でしたし,位置情報の捜査での利用自体についてはある程度は仕方ないという感もありますが,こんな重大なことを総務省のガイドライン改訂だけで早速変えちゃうんですねえ。ノリノリですねえ。キャリア・メーカ側から法廷闘争どころか何の抵抗も見られず丸飲みしたことは,今までを考えれば予想通りとはいえ,それでもがっかりしました。
 日本において,通信の秘密やプライバシへの権力の介入は欧米と比べても比較的少ない印象がありますが,自由であるということの重要性が認識されているからではなく,単にこれまで為政者にそれを利用する発想や能力がなかっただけという,わかりやすい例でしょう。同時に,米国とは違い,企業には政府の方針に(たとえ形ばかりであろうとも)抵抗するような気骨はなく,また市民の側でも大多数の人は自らの自由の重要さについて考えてはいない,という実情が現れました。
 なお,あくまでも Android のみが対象となり,iPhone ではこれからもこっそりと位置情報を抜くことはできないようです。これは,AOSP をベースに各メーカが手を加える Android とは異なり,iPhone (iOS) ではキャリアの意向に基づいてシステムに手を加えることはできないというのが理由でしょう。不自由であることが却って自由の保護に役立つとは皮肉なことです。明治時代,不平等条約が改正されて治外法権が無くなれば日本で唯一表立って体制批判を行える存在である外国人知識人がいなくなってしまう,という理由から,民権派の間では不平等条約改正に反対する意見も根強かったそうですが,今の日本はまだそんなレベルなのでしょうか。
 また GPS をオフにしていれば位置情報は取得されないとのことですが,技術的な問題や政治的判断で今のところできない/やらないだけなのか,何か法的な判断に基づくものなのかはよくわかりません。たぶん前者だと思いますが。
 救いは,今のところ「義務」ではないことです。すなわち,キャリア以外から日本メーカ以外の端末を購入するのであれば,この問題を持たない Android 端末を今後も容易に入手可能でしょう。MVNO 普及のおかげで,日本の電波法規に適合した,キャリアとの契約によらない白ロムの選択肢が増えています。そもそも Android (と Google アカウント)自体がプライバシという面では問題が非常に多いのですが,アプリの対応 OS,価格や電波法規などから Android 端末を持たねばならない局面が多いのも事実です。そうした場合においては,技適取得済みのグローバルモデル,たとえば Nexus シリーズなどを使うことが,よりマシな(そしてより自由を求めているという意思表示になる)選択肢となるでしょう。

Twitter などを眺めているとこの件について誤解している人が多いようなので,補足情報。

  • 記事にあるとおり,令状はこれまで通り取る必要があります。充分な精査がされずこの仕組み自体有効に機能していないという指摘もありますが,それは制度の問題とは別の話。
  • 基地局ベースの位置情報はこれまでも本人に通知されることなく捜査に利用されています 1。ただし基地局情報と GPS データでは精度が全く違います 2。また,利用されていたという事実は利用することに問題がないという根拠にはならないという論点もあります。

Notes:

  1. 例えばこの記事 Listening:<通信事業者指針>改正へ 携帯位置情報を通知なく捜査利用 – 毎日新聞 – http://mainichi.jp/articles/20150525/org/00m/040/006000c
  2. 基地局による測位は数百メートル〜数キロメートルの精度と言われています。例えば秋葉原でいうとラジオセンターから TSUKUMO eX. までが300メートルくらいで,それが二次元に……いやそっちじゃなくて……広がっているのです。しかもそれは最も正確に測定できた場合の話です。一方でスマートフォンの A-GPS は,概ね10メートル程度までの誤差でトラックでき,空がよく見えて静止していればほぼぴったりになることもしばしばです。

Firefox のマウスホイールでのスクロール量を増やす

ブラウザだけスクロール量を増やしたい。IMWheel みたいなのもあるけど,めんどくさ大げさな気がする。そんな時に。

1, about:config を開く

2, “mousewheel.system” で絞り込み

3, “mousewheel.system_scroll_override_on_root_content.enabled” を false から true にする(Windows ではデフォルトで true らしい)

4, “mousewheel.system_scroll_override_on_root_content.vertical.factor” をデフォルトの 200 より大きい任意の値,たとえば400にする

5, 横スクロールも増やしたい場合は,”mousewheel.system_scroll_override_on_root_content.horizontal.factor” の値を同様に変更する。

調べてみると,なんだか似たようなオプションがいろいろある上スクロール量ではなく加速度を上げるというアプローチもあってややこしいけど,ともかく自分の場合は上の設定だけで期待した通りの挙動になった。
Chromium (Chrome) では,ブラウザ本体の設定ではできないらしく,たとえば「Chromium Wheel Smooth Scroller」などのアドオンを導入する必要があるらしい。

参照:
Gecko:Mouse Wheel Scrolling – MozillaWiki
Can anyone explain mousewheel.default.delta_multiplier? • mozillaZine Forums
xorg – How to change my mouse wheel scroll rate? – Ask Ubuntu
29.0.1 Mouse Wheel : firefox

Debian 8 jessie + xfce 4 で xscreensaver から light-locker に移行する方法

 前置きを書いてたら長くなったので本題から先に。

 light-locker は lightdm に依存する画面ロックツールで,xscreensaver や gnome-screensaver の代替として利用可能。ただしスクリーンセーバ機能や独自のロック画面は提供せず,ロック画面として lightdm のログイン画面を利用する。Debian の xfce および LXDE の標準のセットアップではディスプレイマネージャとして lightdm を使用しているので,そのまま利用できる。

 レポジトリにあるので,apt でインストールできる。

# aptitude update
# aptitude install light-locker
# aptitude purge xscreensaver xscreensaver-data

 xflock4 は xfce のスクリーンロックを管理するプログラムで,実体は簡単なシェルスクリプト。xscreensaver, light-locker, gnome-screensaver という優先度でデーモンにコマンドを与え,そのうち存在するものが画面をロックするという仕組み。標準で light-locker にも対応した設定になっているので,特に何かする必要はなし。

$ cat /usr/bin/xflock4
...
for lock_cmd in \
    "xscreensaver-command --lock" \
    "light-locker-command --lock" \
    "gnome-screensaver-command --lock"
do
    $lock_cmd >/dev/null 2>&1 && exit
done
...

 xflock4 がそのまま使えるので,画面ロックまでの時間の設定は xfce 電源管理 (xfce4-power-manager) から可能。
 いじょ。

追記:
 Debian 8 における lightdm の初期設定では,ログイン画面にユーザリストが表示されないため,画面ロックを解除するたびにユーザ名も入力せねばならずやや煩雑。ユーザが自分のみであれば,ユーザ名のリストを表示する設定にすることで xscreensaver や gnome-screensaver の画面ロックと同じ手軽さになる。

設定ファイルにある「greeter-hide-users=false」のコメントアウトを外してサービスを再起動する。

# vi /etc/lightdm/lightdm.conf
...
greeter-hide-users=false
...
# service lightdm restart

追記その2:
 lightdm のログイン画面に戻るためか,画面のロック後に時間経過で自動的にサスペンドやシャットダウンをさせる設定(たとえば,20分間無操作で画面ロック,1時間無操作でサスペンドという設定)が,ユーザ権限では機能しない。複数人が同時にログインするマシンでない場合,以下の設定で解決する。

# vi /usr/share/polkit-1/actions/org.freedesktop.login1.policy
        ......
        <action id="org.freedesktop.login1.suspend">
                ......
                <defaults>
                        <allow_any>auth_admin_keep</allow_any>
                        <allow_inactive>auth_admin_keep</allow_inactive>
                        <allow_active>yes</allow_active>
                </defaults>
        </action>
        ......

これを

        ......
        <action id="org.freedesktop.login1.suspend">
                ......
                <defaults>
                        <allow_any>yes</allow_any>
                        <allow_inactive>yes</allow_inactive>
                        <allow_active>yes</allow_active>
                </defaults>
        </action>
        ......

こうする(allow_any と allow_inactive を auth_admin_keep から yes に変更)。

追記その3(17/03/20):
 どうしたわけかいつの間にか(おそらく前回 dist-upgrade してから)また画面ロック後のサスペンドが効かなくなってしまっていました。設定ファイルを見るとデフォルトの状態に上書きされてしまっているようです。普通はこういうことはありませんので,何らかの手違いでしょうか。たしかにまあ,本来は考慮されていない使い方なわけで,セキュリティに深く関わる機能であることを鑑み,念のため Light-locker を使う時は画面ロック時=サスペンド時としたほうがいいのかもしれません。(しかしデスクトップ環境の電源管理ユーティリティとの統合を考えるとこの仕様?は問題があると思います)
 ところで xscreensaver の一件は Debian では xscreensaver から単に警告表示部分を取り除くことで対応する方向性のようですが,個人的には,他の部分――名称と見た目も変更しておいてくれないものかと思います。仮想パッケージとして “xscreensaver” からのエイリアスを残しておけばあえて xscreensaver としての登録にこだわる必要はないと思いますし,なによりあのロゴを見てウイルスかと勘違いされたことがありますので……(笑)

 以下前置きです。

 4月1日から,xscreensaver を使用している Debian jessie システムで,ログイン時に「This version of XScreenSaver is very old! Please upgrade!」(このバージョンの XScreenSaver は非常に古いです! アップデートしてください!)と書かれた仰々しく目立つポップアップウィンドウが出るようになり,物議を醸しています。同じ文面は xscreensaver のロック画面にも現れ,xscreensaver の設定画面には以下のような強い表現さえ使われています。「This version of xscreensaver is VERY OLD! Please upgrade! http://www.jwz.org/xscreensaver/ (If this is the latest version that your distro ships, then your distro is doing you a disservice. Build from source.)」(このバージョンの xscreensaver は非常に古いです! アップデートしてください! http://www.jwz.org/xscreensaver/ (もしこれがお使いのディストロが提供する最新のバージョンである場合,そのディストロはあなたに害を与えています。ソースからビルドしてください。))このメッセージは,作者である Zawinski 氏が書いたもので,そのバージョンのリリースからどれくらい時間が経過したかを見て,単純に12ヶ月を超えると表示される仕組みになっているようです。
 この問題について Debian のバグレポートメーリングリストに投稿した方が現れたのですが,そこへ作者でありこのメッセージを書いた本人である Zawinski 氏が登場して反論し,かなりの荒れ模様となっています。

#819703 – xscreensaver: please disable “This version of XScreenSaver is very old! Please upgrade!” message – Debian Bug report logs

両者の主張の要点は以下の通り。
Zawinski 氏:

  • 古いバージョンの xscreensaver をいつまでも提供し続けるディストロのせいで,既に修正したバグについての修正依頼が何度も舞い込み,大変迷惑している。
  • 私は言う,「あんたの使っているディストロはクソだ」。だけど彼らはいつもこうだ。「でもソースからコンパイルするなんてどうすればいいのかわからないんだけど 1
  • 古いバージョンのソフトウェアを何年も使い続けるなんてどうかしている。最新のバージョンを使うようにすべきである。仮にそれができないなら,私のソフトウェアを Debian から取り除いてくれ。
  • ライセンス上はこの要求を無視する権利もあるが,合法的なことと正しいことは違う。

反対意見:

  • まず,表示される警告メッセージがあまりに無礼かつ攻撃的である。ユーザにとって迷惑であり,社会通念上問題がある。
  • Debian の stable(安定版)リリースでは,バージョンは2年ごとのリリース時点で凍結し,セキュリティホールや重大なバグのみについて最低限の修正を加える仕組みになっている。これによって,修正に伴う新たな問題の発生を極力抑え,システムの安定性を長期的に最大限高く保つことができるようになっている。この仕組みを理解できていないのではないか。
  • 標準的な Debian システムに含まれる千数百のパッケージそれぞれがこのようなことをすれば,システムは不安定になり,ひどいことになる。
  • Debian における xscreensaver のバグは Debian のバグトラッキングシステムで管理されており,理論的には,直接メールなどで Zawinski 氏に報告が行くことはないはずである。仮に来ても,単に無視すれば手間ではないはずだ。
  • バージョンが古いことそれ自体はバグではない。
  • そもそも xscreensaver は自由ソフトウェアライセンスで提供されており,作者がその使われ方についてどうこう言うことはできない。ライセンスに規定されている以上の要求はソフトウェアの自由と相反するものである。

 そんなわけで,現在「レポジトリから xscreensaver を取り除け」(Zawinski 氏)という主張と「アホ言うな」という反応の間で侃々諤々の,というか感情的すぎるきらいのある議論が行われています。
 個人的には,ハードウェアに効果的な省電力機能が搭載され S3 スリープも普及しきった今ではスクリーンセーバの存在意義はかなり限定的であるように思いますし,xscreensaver のルックスはいかにも昔風で今時のデスクトップに合わないと思いますので,これを機にスッパリ xscreensaver を離れてもいいんじゃないかと思いますがね。
 Zawinski 氏が優れたハッカーであり,これまでコミュニティに多大な貢献をなしてきたことは疑う余地がありませんが,氏の理想は古き良き時代のハッカー文化にあり,それは今の世の中と少し乖離しているようです。昔は技術力こそが力であり,コードの書けない,ましてやコンパイルさえできないユーザは,”luser”(user + loser)として蔑まれました。しかし時代は変わりました。今や Linux ディストリビューションはハッカーのみならずコンピュータ科学以外の分野の研究者,医療従事者,ごく普通の事務職員までが日常的に使用するものとなりました。多くのニーズに応えるためにシステムがより大きく複雑になる一方,コミュニティへの貢献の道はあらゆる人へと開かれ,コーディングに限らず,各人のできることでのコミュニティへの貢献が尊重され,かつ必要とされるようになりました。ハッカーならぬ私はこの新しい時代はとても素晴らしいものだと思っていますが,古くからのハッカーにとっては必ずしもそうでもないのかもしれません。
 ともあれ,早期の円満な解決を祈っています。

参照:
#819703 – xscreensaver: please disable “This version of XScreenSaver is very old! Please upgrade!” message – Debian Bug report logs
Bug #1406825 “xscreensaver complains “This version of xscreensav…” : Bugs : xscreensaver package : Ubuntu
light-locker/README at master · the-cavalry/light-locker · GitHub
Set up light-locker with XFCE action buttons. / Newbie Corner / Arch Linux Forums
14.04 – Authentication required before suspend – Ask Ubuntu

Notes:

  1. ソースのコメントでは “herp derp I eat paste” と続く。要するに知識も調べる気もないユーザを揶揄しての囃し文句。

ドメインとサーバの移転

 ドメインとサーバを移転しました。MiniBird の一番下のプラン(月250円)ではあるものの,元々が StarDomain の無料オマケサーバだったので大きなグレードアップです。とはいってもアクセス数増加への対応だとか応答速度向上だとかそういうのではなく,「今までのドメイン名を別の用途に使いたい」というきわめて消極的な理由からの移転で,サーバを変更したのはオマケサーバの SQL データベース付きプランの新規割振が終了しているというだけの理由からだったりします。無料で MySQL 付きのサーバもいろいろあるんですが,どれも広告が出るんですよねえ。僕はあまり広告が好きじゃないんです。それから,古すぎるなどの理由で役に立たない記事は今回ついでに公開を終了しました。
 そのうちまた移転しないとも限らないので,今回したことのメモを残しておきます。
 なお,はじめに断っておきますが,今回私が試した「WordPress 標準のエクスポート機能」はあまり賢明な選択肢とは言えません。よほどの PC アレルギーでもない限り,FTP クライアントでファイルをコピーして phpMyAdmin でデータベースをインポートするやり方のほうがよほど早く終わるでしょうし,サイトの規模が大きくなったり数が多くなったりしても使えるテクニックです。現状,WordPress 標準のエクスポート機能は,扱えるものが少なすぎてサーバ移転の手段としてはあまり実用的ではないと思います。というか,そもそもそういう使い方は主だった使い方としては想定されていないのかもしれません。

1, 古いサーバの WordPress にログインし,サイドバーの「ツール>エクスポート」を開き,全てのデータをエクスポート・ダウンロード。
2, 新しいサーバに WordPress を導入し,「ツール>インポート」を開き,「WordPress」を選択。初回は「WordPress インポートツール」の導入を求められるのでこれを導入し,再度同じ操作をする。先ほどダウンロードした xml ファイルをアップロードする。「添付ファイルをダウンロードしてインポートする」にチェックを入れると,画像などを古いサーバから自動でダウンロードして展開してくれる。記事中のリンクも自動で書き換えてくれるのでリンクが切れない。ただし,画像をページに貼り付けていたはずが単なるリンクになっているなどの問題も一部あった。そのほか,アカウントの統合・移行 1も一括してできる。
3, 新しいサーバにプラグイン類を導入して設定をする。基本的に全手動なので面倒。今回は数が少ないので手でできたけれど,規模が大きくなると厳しそう。
4, 新しいサーバの設定変更やテーマの選択・カスタマイズを行う。これも全手動。
5, 検索エンジンやはてなブックマーク等からのリンクが切れないように,古いサーバから新しいサーバへのリダイレクトを設定する。WordPress のプラグインでもリダイレクトを行うものがあるが,サッパリ消してしまいたいので .htaccess でやる。
中身は以下(他の項目より上に追加)。

RewriteEngine On
# 書き換えを有効化
RewriteBase /
# 設定対象のルートの設定,普通は標準で / なので省略可
RewriteCond %{REQUEST_URI} [0-9]{1,6}
# / 以降が数字1~6桁で構成される URI へのアクセスのみを対象にするということ。
# それぞれの環境のパーマリンクの構成に合わせて正規表現で記述。
RewriteRule ^(.*)$ http://oppekepe.org/$1 [R=301,L]
# 今回はパーマリンクがドメイン名以外そのままなので,RewriteCond の条件に当てはまるもの全て ^(.*) を
# 変数に入れ,新しいドメイン名の後ろに付加して,そこへ転送するようにする。
# R=301 はステータスコードを 301 (Moved Permanently)にするということ,L はループ防止のおまじない。

以上で完了です。
しかし,StarDomain オマケサーバが多機能すぎたせいもあってか,有料プランにはしたもののあまり感動がありません。うーむ,年0円 vs. 年2430円(ポイント最大適用)か……

Notes:

  1. たとえば A ,B というユーザがそれぞれ作成した記事について,C というユーザが作成・保有したことに変更するなど